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突然…蠱惑的な眼差しを浮かべて、ツェツィーリエが《つぃ》…と唇の端を釣り上げた。 「女同士の楽しみ?こんな風にパジャマでお邪魔な宴会したり、おやつ摘んだりお喋りしたり?」 「そういうのも楽しいけど、ね…?あなた達、恋人同士でしょ?」 ぶふぅっ! 有利は口に含んでいたノンカフェインの茶を噴き出した。 「な…なな…っ!」 「うふぅん…照れなくってもいいのよ?あたくし、ちゃあ〜んとその辺りの理解はあるんだから、ね…見てみて!こんなの用意したのよぉ〜!」 「う…っ!」 ツェツィーリエがベットの上に広げた物の群れに、有利とコンラートは同時に絶句した。 ディルドが二つ連結されたものに、腰に取り付けるベルトがついたディルド…蜜壷と後宮を同時に責めようと言うのか、形状の異なるディルドが二本並んだもの…各種の淫猥な道具がつやつやと灯火を弾き、強い存在感を誇示していた。 「これなんかどう?ちょっと陛下には大きいかも知れないと思ったんだけど…コンラートはあの人の子ですものね、きっと巨砲だろうから陛下もそれに見合った物でない満足しないだろうと思って…」 「大きさはともかく、俺にはイボはついていません…」 「このイボが佳いのよぉ?」 「…………試されたのですか?」 「ええ、愛はあっても大きさが不十分な殿方とお付き合いしているときには必需品なのよ?」 殿方…気の毒…。 「ね…陛下、ちょっとお口に銜えて見て下さらない?」 「え…ええええぇぇえ!?」 口元に大ぶりな(見事にコンラートと同サイズの)ディルドを突きつけられ、濡れた眼差しで見つめられると有利は絶句してしまう。 「母上、陛下に無茶なことを仰らないで下さい…」 声は大きくなかったのだが…底冷えするようなコンラートの声音に、ツェツィーリエは《ひっ》と小さな悲鳴を上げた。 「やぁん…コンラートったら…そんなに怖い顔をしないで?ちょっとした好奇心なのよ。そりゃあ…陛下のお口で濡らした物でぬるぬるに濡れた場所を思う様ぐりぐりして差し上げたいとも思うケド…」 「母上…」 「やーん、分かったわっ!分かったからそんな恐ろしい声出さないでぇっ!」 さしものツェツィーリエも、怒り心頭に達した娘(息子?)の迫力には耐えきれなかったらしい。 素早くガウンを着込むと、衛兵を連れて脱兎の勢いで逃げ出した。 「すみません…ユーリ。母上のおふざけが過ぎましたね?」 「平気だよぉ、流石にツェリ様もこいつで俺をどうこうしようなんて気はなかったんじゃない?」 「………」 コンラートは返事が出来ない。 答えを知らないわけではなく、寧ろ、明確に否定できる材料を持っているからだ。 基本的に男に抱かれることを好むツェツィーリエではあるが、自分の嗜虐性を適度に満たしてくれる愛らしい女性を見ると、あの手この手で籠絡して調教するのも好きなのだ。 自分が抱かれる時には体格がしっかりした…ダンヒーリーのように野性的な男を原則として好むが、自分の手で《抱きたい》と思う対象は男であれ女であれ…有利のように可憐なタイプを好む(ちなみに、ヴォルフラムの父は後者のタイプだった…)。 『あの母にしてこの子ありとはよく言ったものだ…』 自分の遺伝形質の確かな出自を思いつつ…コンラートは嘆息した。 「ユーリ…そういうものに興味がおありですか?」 しげしげと不思議な道具を手にとって見ている有利に、コンラートは意外そうな眼差しを送った。 「うん、これ…なんかどこかで見たことある…」 有利は両刃のディルドを手に取り真ん中を掴んで前後に振り始めると、ゴムのような素材のディルドはぶるぶると震えて反動を返した。 「あー…ほらこれ、ダイエットできるやつみたい!」 「………」 並べられているものがどういう用途の物なのかは多少察しが付いているのだろうが、それが自分の身体に入ったりするという実感がないのだろう。実に無邪気な遊びっぷりだ。 「使ってみますか?折角ですから…」 「……え!?」 「今の俺は女ですから…あなたを十分に満足させられないかも知れませんよ?幸い大きさは俺と同じくらいの物のようですし…使いようによっては俺のより佳いくらいかも」 「嫌だっ!」 「ユーリ…?」 有利はディルドを投げ捨てると、コンラートの胸に痛いくらいの勢いで抱きついていった。 「俺は…あんたが相手だからああいうコトするんだぜ?気持ちいいとか良くないとか…そんなの関係ないだろ!?」 「すみません…ユーリ……」 コンラートは胸に溢れてくる暖かい思いを楽しみつつ、きゅ…っと有利を豊満な胸に抱き寄せた。 「では…今の俺の身体でも愛して下さいますか?」 「あ…当たり前だろ!?あんただって…その……俺が女の身体になっても抱いてくれたじゃん!」 そう言いながら…有利の頬は真っ赤に染まっていく。 コンラートの胸は弾力のある《つん》…と張った釣り鐘型をしており、顔を埋めると良い香りと共にふにゅりと沈み込み…ブラウンの薄布越しに見える桜色の乳首は唇の届く位置にある。 『う…わ……』 女性の身体にこんな風に触れるなど、ツェツィーリエの胸に抱かれた時くらいなものだ。 『良い匂い…それに、柔らかい……』 どきどきと鼓動が激しくなり、おずおずと伸ばされる手が…ふか…っとコンラートの胸を覆った。 「ぁ…っ」 「痛い?ごめ…」 「いいえ…ね、ユーリ…折角ですから、直に触って?」 「い、良いの?」 そろりとネグリジェの裾から手を差し込めば、しっとりと手に馴染む滑らかな肌が掌に密着してくる。そのなかで、既に硬度を持ち始めた桜色の尖りがころりとした質感を呈していた。 もみゅ…と遠慮がちに大ぶりな乳房を揉んでいると、有利のそれもまたコンラートに包まれてしまう。レースと小花模様のブラジャーはずり下ろされ、露わになった乳房へとネグリジェ越しに舌が這わされる。 「ぁ…っ!や……っ」 「ユーリも舐めて下さいますか?」 「ぅん…」 くち…ぬち…… 薄布越しにはむりと乳首を銜え、唾液を絡めていけばぴったりと布が張り付き、露わになる乳首の曲線に有利は恍惚として没頭した。 「凄…コンラッド……綺麗……」 「ユーリこそ…」 パフリーズとブラジャーを脱がされれば小さな布地のショーツ一枚になり…同じようにネグリジェを脱ぎ去ったコンラートがのし掛かってくる。 そのしなやかな腰に手を回すと、にっこりと微笑んでコンラート胸が押しつけられてきた。 「凄い眺め…まさか、自分とあなたの胸の間で谷間を作る日が来るとは思いませんでしたよ…」 「お…俺も……」 むに…ぷに…と押しつけられる胸の弾力に、互いの尖りが感応して硬く立ち上がってくる。唾液で濡れたそこはぬるついて転がり、ぷくん…と薄紅色に膨らんでいた。 「にゃ…っ!」 胸の感触に溺れかけていた有利は、コンラートの指が下着越しにくりゅりと陰核を辿る刺激に、幼獣めいた嬌声を上げた。 「ふふ…相変わらずここが弱いですね。それに、すぐに濡れて…可愛い…」 「こ、コンラッドだってどうなんだよっ!!」 有利の指がコンラートのものを触ろうとするが、その手はするりと避されてしまう。 「俺は良いですよ。ユーリに気持ちよくなって欲しいから…」 心なしか焦ったような物言いに、有利はにんまりと微笑んだ。 「えへへ…そーいや、この身体は俺の方が先輩だもんね。コンラッド、実はまだこの身体に馴染んでないんだろー?コンラッドのって特に立派だったから、ないのが恥ずかしいな?」 「え…ええ、そうなんですよ」 「でも!それって狡いぞっ!!俺だって恥ずかしいのにあんたに全部見られちゃってんだから!俺にも見せてくんなきゃ、二度とエッチなんてしないからなっ!!」 正直、明るいところでまじまじと女性のものを見てみたいという好奇心もある。 コンラートとこういう関係になった以上、一生ご縁がないと諦めかけていただけに、今回のことはちよっと嬉しかったりもするのだ。 「ぅ…そ、それは…困りますね…」 頬を染めて困ったように瞳を潤ませるコンラートは、女体化しているせいもあってえも言えぬ色香を漂わせる。 思わず…有利はごきゅりと唾を飲み込むと、コンラートを膝立たせようとのし掛かった。 「あ…ユーリ……やめ……っ!」 ああ…こんな台詞をコンラートの口から聞く日が来るなんて… 有利は妙に嬉しい心持ちでコンラートのすんなりと伸びる美脚を開き…そこに、不思議なものを発見した。 「あれ…?」 「………………おかしい、でしょ?」 コンラートは完璧な女性の外見を持っていた。 だが…ただひとつ、股間を覆うショーツを突き上げている物…それは、見まごう事なき雄蕊であった。 その下部に透ける濡れた襞は女体特有の器官だが、陰核に変ずるべき部分が陰茎として取り残されてしまったらしい。 「中途半端でお恥ずかしいので、黙っていようと思ったのですが…」 恥ずかしげに瞼を伏せるコンラートに、有利はむぎゅ…っと抱きついた。 「もぉ…いい加減にしろよコンラッド!こんなので俺が呆れるとでも思ったのかよ?」 「ユーリ…」 「良いじゃん。ちんこがあったってさ!その…道具とかつかわなくってもヤれるんだから都合が良いくらいだよ!」 「こんな得体の知れない物を…ユーリに挿れてしまってもいいのですか?」 「得体が知れないのはお互い様さ!俺のここだって…へんてこじゃん!」 有利はショーツをつるりと脱ぎ去ると、大きく脚を広げてコンラートに指し示した。 本当はよく見えるように彼に示すのは恥ずかしいのだけど…今は、彼の不安を取り除くことが先決だった。 だって、有利は彼の《先輩》なのだから。 「ね…へんてこだろ?」 ぴろ…と指で襞をかき分ければ、サーモンピンクの肉壁がしとどに濡れて晒される。 「本当は俺の身体にあるもんじゃないのに…あんたが欲しくて、こんなにひくひくしてる。恥ずかしいけど…あんたは、これでも良いって言ってくれたろ?」 「ええ…とても綺麗だ。あなたは…」 「あんただって綺麗だよっ!」 「あ…いけません、ユーリ…」 しどけない抵抗が新鮮で、有利はコンラートの脚を大きく開くと、ショーツの影から躍り出た馴染みのある雄蕊に舌を這わせた。 「ちょびっと褐色ががかったピンクで…隆々と聳えてて、俺を気持ちよくさせてくれるお肉…凄く、綺麗だよ…」 はむ…と亀頭を唇に含み込み、最近少し上達した舌技でちろちろと鈴口を伝えば、とぷ…と下部の襞裂から愛液が溢れた。 「ほら…ここだって、俺のと同じくらい濡れてる…コンラッド、可愛い」 「ユーリ…恥ずかしいです……」 口元を両手で覆って嬌声を隠すコンラートに、益々有利の嗜虐心は刺激されるのだった。 なるほど…有利を抱くコンラートの心境とはこういうものだっただろうか? 「ユーリ、ね……ユーリ……」 「なに?」 《止めて》とお願いされるのかと思いきや…コンラートはころりと有利をベット上に転がすと、婉然と微笑んでシックスナインの体位を取った。 「俺だけされるのは恥ずかしいですし…折角ですから二人で気持ちよくなりませんか?」 「んゃ…っ!」 先程までの優位が嘘のように、ちゅぷちゃくと水音を立てて愛撫されれば有利は簡単に翻弄されてしまう。 「ユーリも舐めて下さいね?俺の女の部分も…処女は、あなたに貰って欲しいな」 「ゃん…っ!」 「だって…俺、怖いんです…。今まで数多くの男を倒してきましたけど、今は女の身でしょう?いつ何時襲われて…今までの恨みを晴らすべく陵辱…なんて事になったら……」 そんな危険は絶対に回避するし、実施計画が判明しただけで、この世に生まれたことを後悔するような処遇を味あわせてやるつもりだが、コンラートは殊更薄倖の麗しさを湛えて切なげな声を出した。 「そんな…っ!」 「混血の俺があなたの傍に侍っていることに反感を持つ者は多いのですよ?複数で掛かられて輪姦されたりしたら…。この男とも女ともつかない身体を嘲笑されながら、《流石は混血だ》等と侮蔑されながら犯されるかも知れない…」 「やだ…そんな話…っ!」 「ですから、俺の処女は…あなたに貰って欲しいのです…」 「でも…どうやって……」 「これを、使って頂けますか?」 先程断った…両刃のディルドを翳す。 コンラートの物に比べれば随分と細身だが、所々に歪な突起がついているのが酷く不安をそそる。 「そ…んな……」 「お願いです…ユーリ……」 縋り付くように頼み込めば、有利が何時までも抵抗できるはずもなかった。 こと、《混血差別》ネタで彼が折れないはずがないのだ(ネタって…)。 「うん…分かった……でも、それって…どうやって使うの?」 「こうして…香油をたっぷりと絡めて…」 くぷ…と有利の菊華に添えていく。 「えぇ!?う…後ろにいきなり挿れるの!?」 「ええ、折角ですからユーリの後ろと俺の処女腔を繋いで…ユーリの蜜壷は俺ので満たして差し上げたいんです」 「折角って…何かさっきまでもっと殊勝な話だったような…」 「いえいえ…今だって切実な願いですよ?」 「ゃん…っ!」 くぷりと先端を飲み込ませれば、勝手知ったる他人の後宮…すぐに佳いところを見つけ出してしまう。 「ん…んんっ!」 「そろそろ…いいですか?」 ぺろりと舌なめずりをして(そんな処女嫌だ)、丁度継ぎ目の所までずっぷりとディルドを挿入すれば、手を離してもふるふると震えつつ…有利の後宮からそそり立つようにしてディルドが伸びる。 『可愛い女の子がお尻からこんな逸物を生やしているなんて…なんとも淫靡な眺めだな…』 くすくすと笑いたい気持ちを抑え、コンラートは自分の肉襞をぴたりとディルドに合わせた。 有利の愛撫でぬめるそこはやすやすと異物を飲み込み、破瓜による痛みなど皆無な状態でコンラートの処女を奪っていく。 そして、それと相対するようにして有利の蜜壷を犯していくのは…こちらは圧倒的に巨大な容積を誇る雄蕊であった。どちらが不利(?)なのかは一目瞭然であろう。 「ん…ゃ……っ!!」 有利の背が反り上がり、ずぶずぶと埋め込まれる雄蕊と、肉壁一枚を隔てて押し込まれたディルドに苦痛を帯びた嬌声を上げる。 コンラートの手はがっしりと有利の両脚を掴んでこれ以上ないほどにM字に押し開き…遮る物無く晒された陰部に、深々と双刃を潜らせていく。 さしものコンラートも、初めての場所で異物を含むことに多少の抵抗はあったものの…生来の淫蕩な気質の為か、そこで快楽を得られると知ればもうさほどの違和感はない。 ぐ…と骨盤底筋に力を込めれば、イボのついたディルドはぴたりと蜜壷に張り付き、腰を突き込めば雄蕊と共に有利の二つ孔を同時に責め立てた。 「ゃああぅぅ……っっ!!」 信じがたい悦楽に、有利が吠える。 「ゃ…やぁ…や……っ…コン…止め……っ!」 涙を零して身を捩っても、もう深々と貫かれた部分は外れようもない。 濡れた音を立ててぬぷぬぷと犯されていくしかなかった。 「ぁあ…ユーリ…気持ちいい……ユーリに処女を貰って頂けるなんて…光栄です…っ」 「ぁ…んん…そ……ぅ?」 嘘です。 この男(女)、明らかに襲ってます。 その証拠に、がっしりと蜜壷はディルドを捉え、振動等による快感はあるものの、その動きの主導権は明らかにコンラート側にあった。 「ぁあああん…っっ!」 有利の最奥に白濁が吐き出されると同時に…コンラートはぶるる…と震えて《女》としての絶頂も迎えたのだった…。 そういった意味では、《初めての相手は魔王陛下でした》と、言えなくもない(詭弁…)。 |