「淫魔再び」−2
恐るべき人物…双黒の大賢者様到来に恐れおののく魔王陛下+腹心兄弟!
果たして彼らの運命や如何に…っ!
* * *
『扉を開けては駄目だ』
三人の心は一致していた。
開けたが最後、口八丁手八丁の猊下に抵抗する術はないからだ。大賢者様腹心の部下、エロ事と格闘術に長けた蜜柑頭もいるとなっては、物理的にも拘束力が強い。
大体、こんな爛れた格好で3Pもどきをやっておいて今更《あれぇ御無体な》は通るまい。
彼らはとにかくしらを切り通すつもりでいた。狼を室内に入れたが最後、子ヤギたちは食べられてしまう他ないのだから…(国の英雄と魔王まで子ヤギ扱いにしてしまう大賢者って一体…)。
「こ…これは猊下、大変申し訳ないのですが…ただ今取り込み中につき、執務室は出入り禁止となっております」
「ほぉ〜う?双黒の大賢者まで閉め出すとは、どう言った事情なのかな?僕は魔王に並ぶ権威の持ち主であると信じていたんだけどねぇ…」
普段は権威を笠に着た言動などしないくせに、何故エロ事に限って堂々と権力を駆使するのか…。
「い…いや、これは国政に関するような大事ではないのです。…その、私と弟…そして、その恋人である陛下の、極めて私的な話し合いなのです」
「へ〜ぇ…」
村田の声にびくびくと震えながらも、有利は激しく高ぶっているのだろう感度に抗しかね、とうとう絨毯の上に顔を擦りつけるようにして尻を高く上げると、くちくちと蕾と花茎とを弄りだした。
『こここ…こら…っ!何をしているかっ!!』
扉にもたれ掛かったグウェンダルの角度からはよく見えないが、ぬちぬちと濡れた水音を立てて弄られる淫部がどうなっているのか推して測ることはできる。
《はふぅ…ぁあん…》甘い声を強制的に聞かされ、直接目に触れないからこその妄想力も手伝って、グウェンダルは達した後に急いで紐パンの中に戻した陰茎を高ぶらせていた。
『う…』
軍服の裾で隠してはいるものの、窮屈な紐パンの中で雄が不満を訴えているのがよく分かる。またしても先走りの蜜を滴らせたそれは、紺色の布地を変色させていった。
「はふ…ん、めぅ……ん」
《仔猫たんみたいに愛らしい声を上げて悶えるのではないっ!》…叫びたいが、当然口に出して言うことは出来ない。
有利がこうなると、コンラートも放っておく訳にはいかない。嬌声が上がらないようにぴったりと唇を重ね、仰向けにさせた有利の上にのし掛かってぬるぬると花茎を弄りだした。
「ん…む……」
濡れた声音が重なり合う唇の間から漏れ、コンラートが軍服の下から取りだした雄蕊が、狂おしげに有利の花茎と先端を合わせる。
ぬる…
ねりゅ……っ
つるつると滑り合う淡紅色の肉は互いの蜜でしとどに濡れ合い、有利はもどかしい快感に耐えかねたかのように、大きく下肢を開くと両手の指で蕾の襞を掻き分け、既に放たれた白濁に濡れるそこを晒して見せた。
「コンラッド…も、我慢できない…お願い、挿れてぇ…っ…」
「駄目だよ、ユーリ…。声、殺せないでしょう?」
「だって…だって、もう…限界…っ!」
悲鳴のような声に、グウェンダルは天を仰いだ。
『どうする…っ!?』
確かに有利は限界なのだろう。
長年鍛錬を積んでいるグウェンダルやコンラートと違い、経験も少なく若い少年には性の衝動などどういなして良いか分からないのだろうし、そもそも淫魔などという妖しの存在に魅入られてのことなのだから、我慢出来ようはずもない。
「猊下…どうか、お帰り下さい。魔王陛下の名誉のためにも…!」
グウェンダルは強い語調で叩きつけたが、その言葉は寧ろ村田の怒りを買ってしまったようだ。
「心外だなぁ…僕は全ての意味に於いて、渋谷の擁護者だよ?」
冷え冷えとした声音が響くと、パチンと指を弾くような音がして、聞き慣れた声が元気よく《ハイハイサー…っ!》と叫ぶ。
『グリエーーーーーーーーーーーーっっ!!』
昔はグウェンダルに至上の忠誠を捧げるとか言っていた癖に!
この裏切り者っ!!
恨み節を聞かせてやりたい相手は、かつてグウェンダルが命じてきた任務を巧みにこなしてきたのと同様、実に腹立たしいほどのそつの無さで扉の鍵を攻略していく。
カチン…
小気味よい音が扉から響くと同時に、見事なタイミングで扉が開かれ、するりと二人の侵入を許してしまった。
「おぉ〜や。随分と良い格好でヤっちゃってたもんだねぇ…」
「村田…っ!や、ゃあ……やめて……っ!!」
村田の持つ小型の機械を目にした途端、有利が怯えの色を見せて暴れ始めた。どうやら、その機械は映像記録装置の一種であるらしい。村田が舐めるようにして接写すると、機械にも移されているのと同じ映像が浮かび上がる。
『な…何という…っ!』
王と弟の陰茎が淫らに交わり合う様子を、涎を垂らさんばかりにして見つめる村田と機械…。羞恥に頬を染めながらも、今更身を離すことも出来ず絨毯の上で身悶える双黒の少年。
くらくらくるような倒錯感に、グウェンダルはまたしても生唾を呑み込んでしまう。
「ほぅ〜ら、渋谷…君のトロまん見せてよ。ウェラー卿のザーメンが欲しくて涎垂らしてるはしたないまんこを、大写しで撮ってあげる。あぁ〜あ…ふふふぅー。本当にとろとろ…女の子のおまんこと一緒の濡れっぷりだ。いやらしぃなぁ〜…渋谷ってば」
村田の細い指でくに…っと開かれたピンクの蕾から、とろりと白濁が滴ってすべらかな双丘を滑り落ちていった。それは確かに…なんとも淫靡な姿ではあった。
「猊下…どうか、お止め下さい…っ!」
嬲るような声にコンラートの怒声が被るが、村田はつんと澄まして答える。
「何を言っているのさ。これは恩返しなんだよ?」
「は…?何を……」
「君達は自分が侵されるかも知れないっていう危険を覚悟で、僕に取り憑いていた淫魔を退治してくれたんだからね。そりゃあ、君達が淫魔に侵されたのなら僕が手伝わないわけにはいかないだろう?」
《二次感染の危険があるなんて最初から教えて貰ってません…っ!!》
…被害者三人は絶句して、心の中で絶叫していた。
「いゃ…やぁ…っ!指、入れないで…我慢出来なくなっちゃう……っ!」
くぷぷ…っと音を立てて村田の指が有利の蕾を弄る様も、機械を受け取ったヨザックの手で克明に映し出される。この映像は後で再生が可能なのだろうか?一体…何に使うつもりなのだろう?
「我慢なんて必要ないよ。淫魔に下手に逆らうと、いつまでもその身に巣くって君を侵し続けるよ?国事で民の前に出たときに淫魔が暴発したらどうする?そこいらにいる男達のちんぽを銜えて回り、雌犬のように腰を振って《おちんぽいっぱい頂戴》なんて言いだしたら、それこそ君の名誉に関わるよ?《淫乱王》って渾名が歴史的に刻まれてしまうだろうね」
こんな状況に陥れておいてよくまぁ、しれっと言うものだ…。
盗人猛々しいとはこういう風情を言うのだろうか?
「いやいやいや…っ!そんなのヤダよーっ!!」
「だったら素直におなり、渋谷…。ウェラー卿だってちんぽがおっ勃ったままだったせいで渋谷を護りきれなかったら、死んでも死にきれないだろう?」
「く…っ…」
「さあ…僕の力が欲しいと言いなよ」
魔族がいうのも何だが、村田こそ《悪魔のような》との呼称が相応しい男だ…と、グウェンダルは再認識した。
有利を抱きしめたまま、苦悶に喘ぐコンラートが…掠れる声で《お願いします》と言ってしまったのだ。その威力たるや眞王陛下もかくやである。
「さあ…契約は交わされた」
くすくすくすくす…。
楽しげに、軽やかに笑い声が響く。
禁欲的な漆黒の衣装に身を包んでいた村田がぷつん…ぷつんと襟元の留め具を外すと、下から現れたのは婦人用下着であった。
漆黒のレースとシルクをふんだんにあしらったそれは、細い肢体によく映えて…彼の性格を知らなければ《可憐》と評することさえ出来ただろう。
「ランジェリーパーティーといこうじゃないか、渋谷…」
つい…っと上がった口角が、妖しく…淫らな角度を描いた。
* * *
『なんで…俺まで……っ!』
ヨザックに半ば拘束されるようにして、コンラートは自分の身に着付けられた衣服を見やった。げっそりとしてなるべく直視しないようにしているのだが、実のところ…眺めているヨザックや有利の瞳はハート形にとろけている。
流石に可憐なタイプのランジェリーを身につけていたら《イタタタタ》という評価を受けていたろうが、村田もその辺は萌え所が分かっている。コンラートが身につけているのはシンプルな飴色シルクのボディドレスのようなもので、裾はかなり長く、すらりとしたコンラートの肢体を際だたせている。チャイナドレスを思わせるスリットも腿の付け根まで切り込んでおり、コンラートが裾を合わせて隠そうとする仕草も恥じらいに満ちていて激しく可愛い。
更に、濃い色をしたシルクはちょっと見、下に身につけているものが分からないのだが、少し動くと…拘束着のように着込まされたガーターベルトとショーツが透けてしまうし、絶対領域の白さも犯罪的なまでに美しい。
辛そうに唇を噛みしめたストイックな姿とも相まって、何というか…激しく艶めいている。
「こんな生き恥を晒すことになろうとは…」
「そ…そんなこと無いよっ!コンラッド、凄い綺麗だよ?」
《トホホ》という形容がぴったりな様子で凹むコンラートに、必死、かつ本気で賞賛する有利はと言うと、こちらは可憐なベビードールを着せつけられていた。前から見るとふわふわとしたレースとリボンが可愛らしいのだが、うっかりお尻を上げたりすると、Tバックになっている下着からぷるんとしたお尻が丸見えになってしまう代物だ。
こちらは淡いピンクシルクの下から同系色のショーツやガーター、ご丁寧にブラジャーまでが透けて見え、股間が影になっているせいで完璧に女の子のようだ。
勿論、村田の趣味を遺憾なく発揮させたデザイン故、腿の半ばまであるストッキングの上は絶対領域の白肌が輝いている。
「俺は、こんな姿を映像に撮られたら死にたいです…」
「うるさいなぁ。顔は撮らないであげるから我慢しなよ」
《嘘だ…絶対嘘だ》…コンラートは確信していた。
迂闊な素人娘をAVに出そうとする悪徳業者のような言い回しに半泣きになってしまうが、ここまで来たら抵抗することも出来ない。
とっとと淫魔を叩き出すべく、背徳的な肉欲に身を浸すしかないのだ。
「凄い…素敵だよ?ホントに…」
「…っ!」
先程から荒い息を吐いていた有利は、淫靡な恋人の姿に煽られたかのように跪くと、ぺろんとスリットから前布をはだけさせてコンラートのショーツを露わにさせた。
『なんだこの恥ずかしさはーっっっ!!』
有利にこういう格好をさせて脱がすときのニヤニヤ感を、有利側に味合わせることになるとは思わなかった。うっとりと見惚れた漆黒の瞳は妖しく濡れて、我慢を続けさせられた反動なのか、むしゃぶりつくようにしてショーツ越しに雄蕊を舐る。
「ん…む……美味しいよぅ……」
既に下着を押し上げていた雄蕊が見る間に鎌首を擡げ、スリットの入った下着は少し角度が変わっただけで簡単に淫部を露出させてしまう。その結果、下着を身につけたままフェラチオされるという淫靡な事態に陥っている。ガーターベルトとストッキング、そして肌理細かな内腿のコントラストが激しく有利を煽っていった。
「コンラッド…きもひぃ?きもひ良い?」
盛んに確かめながら愛撫を深めていく有利は、コンラートの自制心を簡単に打ち砕いてしまう。こんな愛らしい恋人にランジェリー姿でご奉仕されて、勃たない男が居るはずもないではないか…!
コンラートは身も世もなく快楽の渦に呑み込まれ、普段ではあり得ないほど濡れた声を上げた。
「ぁ…っ…ユーリ…っ!」
「はいはいウェラー卿、ただ喘いでいる場合じゃないよ?お兄さんにご奉仕もしなきゃ」
「……っ!」
コンラートは弾かれたように絨毯の上で身を踊らせた。視線を避けるようにして一人で自慰に耽っていたグウェンダルも同様だ。
村田もグウェンダルまで仮装させる用意はしていなかったようだが(《いやぁ…幾ら僕でもフォンヴォルテール卿の女装だけは頂けないな》と言った瞬間に、軽く凹んでいたのは気のせいだろうか?)、それでもこの饗宴を回避させるつもりまではないらしい。軍服の裾を汚している雄蕊を握り込むと、強引に引っ張ってコンラートの口元まで持ってくる。
む…と生々しい熱と匂いが鼻につき、兄弟の生殖器を突きつけられるという事態にコンラートは怯えた。
「お…お止め下さい…っ!それだけは…っ!!」
「猊下…どうかお許しを……っ!!」
兄弟が二人して身を捩るものだから、流石に村田も無理強いは出来なかったが、ここで諦めないのがやはり村田クオリティ。転んでもタダでは起きなかった。
「ふーん…兄弟はやっぱりどうしても嫌?」
「それだけは…どうかご容赦下さい…っ!」
「じゃあ…ウェラー卿は《ヨザのおちんぽを舐めさせて下さい》って言いなよ。フォンヴォルテール卿は、《陛下のトロまんを舐めしゃぶらせて下さい》…だね。あ…言っとくけど、ただ舐めるだけじゃーとても淫魔は退散しないよ?しっかり喉奥まで使ったり、舌と指を突き込んで、相手が達するまでご奉仕しなよ?」
にやりと嗤いながら言う村田に、コンラートは悲痛な顔を向けた。
外野状態だったヨザックはと言うと…苦笑しつつも満更ではない様子だ。
「おんやぁ…こりゃ役得ですね。この麗しい隊長に、おちんちん銜えて貰えるなんてねぇ…」
そう言うと、露出させた猛々しい雄蕊をコンラートの眼前に突きつける。
グウェンダルと遜色のない大きさと成熟具合に、コンラートは反射的に唇を噛みしめる。
『こ…この野郎……っ!』
怒りは込み上げてくるが、最早抵抗の余地はない。
最後の一線だけは何としても護りたいコンラートは、観念したように唇を開いた。
「ヨザ…その薄汚いちんぽを舐めさせろ……」
「うーん、可愛くおねだりとは行かないけど…。でも、ツンデレ属性としては合格かな?ほら、お兄さんの方はどう?」
「………陛下のお尻を、舐らせて頂きたい…………」
唇がかみ切れそうな勢いで苦鳴をあげるグウェンダルは、怒りのオーラを放ちながらも有利のお尻に陣取った。フリルの沢山ついたショーツは肝心の所に切れ込みが入っているから、少しずらすだけでピンク色の蕾が簡単にお目見えする。
そこに舌を這わしただけで、熱い感触に有利が啼いた。
「ふにゃ…あっ!」
「ああ…やっぱり渋谷は佳い声で啼くなぁ。フォンヴォルテール卿、もっと奥まで弄ってあげて?ウェラー卿の蜜が足りないようなら、これを注ぐと良いよ」
そう言うと、村田はグウェンダルの判断を待つこともなく有利の蕾の中へとチューブ状のジェルを突っ込み、勢いよく体腔内に迸らせる。
「にゃぁあう……っ!!」
「猊下、そのように激しくしてはユーリが辛い…っ!」
「隊〜長、そんな余裕かましてる暇があるわけ?お口がお留守ですよん」
「ぐ…」
仰向けた顔を跨ぐようにしてヨザックが腰を下ろしたかと思うと、凶器を思わせる肉棒が強引にねじ込まれる。既に滴っていた先走りを味合わされると、有利のものではない雄の味にコンラートは嫌々をした。
「ん…むぅ……っ…」
「ほら、渋谷もお口を働かせて?しっかりやらないと、ウェラー卿のお尻にもヨザックをねじ込むよ?」
「……っ!」
有利の舌遣いに必死さが募った。
「そうそう。良い調子。上手にお尻の孔も責めるんだよ?」
そう言うと、村田はコンラートの蕾にも強引にジェルバックを押し込み、一気に注いだ。
「……っ!!」
悲鳴を堪える口腔内に、ヨザックの肉杭が穿たれていく。
有利はと言うと、ぬるぬるになったコンラートの蕾に執着を覚えたのか、細い指を恐る恐る入れ…その内、感じやすい肉粒を見つけると夢中になって弄った。
「コンラッド…ここ、きもひいぃ?」
「ぁふ…ユーリ……そこ、だめ…です…っ」
「んん…凄い、コンラッド…感じてる。口の中でおちんちんがおっきくなった…」
「ゃめぇ…っ」
えぶ…れじゅ…っ
ぬるる……っ
淫音を立てて口腔内の全てを使い、吸引と舌戯を奏でながら蕾を犯していく有利に、コンラートの限界が近くなっていく。口に含まされたヨザックのものも血管を浮き上がらせて膨張し、コンラートの喉奥まで責めてくる。
『お…おかしくなってしまう…っ!』
酸欠も手伝ってか、くらくらとコンラートの理性が揺らいでいった。
* * *
『なんという…可愛らしい尻孔をしているのか…』
グウェンダルはこれまで長く生きてきた分、それなりに恋も性交も体験しているのだが、実は《奉仕》という立場に立ったことがなく、相手にもさせたことがない。
基本的に育ちの良い子女か、筆おろしの際にもそれなりの立場にある品の良い女性がお相手であったため、こんな生々しい性交は昨夜のものが初めてと言える。
グウェンダルのこれまでの生活体験からすれば、性器…それも、排泄器としても使われる場所を舌で舐め解すなど《汚い》の一言で一蹴すべきものであった。
しかし…何故こうも魔王陛下という少年は芳しいような色艶に恵まれているのだろう?淡紅色をした花茎も愛らしかったが、蕾もまた匂い立つように美しく可憐な形状をしている。どこか甘いような感覚さえ味わいながら(実のところ、村田が注いだジェルの味だったわけだが)、グウェンダルは甘い飴を味わう小児のように、無心なまでの愛撫を続けていた。
試しに指を入れて弄ってやれば、感じやすい場所に差し掛かると若鮎のように跳ねてびちびちと踊る。花茎を開放してやろうとしたのだが…村田が先手を取って、数珠状になったバンドを痛々しいほどの厳しさで花茎の付け根を締めあげたため、とろとろと滴る蜜の他は出してやれなくなった。ちなみに、コンラートも同様の拘束を受けている。
こうなると…切なくなってくるのが雄の証だ。
先程は達する直前に弟の口元に引き寄せられ、萎えかけたそこも有利と弟の痴態に煽られて腹を打つ角度を為している。
『狂っているような光景だというのに…何故こうも美しい?』
親友の淫部を銜え込まされる弟に、弟の淫部を貪る魔王…。
おそらくは、その行為がいずれも欲を貪るためではなく互いの身を守りたいという念から出ているからこそ、どこか清廉なものを感じさせて…それゆえに、背徳心も増してくるのだろう。
『挿れたい…っ!ユーリを犯したい…っ!!』
今や痛いほどに膨隆したこの雄蕊を、思うさまとろとろに溶けた蕾に突き込んで腰を使いたい。両腕を後ろに引っ張って、パン…パンっと腰を突き込めば、ここまで煽られた肉体は面白いように嬌声をあげて跳ねるだろう。
分かっている。
分かっている…が、琥珀色の瞳に涙を浮かべて親友への奉仕を強要されている弟を見ていると、その健気さを踏み躙るようで出来ない。
『こんな妄想をしているだけでも、私は自らを恥じるべきなのだ…!』
自責の念がグウェンダルを打擲するが、無自覚にMっ気のある彼はそんな感情にさえも感じてぞくぞくと背筋を震わせてしまう。
「フォンヴォルテール卿…渋谷に挿れたい?」
悪魔のような囁き声が耳朶に注がれ、ちいさな舌がねろりと外耳孔を責める。ぞくぅ…っと身を震わせるグウェンダルの前に、村田は湯気が立ちそうな張り型を差し出した。それも…二本も。
「僕の下のお口でしっかり愛してあげたバイブだよ。これで、弟君と魔王陛下を好きなだけ犯してあげな…」
「な…っ!」
「道具を使えば問題ないんだろ?昨日だって繋がり合う二人を見ながら顔射してあげたんだ…今更だよ?それに、このままじゃ二人とも淫魔を退散させられない。今日一日で終わらず、何日もかかっている内に、この爛れた関係が知られたらどうするつもりだい?」
「く…っ!」
「さあ…ヨザックも手伝って?」
「へぇ〜い。隊長のお口が気持ちよすぎて、抜くの勿体ないんですけどねぇ…」
* * *
勿体ない…それは、正直な気持ちだった。
ヨザックは恋愛としてはこの《どうしようもなくエロが好き》な大賢者様を愛しているのだと思う。冷徹な頭脳とは別の所で、えげつないまでに好きな人達の肉体を求めてしまう彼は、酷く餓えていて…哀れみを帯びた切ないような愛情が、ヨザックの心をかつて無い思いで満たしていた。
ただ…村田をヨザック一人で充足させらないことに引け目を感じる部分もあり、ついつい有利やコンラートを巻き込んでしまうのだが、彼は彼なりにこの主や友人を愛してもいた。
ことに、幼少からの腐れ縁であるコンラートには肉体的にも懸想していた過去もあり、村田の許しがあるのなら、まだ雄を知らない肉体にとって、初めての肉棒を感じさせたいとも思うくらいだ。
しかし…やはり、コンラートにはコンラートのままでいて欲しいという思いもあるようだ。どんなに無茶を強いられても、一本筋の通った男で居て欲しい。
「もっとしゃぶりたいかもしれませんけど、お預けですよぅ〜」
ヨザックはコンラートの口から陰茎を引き抜くと、べろりと野性的な舌で薄い唇を舐めていった。口角から垂れていた唾液と蜜の混じったものを掬い取ったのである。しかし、調子に乗ってディープキスを仕掛けると、ガブリと噛まれて悲鳴を上げた。
「…てぇ。やっぱ隊長だなぁ…」
舌から血を滴らせつつも、ヨザックは妙に嬉しかった。やはりコンラートはこうでなくてはいけない。琥珀色の瞳を屈辱と愛欲に眇めながらも、切れそうなほどの鋭利さで叩きつけられる視線の強さは相変わらずだ。
まだ続く(…だろう)大賢者様の性の暴虐にも…しっかりと耐えて欲しい。
勝手な望みを抱きつつ、ヨザックは一心に雄蕊を銜えている有利も引き離すと(両脇を抱えてやったら、《にゃ…っ》と嫌々をする姿はまるきり猫化している)、コンラートの上に載せてやった。そうすると、二人は抱き合う形になって両手を組み合わせ、唇を寄せ合う。その姿は女装していることもあり、どこか百合めいて見えた。
「ん…むぅん……」
今、彼らの口の中では二人の雄の味が交わり合っているのだろうか?
形良い唇同士…そして、剥き出しの白い腿を餓えたように絡ませ合う様は何とも淫靡だ。
村田はキスに夢中になっている二人を止めることなく、有利のベビードールの裾を捲ると、ぱくりと双丘を割って見せる。ヨザックもコンラートの頭方向から下肢を引っ張り上げると、大きく開けさせた脚の間にジェルでしとどに濡れた蕾がお目見えした。
「ほら…ここに、挿れてあげて?」
《君が、弟と魔王を道具で犯すんだ》…村田の囁きに載せられて、グウェンダルの腕が殆ど無意識のうちに動いた。
つぷ…と張り型をそれぞれの蕾に突き入れれば、涙混じりの苦鳴があがる。
「ぐうぇん…ゃあ……」
濡れた声がどちらのものなのか、もう判別する余裕もなかった。
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