「グリューネヒルダ号の変人」E












コンラートside:E



 下着ごとズボンを引き抜き、膝丈の紺靴下のみとなった脚をM字型に曲げて秘部を露出させれば…真っ赤に染まった蕾は濡れてショッキングピンクのフックをぶら下げており、半ば勃ちとなった花茎はふるると蜜を零していた。

 よく、ここまで我慢していたものだ…。

 こんなものがそれでなくとも感じやすい有利の肉筒を責めていたのであれば、その快楽は苦痛に近いものであったろう。

『よくもこんなものを…っ!』

 榊に対する憎しみを感じつつも、コンラートが喜ぶと信じて淫具を埋め込んでいった有利を想像すると、どこか背徳的な悦びを感じて目眩を覚える。
 自分でローションを使って蕾を解し、ひとつひとつ…珠を埋め込んでいったのだろうか?

『……ユーリ…君のことが時々心配になるよ』

 あまりにまっさらで、愛というものを純粋に信じる彼はコンラートには全てを許容してくれるらしい。
 コンラートが望めば自分に出る限りの全てを捧げてしまうほどに…。

 そんなにも何もかも許されてしまうと、つい…《こんな事も大丈夫だろうか?》などというおっさん臭い欲望だとか、好奇心が疼くではないか。

 それでも、この淫具のために苦しめられているのは確かなので引き抜こうとするのだが、結構大振りな珠はがっちりと締め付けてくる蕾のせいでなかなか引き抜けない。力づくで有利を傷つけることは怖いし、ブチッとフックが切れたりすればそれこそ目も当てられない。

「ユーリ…力を抜いて?」
「いや…ぃやぁ…見ないで……ぇ…」

 引っ張る刺激でその存在を思い出したのか…有利は半狂乱になって藻掻いた。
 コンラートの反応から、これが何処の誰とも知らない者に騙された結果なのだと知ってしまったのだろう。

『知らない奴にやられたと思っているくらいなら…』

 ヨザックには悪いが、彼の《プレゼントを兼ねた悪戯》なのだと囁けば、案の定有利は落ち着いてきた。

 ただ、今度は別のことが気に掛かったらしい。

「あの…俺も、今日が誕生日だ…」
「………え?…」

 そういえば…有利の名前はドイツ語の《7月》から来ていると聞いた覚えがある。薄情にも今日の今日まで忘れていたことに赤面してしまいそうだ。

『だったら、余計に今日という日を悪い形で覚えさせないようにしなくては…』

 コンラートは心を決めると、少し《変態さん》になってみることにした。

「ね…ユーリ、俺たち…二人とも誕生日なんだよね。だったら、お互いにプレゼントを贈り合わないかい?」
「でも…俺、何にも持ってない…」
「そんな事ないよ。実は…恥ずかしくてずっと言えなかったんだけど、俺は結構セックスの時に道具を使ったりするのが好きなんだよ」
「……えっ!?」
「ほら、吃驚するだろ?だから恥ずかしくて言えなかったんだよ。ユーリはストレートな性質だから、俺のこんな性癖を知られたら嫌われちゃうかな…って心配してたんだ。そしたら、ヨザの奴が《最初から言えば引くだろうけど、好きなら少しずつは分かって貰った方が良いぜ?欲求不満になるからな》…って言って、今回みたいな無茶をしたんだよ」
「そそそ…そーなの!?」
「こんな俺は…嫌い?」

 潤んだ眼差しで掠れた声を漏らせば…有利はふるる…っと勢いよく首を振って否定した。

「う…ううんっ!だ…だって俺、嫌だったらこんなことしないし…っ!俺…コンラッドが喜んでくれると思ったから自分でいれたんだしっ!」

 わたわたと勢いよく言った後…それでもまだ心配そうに《きゅうん…》と仔犬のような顔で尋ねてくる。

「……ホントに、こんなの…嬉しい?」
「ああ…凄くね。だから…プレゼントだと思って、見せてくれるかい?」

 必死でエプロンの裾を掴んで下ろそうとしていた有利だったが…コンラートの甘い懇願を受けると、そろり…そろりと裾を引き上げていく。
 勿論羞恥に染まった顔は背けられていたけれど、随分と怯えは少なくなったようだ。

「可愛い…。真ピンクのフックがゆらゆら揺れて…とても綺麗だよ」
「…ゃっ…」

 ぴぃん…っと指先でフックを弾けば、少し緩んだ蕾からじんわりと含み込まされたローションが滴ってくる。
 見れば、花茎もすっかり恐怖から抜け出したのか…感じるままの快楽を素直に受け止めて腹を打たんばかりにそそり立ってきた。

「こんなに蜜を零して…沢山の人が見ている前で、怖かったね…?」

 全くあの様子には肝が冷えた…。
 愛らしさと淫靡の綯い交ぜになった痴態を多くの乗客が目撃したはずだ。妙な懸想を抱く者が一層増加したのではないかと心配でしょうがない。

「ぅん……」
「でも、もう大丈夫だよ。見ているのは俺だけだ…。ユーリの可愛いお尻の孔とおちんちん、たくさん嘗めて…悪戯してあげる」

 《変態っぽく》を心がけて声掛をすれば、妙にぞくぞくするような興奮を覚えて困惑してしまう。
 マズイ…癖になりそうだ…。

「ひぁ…っ!」

 つる…っと舌先を尖らせて鈴口を伝えば、面白いくらいぷくぷくと蜜が溢れてきて、たらりと滴る雫が小袋やフックをしとどに濡らしていく。
 試しに再びフックに手を掛ければ、今度は《くぷ…》っと抵抗音を立てながらも何とかひとつ目の珠が抜け出しそうになる。

「や…ゃ…っ!…で、出ちゃう…っ!」
「いいよ…いっぱい出して、ユーリ。白い蜜を浴びた君を見たいよ…」

 珠のどれかが肉粒を擦っているのだろう。珠をじわじわと引っぱりながら暴れる下肢を押さえて花茎を擦り上げれば、《どく…びゅ……っ》っと勢いよく噴出された白濁が、コンラートの言葉通り数回に分けて飛び散り、二人の顔や下腹…滑らかなシーツへと四散していく。

「あ…ぁあ…あーっ!」

 じゅ…ち…ぅ……

 濡れた音を立てて尿道口を吸い上げ、残渣も綺麗に吸い取りながら慎重にフックを引いていくと…漸く《ごぷり》と音を立てて一つ目の珠が蕾から解放された。

『…よく、入れたな…』

 どんな顔をして、一人で蕾を慣らして…入れたのだろうか?
 一つ目の珠はかなりの大きさで、殆ど有利の蕾の限界値くらいの大きさであった。二つ目からは少しずつ小さな珠になっていき、5つ目が出たところで最後となった。
 
 大きな詰め物が無くなって安堵したせいもあるのだろう、普段はきつく閉じられた蕾も紅色に染まってほわりと花弁を開き、綺麗なサーモンピンクの肉壁が隠微な艶を帯びて垣間見える。

 こぷ…
 とりゅ…っ…

 喘ぐようにひくつく花弁から溢れ出る透明なローション…それはまさに華の蜜さながらに双丘の谷間を流れていく。

『綺麗だ…』

 うっとりと見惚れた後、はっと我に返る。

 拙い。実にマズイ……。
 このままでは本当に、変な嗜好に目覚めてしまいそうだ。

「ユーリ…俺からもプレゼントをあげる。ユーリが好きなものをあげるよ…」
「ほ…しぃ……もの……」

 恍惚とした表情で口角から涎を零していた有利は、まだ明瞭な意識を取り戻すことのないまま譫言のように呟く。いつもは仔犬のようにきらきらとしたつぶらな瞳が、今は淫欲に濡れて茫洋と彷徨っていた。
 
「何が欲しい?」
「あ…コンラッ……欲し…ぃ……」

 期待通りの言葉を返す恋人に、はち切れそうな前立てをくつろげて雄蕊を引き出すと、珍しく前戯も早々にずぷりと突き込んでいくが…いつものように強張ることなく、蕾は餓えたような貪欲さを見せてコンラートを引き込んでいった。

『…凄…っ!』

 くらりと眩暈を覚えそうになる。

 あえやかに開花した有利は羞恥を忘れたように奔放になり、しなやかな下肢も精一杯伸ばした腕もコンラートを捕らえようとするように絡みついてくる。勿論…雄蕊を取り込んだ肉壁は狂喜するように淫靡な動きを見せて《どりゅり…くぷる…》と音を立てる。

「動いて…めちゃめちゃにしてぇ…っ!」

 もう、自分が何を言っているのかも理解できないのかも知れない。
 普段からは考えられないくらい、いやらしい言葉が迸らせて奔放に快楽を追う。

「良いよ…君が望むだけあげる。だからユーリも…俺に頂戴?」
「あげる…俺がもってる全部あげるから…お願いぃ…っ!」

 焦らしていられたのはここまでだった。

 コンラートもまた堪えきれなくなり、激しく腰を使って肉壁へと雄蕊を擦りつけていく。ローションによるぬるつきで摩擦による抵抗はないものの、相変わらず強く締め付けてくる肉筒は腰を引き…突き込むたびに絶妙なタイミングで《びくん…びくんっ》…と、ひくついてくれる。

 すぐにでも到達してしまうそうな雄蕊に《待て》を掛け、媚肉の中にある感じやすい粒をぐりぐりと抉り立てながら有利の花茎を手で擦ると、先程到達したばかりの肉は若さと欲望を証明するようにすぐさま硬度を高めていく。
  
「こっちも美味しそうだ…」

 繋がったまま上体を曲げてエプロンの陰に隠れた桜粒を囓れば、ぷくんと痼るそこはすぐに濡れて艶を増していく。
 普段は有利の高校生活を慮って極力痕をつけないように愛撫するのだが、今日は歯止めが利かなくなって白い肌に刻み込むようにして朱花を散らしていく…。

「あ…っん……そこ…ゃ…っ」
「脇腹…感じやすいよね」

 右の肋骨弓に歯を立ててくすくすと笑えば、零れる息すらも巧みな愛撫と感じるらしく、掌の中で花茎が反り返っていく。

 ぬる…じゅ…っと擦り上げ、限界近くまで嬲ったところで一際強く腰を突き込んだ瞬間…有利の体腔内に熱い情欲が放たれ、花茎もまた二度目の開放を迎えて白濁を射出させた。








有利side:F



 繋がった場所が、どくん…どくんと拍動を伝える。

 息をするのも忘れて白い喉を仰け反らせていた有利は、恍惚とした意識の中で再び蠢くものを感じた。

 のし掛かってくるコンラートの重みと彼独特の香気を感じると、二人の間に挟み込まれた花茎が硬度を取り戻そうとしてくる

『もっと…欲しぃ……』

 恥ずかしいと感じる部分が一時的に吹っ飛んでいるらしく、力の籠もらぬ手をコンラートのそれに添えると、腰をうねらせて花茎への刺激を求める。

「もっと欲しい?」
「ぅん…うん…っ!欲しい…よぉ…っ」

 素直にこくこくと頷けば、コンラートは淫靡な笑みを浮かべてぐりゅりと腰を回す。
 
「ひぁん…っ!」
「たまには…こんな風に淫蕩なユーリも素敵だね」
「嫌じゃ…ない?こんなに…欲しがって…」
「俺以外を欲しがったりしたら嫌だけどね」

 少し意地悪な声を耳朶に注げば、有利は大真面目に憤って見せた。

「あんたしか…いらないよっ!」
「ユーリ…」

 体腔内で、コンラートの雄蕊が再び力を取り戻そうとしているのが分かった。
 まだ少し柔らかさを残したままゆるゆると腰を回せば、ぐちゅりと継ぎ目から白濁が溢れて双丘を伝う。その感触すら淫靡な刺激となって、ぬめりを掌で尻になすりつけられるのにも甘い声が零れてしまう。

「ぬるぬるだ…大洪水だね。おかげで…繋がったままでも自由に体勢が変えられる…」
「ゃ…っ」

 獣のように四つん這いにさせると、いつもなら《ちょっと怖い》と怯えるのだが…シーツに顔を埋めて尻を突き上げた有利は、繋がった場所からの摩擦を求めてふりふりと尻を揺らしてしまう。
 その仕草がどれほど男を煽るかなど考えもせずに…。

 ず…ぷぅ……っ

 正面から向かい合っていたときよりも深く…抉られる。

「ひぁん…っ!」

 悲鳴とも矯正ともつかない叫びをシーツに吸わせると、後はもう…揺すられ、突き上げられるまま叫び続けた。

「ひ…深っ…そこぉ…もっと…もっとぉお………っ!」

 ぱん…ぱん…
 じゅ……っ

 雄蕊が突き込まれると、根方まで含まされたことでコンラートの逞しい下腹が尻が打ち、お仕置きされる子どもみたいな打撃音を立ててしまうし、ずるる…っと名残惜しげに引き抜かれれば、今度は有利の肉襞が《行かせまい》と絡みついて淫音を立てる。

 既に幾度も絶頂を迎えたはずの花茎は再び勃ちあがって腹を打つが、もう白濁の残存は少ないのか、だらりと透明な雫がこぼれるだけで到達することは出来ない。
 通常、男が感じることはないはずの焦れったいような甘い苦痛が、下腹に凝(こご)って有利の身体を変質させていく。

 蕾の奥津城に隠された秘肉を突かれることで最上の快楽を得る獣へと、有利を変貌させていくのだ。

『凄…コンラッドの……俺の中、いっぱい…っ!』

 欲しくて欲しくて堪らなかった熱と質感が、ぴったりとコンラートの形に有利の体腔を変形させているのが分かる。
 激しく突き上げたかと思えば、不意に焦らすように動きを緩やかなものにする雄蕊に、有利は翻弄されるがまま開発されていった。

 もう、コンラートの愛撫なしに生きていくことなど出来ないと思うほどに、うっかり調教されてしまったわけである。

 どくん…っと、コンラートが二度目の到達を果たした瞬間、有利の内腔は一際大きく《ぶわ…》っと拡げられ、普通ならその勢いで有利は意識を飛ばしていたと思われる。
 だが、まだ満ち足りることを知らない有利の身体はコンラートの白濁を搾り取るように収斂しながら、新たな刺激を求めて小刻みに震えていた。

「ぁ…佳い……っ…」

 はぁ…はぁ…っと、獣のように荒い息を吐きながら舌を震わせる有利に腕を回すと、苦痛でない動きで撓る背が抱え上げられる。
 《抱きしめられるのかな?》…そう思って伸ばそうとした腕は空振りしてしまった。
 有利は抱きとめられるのではなく…実に不安定な体位を取らされていた。

「わ…っ…く……っ」

 仰向けになったコンラートを跨ぐようにして、有利は繋がったまま騎乗位を取らされていたのである。
 自重で飲み込んだ雄蕊は幾らか硬度を下げてはいるものの、未だ十分な大きさを保ったままで有利の中に在り続けている。

「脱ごうか?それとも…脱がしてくれる?」

 コンラートは艶やかな流し目を送ると、思わせぶりな動作でゆっくりとネクタイを解く。有利の好きな、人差し指を引っかけて首を振りながら緩めていくやり方で…だ。

「……っ!」

 どくん…っと有利の中で欲情が燃える。

 雄蕊以外はかっちりとスーツを着込んでいたコンラートは、上着は自分で脱いだけれど…シャツのボタンは二つ目までを外したところで胸元をちらつかせ、ズボンのベルトも前だけ外して鼠経部にぎりぎり引っかかるラインにズボンを引き下げる。
 
 もっと見たい…。
 
 有利がそう思うことを熟知しているように、コンラートの瞳が淫靡な艶を湛える。

「さあ…おいで、ユーリ…」
「……ひぅ…っ」

 両手を広げてそう呼びかけられれば、多少きつい体勢でもついフラフラと引き寄せられ…前屈みになったことで角度が変わった雄蕊に甘い悲鳴を上げてしまう。

 それでもやはり自分を止めることは出来なくて、誘われるままもつれる指でシャツのボタンを外し、現れた胸筋の溝につぅ…っと舌を這わせると、瑞々しい肌は弾力をもって唾液を受け止めた。

『コンラッド…綺麗な肌……』

 コンラートはよく有利の肌のことを《肌理が細かい》とか、《なんてすべすべなんだろう!》と感嘆してみせるが、コンラートだって白人とは思えないくらい滑らかな肌質をしている。
 表面はさらりとして、触れるとしなやかな筋肉の盛り上がりが分かるものだから、そういった肉体に憧れる身としては両手や舌、唇の全てを使って愛撫したくなる。

 いつもして貰っているように、硬く尖らせた舌先でちろりと淡い鳶色をした乳首を掠めれば…コンラートの声が一層悩ましく掠れた。

「上手だよ…ユーリ。素敵なプレゼントだ…」
「ん…んん……」

 ぺろ…ぺりゅ…っとミルクを求める仔猫のように舐め上げ、軽く犬歯の先で甘噛みすれば、有利の中に埋め込まれた雄蕊がどくりと容積を増す。 

「ぅ…くぅうん……っ」
「ユーリも脱いで?」
「ん…ぅん…っ…」

 促されるまま、辛うじて身体にまとわりついていたエプロンを脱ごうとした途端に《ぐん…》っとコンラートの腰が突き上げられる。

「ゃあ…っ!」
「たまらない眺めだね…ユーリ。繋がってるところが丸見えだ」
「……っ!」

 言われてコンラートの視線を意識すると、有利は脱ごうとしてエプロンの裾を上げたのだが…これが二人の接合部をチラ見せ状態にしてしまったことが恋人の熱を再燃させてしまったらしい。
 骨盤をがっしりと大きな両手で掴まれると、良いように突き上げられ…背筋を弓なりに反らせて喘いでしまう。

「ぁ…ぁん…ぁあん……っ…あぁ…」

 リズミカルに突き上げられ、倒れてしまいそうな身体をコンラートが支える。
 一際強く《ドン…》っと抉られ…再び体腔内に白濁を浴びた瞬間、有利はここまでに感じつつあった悦楽をより進化した形で享受することになる。

 勢いよく射出するのではなく…じゅわ…どろ……っと尿道を伝って溢れてくる白濁。
 それは、有利が秘肉を嬲られることで達する身体に成育してしまったことを証明していた。

「…っ……っ……」

 身体中を伝う甘い電流に、もう有利は自分の身体を指先たりと動かすことが出来なくなっていた。
 暫くの間…言葉もなくひくついていた有利は、幾度か燻らすように練られていた継ぎ目からコンラートの雄蕊が引き抜かれていくことに、喪失感を覚えながらも流石に《もっと》と口にすることは出来ない。

 ごぷ…っと溢れてくる白濁の量から考えても、色々と限界だと悟ったのだ。




 





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