「夜のご指導は如何?」−2
『ねぇ…ユーリ、本当に自慰ができないかどうか、俺が試してみようか?』 そのとんでもない発言の内容を、有利は理解していたはずだった。 多分、コンラート特有の《笑えない冗談》の一環だったのだと思う。 なのに…どうして今、こんな事になっているのだろう? 「ユーリ、緊張しなくて良いから…力を抜いて?」 「う…うん……」 そう答えつつも、やはり有利の四肢はぎくしゃくと動いて強張りを解けずにいた。 ソファに座ったもののそのまま内腿を引きつらせてしまい、きゅ…っと握り込んだ足指がソファの外皮に皺を寄せる。 『だって…無理……っ!!』 有利は現在、コンラートの肌着を借りて素肌の上に一枚羽織った他は、いつも身につけている黒い紐パン一丁である。コンラートのものだけあって肌着は大きく、そのせいで辛うじて紐パンが露出することはないのだが、それでも濃い色合いの布はどうしても白い肌着の下からちらちらとラインが見えてしまう。 露出した腿を動かすたびに下着が見えそうになってしまうから、無意識のうちに手を添えてしまうのも妙に恥ずかしい。いっそのこと素っ裸の方がまだマシな気がする。 第一、肌着を羽織った瞬間…ふわりと香った覚えのある体臭に、どきどきと胸が拍動してしまう。まるでコンラートに包み込まれているような感じだ。 『うぅ…こんなに恥ずかしいなら、あんな事言わなきゃ良かった…っ!』 コンラートは悪くない。全く悪くない。 そもそもあんな下世話な相談を持ちかけたのは有利であり、コンラートの冗談(だったはずだ)を真に受けて《ヨロシクお願いします…》と涙目で頼んだのも有利だ。 誰のせいにも出来ない。 コンラートも上はシャツ一枚になったが、ズボンは流石に正規軍のそれを着用したままで、ブーツと靴下を脱いで裸足になっている。 「腰の後ろにクッションを置いて…そう。そのまま背もたれに身体を預けておいで?」 「こ…こう?」 「うん、良いよ。少し緊張が解れてきたね」 コンラートは大きな掌で有利の頬を撫でると、その手で寝台脇の棚から硝子瓶を取り出した。 「さあ、まずはオイルを使ってみようか?」 「これ…?」 硝子瓶の中に湛えられていたのは、淡い水色がかった液体だった。少しとろみがあって、良い匂いがする。コンラートはそれを掌にとって一方の掌を重ねると、少し時間をおいた。 「なにしてるの?」 「人肌程度に暖めているんだよ。それでもユーリの体温よりは低いから…嫌だったら言ってね?」 「うん…」 穏やかに微笑むコンラートに向かって、少々冷たくたって《嫌だ》なんて言えそうにもない…。こんな無茶なお願いに対しても、誠心誠意尽くしてくれるなんて…本当に、なんて面倒見が良いのだろう? そんな風に思っていたら掌が傾けられて、とろ…っとオイルが肌着越しに胸の尖りに注がれていく。 「ん…」 「冷たい?」 「ううん…。少し、ぴちゃっと引っ付いて変な感じがするだけ」 「そう…」 コンラートの指が、微かに尖りの先端を掠めたような気がするけれど…すぐに離れてしまう。とくん…っと胸が弾んだのも、やはり一瞬のことだったからまだ実感は湧かなかった。 ただ、ぴたりと密着した尖りは先程よりも硬く痼っているようで、濡れた肌着越しに淡い桜色を纏って、酷くいやらしげに見えた。 『うわ…乳首、たってないデスか…っ!?』 コンラートはどう思っているのかと思って、ちらりと伺うように視線を上げれば、慈しむような眼差しを感じて頬が熱くなる。 「じゃあ、まずはこの辺から触ってごらん?」 「……っ!」 ぬる…っと指が触れてきたのは、乳輪の縁の辺りだ。羽根が触れるように柔らかい刺激はえらくもどかしくて、乱暴に乳首を捻ろうとしたら苦笑混じりに止められた。 「急いではダメだよ?焦らず…ゆっくり、身体の反応を待って御覧?」 「なんか…焦れったいよ」 「焦れったいのが良いんだよ。ゆっくりゆっくり…華が綻ぶのを待つように、丁寧に感度を上げて行くんだ。ユーリの身体は、ちゃんと応えてくれるよ?」 「……っ!…ん…っ…」 耳朶に注がれる美声はやさしげなのに…どこか艶めいていて、ぞくぞくするような感覚が背筋を奔る。それは決して不快なものではなくて、寧ろ……。 『何か…なんか……』 胸の痼りがびくんと硬くなるのが分かった。こんな場所の皮膚がこんなに鋭敏になっていくなんて、今まで全然知らなかった。 ふわ…ふわ…ぬるり。 掠めて…滑らせて、コンラートの指がじわじわと乳輪をまさぐっていく。淡く息が上がり始めたのを頭の何処かで感じながら有利も同じように指を伝わせると、コンラートが触れて来るみたいには出来なくて、余計に焦れったい。 「直接…ぎゅっと摘みたいよ…っ…」 「うーん…そろそろ、良い頃かな?」 「ホント?」 喜色を湛えて摘もうとしたら、一足(一指?)先にコンラートの指が尖りに添えられて、絶妙な力加減でぬめるようにして捻られた。 「ひぁ…ん……っ!!」 信じられないくらい艶めいた声が漏れた。鼻に掛かったような甘えた声は、勝利の部屋から時折漏れてくる美少女のそれに似ていた。 『う…わ…っ!』 それ以上の声は唇を噛むことで何とか堪えたものの、きゅ…にきゅ…っと乳輪ごと摘まれる感触は、たっぷりと焦らされていたせいもあって何とも言えぬ感覚を呼び覚ましていく。 気が付けば…どんなに擦っても半ば勃ちにしかならなかった陰茎が、急激に角度と硬度を変えて存在感をアピールしていることに気付いた。 『これ…か、感じてるのかな…!?』 自分で自慰をしたときには、とにかく陰茎を直接擦っただけだった。それも、乾いた手で機械的に上下させただけだったから、擦れて痛いのが先に立ってしまい、とても射精に結びつくような感覚にはなり得なかったのだが…それがどうだろう?コンラートに数分間胸を弄られただけで感じてしまうなんて…。 「コンラッド…凄い、テクニシャン…っ!」 尊敬に満ちた眼差しで見上げれば、コンラートはくすくすと零れるような苦笑を漏らす。 「お褒めに預かり、光栄至極…。でも、自慰が得意なんて恥ずかしいから誰にも言わないでね?」 「ん…お、俺だって人にこんなの言えないし…っ!」 こくこくと頷きながら同意すれば、コンラートは更に掌へとオイルを注ぎ、再び暖めたものをとろりと有利の股間に注いでいく。 「わ…っ…!」 「初めてだから、たっぷり濡らしておこうね?」 のし掛かりながら囁かれる声音は怖いくらいに甘くて、ぞくりと震える身体はじんわりと沁みていくオイルにまで感じてしまう。 じわ…とろ…… 暖かなオイルがねっとりと香りながら内腿を伝えば、無意識に身じろいだ肌がぬるりとぬめってしまう。下着はますます淫部へと密着し…。 『うわ…っ…ちんこ勃ってんのバレちゃう…っ!』 慌てて両手を使って股間を隠そうとするものの、またしても素早い手に捕らえられてしまう。 「焦ってはダメだよ、ユーリ…。良い子だから、もう少しお預けを我慢してね?」 ちゅ…っと指先に啄むようなキスをされては、ばくばくと踊り狂う心臓をどうにも出来なくなってしまう。顔は自覚できるほど真っ赤に染まり、羞恥に伏せられた瞼までが血管の拍動を感じさせる。 「ちが…っ…は、恥ずかしくて…っ…」 「恥ずかしい?じゃあ…しょうがないね」 伸し掛かっていた身体が拍子抜けするほどあっさりと引かれてしまうと、抵抗を示していた指が反射的に追いかける。 「え…?待……っ」 しかし、放置されるかと思われたのは一瞬に杞憂に過ぎず、すぐに戻ってきたコンラートの手には大判のバンダナが握られていた。濃い藍色をした、結構厚手の布地だ。 「見えるから恥ずかしいのかも知れないね。これで目隠しをしておこうか?」 「え…え…?」 抵抗する間もあればこそ、素早く目元に回されたバンダナを後頭部で結ばれてしまう。濃い色合いの布が折り重なっているせいか、視界は殆ど塞がれてしまう。 「はい、じゃあ…ゆっくり鼠経部を指先で撫でて御覧?」 「ひぅ…っ…」 濡れた肌着越しに添わされた指が示したのは、何とも際どいライン…脚の付け根の、極めて陰部に近い場所だった。下着を押し上げて勃ちあがるものに気付いていないはずは無かろうに、コンラートはどこか楽しそうな声で囁きかけてくる。 「肌着を掴んでちゃ駄目だよ…。ほら、良い子だから…伝わせてご覧?上手に一人で自慰が出来るようになるからね」 「ん…んん…っ…」 黒い紐パンはいつだって不安定で、恥ずかしい部分が露出してはしまわないかとドキドキするのだけれど、今日ほど心もとなく思ったのは初めてだ。小さな布に囲まれた空間が、こんなにも狭いと実感したのも…。 『きゅうきゅうに狭くて…先っちょが布に擦れるよぅ…っ!』 一人きりでやったときにはあんなにも乾ききっていたのが嘘のように、陰茎の先端はとゅうりとぬめって布に押しつけられている。そのぬめりが滴らせたオイルだけによるものでは無いことを、誰よりも有利は知っていた。 名付け親の愛撫に感じたこの身体は、自ら濡れて欲情を示しているのだ。 怯えて縮こまる手に、二回りは大きい掌が重ねられ…指導するように鼠経部へと沿わされていけば、根方を押さえられているせいもあって下着を押し上げるものの形が、コンラートの視界の中で明瞭な姿となっていると察せられる。 コンラートの視線を感じながら、陰茎が濡れていく。 熱く拍動しながら、ぴくん…ぴくんと感じていく。 『これが、感じてるってことなんだ…』 初めて踏み込んでしまった快楽の世界に驚き、しみじみと浸っているような余裕は無かった。唯々沈み込んでいく感覚の渦の中で溺れないよう、有利は《はふ…》と喘ぐような息をした。 * * * 『ユーリのものが…芽吹きそうだ』 とろとろに濡らした内腿が擦り合わされるたびに《にちゃり…》と濡れた音が響き、すっかり透けてしまった肌着越しに、漆黒の紐パンを押し上げて花茎が育ちきっている。 ごくり…と喉が鳴る音を聞かれないようにするのが精一杯だ。 急かすようにして有利の目元を布地で覆ったのは、決して彼の羞恥を紛らわすためだけではなかった。 『信頼している名付け親が、こんなに…見て分かるほど名付け子に勃起していたら…幾ら何でも引くだろう…っ!』 分かっている。 分かっているが、哀しい哉…これが男の生理だ文句があるかっ!(←誰に向かって挑んでいるのか) 『あぁぁあああ…っ!ド畜生…っ!!今すぐ剥いて、突っ込みたい…っ!!』 ド素直な台詞をそのまま口に出すことなど出来ず、喘ぐような息や、込み上げてくる濃い唾液を舌で転がしている音さえも聞かせることは出来なくて、生々しい情感を押し殺して《指導》を進めていくコンラートであった。 「焦れったいくらい、直接的な刺激が欲しくなるだろう?」 「う…ぅん…っ!…直接、扱きたいよぉ…っ…」 普段からは考えられないくらい甘く掠める声が、有利が限界に近い事を教えてくれる。《自慰でイったことが無い》というのが本当なら、よほど下手くそな手技を用いていたに違いない。媚薬も用いていないというのに、こんなにも敏感な反応を見せているではないか。 つん…っと指先で花茎の先をなぞる。 一気に強く触ったりはせず、あくまで羽根が触れるくらいに柔らかに。 「…ゃん…っ!」 ああ…なんて甘やかで愛らしい声なのだろう?ぞくぞくするような刺激に、コンラートの逞しい雄蕊はズボンの中で勝手に果ててしまいそうな程の屹立を見せていた。 《…直接、扱きたいよぉ…っ…》というのはコンラートの心の声でもあるのだが、そのまま口にしたらドン引きされるのは必至であろう。 「ユーリも触れてご覧?もう十分に熟しているから…少しくらい乱暴に扱っても、最後までいけるよ?」 「うん…っ!」 コンラートの手による戒めを解かれるやいなや、有利は餓えた子どもみたいな勢いで黒い紐パンをずり下げると、半ば肌着を被った濃いサーモン色の花茎に指を絡めていく。 『綺麗な色だ…それに、陰毛もまだ薄くて…まるで仔うさぎみたいだ』 感動に浸るコンラートの目の前で、にちゅにちゅともどかしげに指が上下する。それは凄まじく淫猥な姿で…堪えきれなくなってきたコンラートもまた、少ししゃがみ込んでかぶりつきの席に着くと(寝台脇に跪いた)、ずるりと前立てから引き出した雄蕊を荒々しい手つきで扱いていく。有利に触れるのとは段違いに強引な愛撫だが、さんざんに焦らされたそこは主の欲望を遺憾なく受け止めて膨れあがる。 「ん…んん…っ…気持ち、良い…すご……っ…」 はふ…ぁふ……っと我を忘れて己の花茎を扱き上げる有利は、目隠しと長い焦らし時間のせいで前後の見境を無くしているらしい。すっかりコンラートに見られていることを忘れているのか、無防備に下肢を開いて陰部を嬲り続けている。 『そんなに、美味しそうなおちんちんを見せ付けないで?』 ほんの少し上体を伸ばせば唇が触れる位置で、ぷくぅ…っと先端に雫を浮かせた花茎が震えている。ぱくりと口の中に入れてしまいたいのを何とか我慢しながら、コンラートは指先を伸ばして鈴口に押し当て、ぐり…っと少し強い摩擦を加える。 「ひぁ…ぁあん…っっ!!」 それが決め手の刺激となったらしい。ぷぱぁ…っと噴出した白濁は勢いよく宙を舞ってコンラートの顔をしとどに濡らし、それでもまた足りないと言いたげに、幾度かに分けて溢れ出たのであった。 「ひ…は……ぁ……」 初めての放精は有利にとって衝撃的な快感であったらしい。口角から唾液を零しながら、暫くの間…ぴくんっ…ぴくっと小刻みに震えている様子から見て、今はどこを触られても快感を感じてしまうほど敏感になっているのだろう。 『そういえば、小袋は弄っていなかったっけ?』 ちいさな紐パンは右側が解けて、左脚にかろうじて引っかかっているのが一層あられもない印象だ。その影から覗くマシュマロのような小袋は、とろりとしたオイルと白濁に濡れて、まるで蜜掛けの果物のように美味しそうだ。 「ひぅ…っ!?」 我慢できずに口腔内にちゅるりと吸い込んだ小袋を舌で苛めてやると、それでなくとも感じやすくなっていた有利は身も世もなく喘いで内腿を震わせる。 「な…に?ぬるって…暖か……」 理性が戻ってくるのを阻止するように、ぢゅぶぶ…っと淫らな水音をたてて愛撫を深めていけば、どうしても双丘の谷間に目がいってしまう。秘められた蕾を暴いてやりたくなって、そろりと二つの肉に指を掛けて開けば、くぱりと割られて空気に触れた肉襞が目に見えてひくつく。 「ゃう…っ…!?」 「気持ちよくしてあげるから、じっとしててご覧?」 「でも…でも……」 「ユーリ…たくさん感じて、大きくなるんだよ」 《はいりはいりふれはいりほ〜♪》…という謎のフレーズが脳裏に流れるが、その正体を見極める余裕もなく、コンラートはたっぷりとしたオイルで手指を濡らすと、ゆっくりと蕾の中に差し入れていく。 「ひ…っ!」 流石に違和感が拭えず暴れる下肢を優しく撫でつけ、ぱくりと花茎を口腔内に引き込んで濃厚な舌戯を施していく…。 「ひぃん…ゃ…ぁ、やぁ…っ…」 感じすぎて啜り泣くような声になってしまう有利が可愛すぎて、コンラートはもっと素敵な声を聞きたいと肉壁の中から感じやすい粒を捜していく。前壁に位置する弾力性のある場所にグリ…っと指先を押し当てれば、口腔内で面白いくらいに花茎が跳ねた。 「ら…ゃ、ひぃん…っ!」 びくん…っと背筋を跳ねさせながら、有利の手がコンラートの頭髪に絡められる。《毟られるか…》と、一瞬不安になって目を閉じたものの、愛撫に対しては素直すぎる有利は、寧ろ自分の股間に押しつけるように…頭部を引き寄せてしまう。 更には身動ぐ動きで胸の桜粒を擦過してしまうと、悦楽を追うように肌着を引き上げ、淫らに濡れた突起をくにくにと指先で弄りだしてしまう。 『もっと感じて…乱れて、ユーリ…っ!』 思いがけない痴態に興奮したコンラートは、ひくつきながら次第に緩んでくる肉筒へと、二本…三本目と指を含み込ませていく。一方で、左側の手は己の雄蕊を激しく責め立て、革張りのソファの色彩を一部濃いものに変えていく。鈴口が変形するくらい押しつけられた先端は、とろとろと蜜を零しながら革にめり込み、擦られていく…。 『気持ちいい…でも、このまま…ユーリに突き込めたらもっと良いのに…っ!』 出来ないのは分かっている。 そこまでやったら、立派な(?)レイプだ。 だから、コンラートは自分を戒めるように…痛みを感じるほどの激しさでソファを抉る。 そして対照的に優しま丁寧な…あるいは、残酷なまでに執拗な愛撫で有利を狂わせていく。お尻で感じられるところまで調教しろなんて頼まれてはいないのに、自分好みの肉体へと少年の身体を淫らに変えていく。 「あぁあああ……っっっっ!!」 長啼きして有利が二度目の到達を果たしたとき、コンラートもまた長く甘い吐精に酔いしれていた。 どくん…どくっ…っと勢いよく放出される白濁はどさくさに紛れて有利の内腿を濡らし、まるでその股間に突き込まれていたかのように少年を男の情欲に染めていく。そのことに歪んだ満足感を得ながらも、コンラートの声はあくまでも優しい。 「気持ちよかった?ユーリ…」 濡れた股間を素早く処理して、なに食わぬ顔をして有利の目隠しをとれば…欲情と羞恥に濡れた黒瞳が涙を浮かべてコンラートを見た。 「気持ち良かった…けど、なんか…最後の方は全部あんたにして貰ってたような…」 すんすんと啜り泣くような声は、少し拗ねているようだった。 「ゴメンね…そういえば、自慰をお手伝いするんだったね?ユーリに気持ちよくなって欲しくて…つい」 しょんぼりと肩を竦めれば、今度は有利の方が慌てて上体を起こしてくる。 「あ…あ…っ!怒ったんじゃないよ!?コンラッドはちっとも悪くないよ。俺がへたくそだから、見かねて色々してくれたんだろ?」 「そんなことは…。ただ、ユーリが射精出来ないこと自体を気にしているのかな…と思ったから、出しゃばりすぎてしまったんだよ」 そこまで口にしてから、不意にコンラートの唇は皮肉げな笑みを浮かべてしまう。 「…射精は、ちゃんと出来ていたよ。良かったね…ユーリ、これでいつでも女の子とセックスできるよ?」 「………うん…」 口調に心の声が滲んでしまったのだろうか?有利はどこか複雑そうな表情を浮かべて、曖昧な返事をした。 結局、その夜は腰が抜けかけた有利を抱きかかえてお風呂に入り、恥ずかしがる身体を隅々まで綺麗にしてから眠りに就いた。 あんなことまでした身体をこうして《抱きしめ》ながらも、大人な意味で《抱く》事が出来ない事実に多少忸怩たるものを感じはするのだが…結局、無警戒に身を寄せてくれる少年を拒絶することも、強引に組み敷くことも出来ないのだった。 |