第二章 VーA
「なんか…簡単に言ってねぇか?禁忌の箱をどうにかしなけりゃ…ってのは誰しも考えることだが、なんせ場所が場所だ。ちっせぇ国が勃興を繰り返して、戦国時代の様相を呈してる地域で…しかも、人間の領土だぞ?俺たち魔族が入りこむのに、どれだけの危険があるか…」
不審げにギィが呟くと、コンラッドは見惚れるほど良い笑顔を浮かべて答えたのだった。
「簡単ではないさ。さっきも言ったろう?だが、難しいことと不可能なことは違う。環境を整えることが出来れば、俺は陛下と共に君達の眞魔国に赴こう。君達の眞魔国を…救うためにね」
「コンラッド…あんたってば、やっぱ最高だよっ!」
有利は冷めてしまった軽食の山をぴょーんっと飛び越えると、コンラッドの胸に勢いよく飛び込んでいった。
「ああ…陛下、先程も申し上げたように事は簡単ではありませんよ?俺も、今のレオの申し出であれば反対すると言ったばかりでしょう?レオは策を練る必要がありますし、俺は情報を集める必要がある。そしてあなたは血盟城に戻ってから宰相、王佐、大賢者の同意を得た上で十貴族会議を招集し、その議決を得ねばなりません」
「分かってる…でも、俺…あんたが…俺が望む道を支えようって思ってくれただけで、何かもうもう…ぎゅーってしたい気持ちなんだよ!」
感極まる…といった表情の有利は、周りの目など全く気にならないらしく(忘れているという可能性もあるが…)、愛おしい男の頬に自分のそれを合わせて、高ぶる感激のままにぐりぐりとすり寄せた。
「それはベッドでやって頂きたいところですが…今はもう少し話を詰めましょうね?」
にっこり微笑んだコンラッドはさり気なく有利を自分の横に座らせて、そのままカップにお茶を注いで飲ませた。少なくとも、それを飲み終わるまで有利はその席から動くまい。
『禁忌の箱の処理…か。出来るのだろうか?』
一体…なにがその為には必要なのだろう?
禁忌の箱を再封印することについては、レオも考えの中には持っていた。
だが…極めて作業が困難な場所に箱は沈んでおり、封印のための方策も分からない。もしかしたら魔族の中の誰かが正しい鍵の持ち主であり、操作することが可能なのかも知れないが…レオのいる眞魔国にはそれを知るものが居なかった。
『……居なかった………そうか!』
「この国には…居るんだな?禁忌の箱についての情報を持つ者が…っ!」
コンラッドは頷くと、ぽん…っと自分の左腕を叩いた。
「そうだよ、レオ。君の世界で暴発した禁忌の箱について言えば、鍵は俺たち三兄弟だ」
「なんだって…?」
「俺の左腕、グウェンの左目、ヴォルフの心臓…そして、地球の魔族に護られている《鏡の水底》の鍵は有利の血だ。具体的にどう対処すべきかについては大賢者と眞王、巫女ウルリーケの助言が必要だろうな。だが、君には彼らとの会見までに煮詰めておくべき懸案事項があるはずだ」
理路整然と筋道立てて提示された内容が、理解できないレオではない。
「人間の領土にある禁忌の箱に、近づくための方策を練ることか?」
「そうだ。こればかりはあちらの状況を知る君でなくては出来ない。また、君は眞魔国の中ですら反逆者として追われる身なんだろう?この状況を改善しないことには、俺たちが協力すると言っても限界がある。君はあちらの世界で自己の置かれた立場を改善し、陛下が君の世界に赴くに際して、俺を納得させるだけの安全性を確保する義務がある。その上で説得力を持つ提案が出来なければ、俺はやはり…君に反対するよ?」
「分かった。やってみる」
思いのほか素直に頷くことが出来た。
拗ねてみたところでしょうがない。コンラッドの方が《禁忌の箱》問題を解決済みである分、情報量が圧倒的に多いことは否めないのだから。
「俺はどうしたらいいんだろう…」
「陛下はまず、猊下を説得できるかどうかだと思いますね」
「村田?…やっぱ、反対するかな?」
有利の顔があからさまにしょげかえる。
よほど恐ろしい反発に遭いそうなのだろうか…。
レオは血盟城に掛けられた、大賢者の肖像画を思い出した。
理知的で、底の知れない笑みを称えた双黒の大賢者…彼がどのような形でこの国にいるのだろうか?
おそらく…彼こそが最重要情報を握る人物であり、同時に…最も力を入れて説得すべき人物でもあるのだろう。
「陛下があくまで行くとなれば、反対されるでしょう。当然です。俺にも、何故止めなかったのかとお叱りがあると思いますね」
「うう…ゴメンね、コンラッド…」
「謝る必要はありません。それに…猊下のお知恵で、陛下無しで何とかなる方策を捻り出してくれるという可能性も無いわけではありませんからね」
「あんのかなぁ…」
「あってくれれば一番良いんですけどねぇ…」
深々と溜息を漏らすと、コンラッドは卓上に載せられたお茶を飲んだ。
その口元は、どこか皮肉げに歪められている。
当然と言えば当然だろう。純粋に彼個人の心情から言えば、どうしたって有利を行かせたい筈がない。
「そんなところで、俺たちの基本方針は良いかな?後は互いの歴史がどのような差違を持つかの確認になると思うが、少し話が落ち着いたところで腹に何か入れないか?基本的に、すぐにどうこうなる話ではない。陛下がもし行くことになれば、万全の準備を整えてからになるだろうしな」
「分かった」
レオは野菜と肉を炒めたものを、焼いた小麦粉の皮で巻き込んだ軽食を囓りながら…少しばかり落ち込んでいた。
『仕方のないこととはいえ…良いところを持って行かれてばかりだな…』
こちらでのレオはどうしたって、報酬もなしに情報提供を求め、あまつさえ…一国の君主を危険極まりない場所へと連れ出そうとしている存在なのだ。その中で手を貸してくれるという希有の存在に対しては、どうしても腰が低くなってしまう。
『それにしても…まさか、この男が条件を提示した上とはいえ、ユーリを行かせることを前提に話を進めてくれるとは思わなかったな…。普通なら、頭ごなしに拒否を示すことだろう』
何故、レオ達を叩き出さないのだろうか?
平和で何も問題のない国に住んでいて、魔王陛下との結婚を目前に控えたこの男にとって、レオに協力して得られるものなど何一つ無いはずなのに…。
「コンラッド…美味しいね!」
「ええ、やはりこれは買っておいて良かったですね。冷めても香ばしさが秀逸です。ビバ、B級グルメ!」
「ふほー、まいうー」
「まいうー」
すっかりリラックスモードに入ってしまった二人は、またしても不可解な単語を繰り出しながら軽食に舌鼓を打っている。
ヨザックとギィが如何にも不機嫌そうに、もそもそと食べているのとは見事な好対照をなしていた。
その内…脳天気にも見えるコンラッドに対して、我慢しきれなくなったらしいヨザックが苦言を吐いた。
「隊長…こんな与太話、本当にまるっと信じて良いのか?」
「ま、嘘ではないだろう。いっそのこと、嘘だったらどんなにか良いと思うがね」
「そりゃそうだ。だってよ…あんた、本当だとしてもだぜ?こっちにゃ何の利益も無いじゃねぇか」
「そうでもないさ」
「何があるってんだよ」
軽くいなすコンラッドに、レオも思わず注目した。
「助けられれば、ユーリが満足する」
「……………はぁ?」
ぽかんと呆れたようにヨザックが口を開ければ、ギィも面白いほど同じような顔をする。
鋼だけは何となく…共感めいた表情を浮かべていた。
「コンラッド…」
有利は感動しつつも、どうしてそんなにも自分の行動を…王としては相応しくないと判定されるはずの行動を支持してくれるのだろうと小首を傾げた。
「あんた…どんだけ坊ちゃんに甘いんだよ…。つか、それが坊ちゃんを危険に晒す事になるんだって気付いてんのか?」
「分かっている。だが…ユーリがそう望む以上、俺は可能な限り希望に添うようにしたいんだ」
コンラッドの表情は先程までの暢気さを払拭して…真摯に有利へと向けられる。
手にお祭り特有の、派手なトッピングを施された菓子を握っていなければもっと決まったろうが…。
「だがよ…」
「そもそも、ユーリは俺たちの眞魔国だって救う義理はなかったんだ」
「何言ってんだよ。魔王陛下になるためにこの国に来たんじゃあ…」
ヨザックの言葉に、コンラッドは緩く首を振る。
「いいや、ユーリは何一つ知らされていなかったんだ。眞王陛下が言われるには…《眞魔国の既成概念に囚われない魔王》になるようにと、全く情報を与えられずに成長し、突然15歳という若さで連れてこられた。その時にしても、成人すらしていないユーリを呼び出したのは…母の我が儘だった」
「……ツェリ様が、魔王業に飽き飽きして…早期退位を求めちまったから?」
ヨザックの表情が一層苦々しいものになる。彼もまた、アルノルドで地獄を見た男だ。個人的な魅力はともかく、魔王としての彼女には忸怩たるものを感じるのだろう。
「ああ…そうだ。あの時期に母が退位することは、創主を封じていた眞王陛下に限界が訪れたせいで、眞王廟からも諸手をあげて賛同されたらしい。後から知ったことだがな…。だから…あの時はグウェンと俺が止めても、《眞王陛下の許可》の前に抵抗することは出来なかった」
有利もぴくりと顔を上げる。
《15歳の時に突然連れてこられた》と言っていた有利は、それが実行されるまでの期間に、どんなやりとりが眞魔国内で行われたについては知らないのだろうか?
「それでも…ユーリは頑として魔王就任を拒むことも出来たんだ。制裁として眞王陛下が地球への帰還を許さない可能性はあったが、それでもユーリは双黒だ。この国に置いてそうぞんざいな扱いを受けるはずがない」
「そりゃあ…そうだけど」
尚も反論の糸口を見つけようとするヨザックに、コンラッドは逆に問いかけた。
「ヨザ…ユーリが魔王就任を決めたのは、どんな状況だったと思う?」
「…あんた達が説得したんじゃないのか?《いま魔王様になると、こんな特典がー!》みたいな、良い条件てんこ盛りでよ…」
《今なら玉座と王勺がもう一個ずつ付いて一万円ーっ!》と続きそうだ。
「いいや…ギュンターも俺も、ユーリが魔王陛下になるべく眞魔国に呼ばれたという事実しか伝えてはいないんだよ。しかもユーリは…ギュンターには《人間を滅ぼすこと》が魔王の仕事だと聞かされ、ヴォルフには人間の母を公然と侮辱され、グウェンには《どうせやる気が無いんだろう。今のうちに帰れ》と、頭ごなしに存在を否定されたんだ」
コンラッドの口調は、その事を口にするときだけは苦いものに変わった。
彼にとっても反省点の多い事柄なのかも知れない。
「その当時…事実上眞魔国を治めていたグウェンが懸念を示した心理は理解できるが…それにしたって、ユーリはまだその時、《王としての自覚》がどうこう以前に何一つ眞魔国のことを知らなかったんだ。随分と…酷なことをしてしまったよ…。俺とギュンターは、彼らに会わせる前にもっと前情報をユーリに教えておくべきだったんだ」
「そんなこともあったっけ…」
有利は懐かしそうにポリ…っと頬を指先で掻いた。
『そうなのか…ユーリも、初対面の時には二人に拒絶されていたのか…』
その展開の方が、レオには得心いくものであった。
どう考えてもあの二人が、混血の王に対して最初から好意的であるという図式は思いつかなかったのだ。
それにしても…その後、一体どのような経過を辿って和解していったのだろうか?
血盟城に赴けば、すっかり親しみやすくなった二人(レオには想像もつかないのだが…)から詳しい話を聞けるのだろうか?
「ユーリが魔王になると宣言したのは…食い詰めた人間達に、眞魔国辺境の集落が襲撃されている最中だったよ。しかも、その辺境にいたのは魔族ではなかった。戦乱から逃れて眞魔国へと流れ着いた、人間の村だったんだ。襲撃者は言った、《魔族につくような罪深い存在は、殺すべきなんだ》…とね。恨みが恨みを呼び…嫌悪が積み重なっていく世界…グウェンはそれが普通なのだと言った。だが、有利は…」
ぶるりと身を震わせて、コンラッドはまっすぐに主へと視線を合わせた。当時の興奮が、その身を突き動かしたのだろう。
軽食をテーブルの上へと置くと、恭しく跪いて臣下の礼をとる…。
「陛下は宣言された…《俺が、変えてやる》と…!」
その言葉の熱さに…レオもまた身震いした。
絢爛豪華な宮廷の華やぎではなく…居並ぶ壮麗な軍隊ではなく…有利は、人間によって潰されようしている、人間の村を見て魔王になろうとしたのか。
「差別し、差別されることのない国を…。人間も魔族もない、殺し合うことのない国を…陛下は作ると約束してくださった。出来ない理由を並べるのではなく、まず《やる》のだと誓いを立てた少年王に、俺は生命を揺さぶられるほどの感動を覚えたんだ…!」
「…だったら、余計に…陛下はこの国に必要な存在じゃないか」
尚もヨザックが抗弁すると、またコンラッドは緩く首を振った。
ぱさりと揺れるダークブラウンの髪が、傷痕の残る眉を掠めていく。
「必要だよ。この上なく…!だが、陛下の器はこの眞魔国一国に留まらず、人間の世界も…妖怪の住まう異世界をも救ったじゃないか。だから、俺は陛下が何処に行こうともお側に仕え、その本願を支えるんだよ。陛下の目指す世界を、共に作るために…!」
レオは、言いようのない衝動に駆られて全身の肌を粟立たせた。
この男は…眞魔国一国を見ているわけではない。
そしてまた、有利もそうなのだ。
『この男の世界は…ユーリそのものなんだ。そしてユーリの世界とは、己が治める眞魔国に留まらず…生きとし生けるものが住まう領域全てを指すのか…!』
なんという…巨大な器…!
そして、希有なこの二人が互いに同じものを見つめているという事実に、レオは打ちのめされた。
『…越えられないのか…!?』
レオと同じ素材を持つはずのコンラッド。
彼を自分と分けたものは、あの日魂を運ばなかったことだけではない。
おそらく…有利と共に夢を追い、共有してきた時間こそが今の彼を構築しているのだ。
俄に訪れたレオの、唯純粋なだけの恋心が割って入れる関係ではない…。
『負けてしまうのか…!』
ぐ…っと握りしめた爪が、掌に食い込んで淡く血を滲ませた…。
* * *
「…とまあ、そんな訳で俺はどこまでもどこまでも…ユーリを一心に追いかけていくと決意しております。ユーリが望み、条件さえ揃えばすぐにでも宇宙戦艦の建造に踏み切り、コスモクリーナーを取りにイスカンダルにだって向かいますよ?」
コンラッドはそれまでの真摯な態度をケロッと暢気なもので包み込んでしまうと、また昭和の香りのする話題を振り始めた。
単に、彼らしくもなく感動を前面に出してしまったのが恥ずかしいのかも知れないが。
「コスモクリーナーねぇ…それがありゃあ、滅び掛けた星も確かに再生できそうだよな」
得心いったらしいヨザックも調子を合わせてきた。
有利の学校で、食堂のおばちゃん(?)をしているヨザックは、住んでいるマンションが一括契約しているケーブルテレビ…アニメチャンネルの熱心な視聴者だ。
「最近…ヨザックって、下手するとコンラッドよりもその辺の話題詳しいよね…」
「ええ、猊下に鍛えられてますからね」
「そういえば、最近仲良いよね」
「良い苛め相手なんでしょうね…」
ちょっとヨザックの目線が宙を彷徨う。
確かにそういう向きもあるだろうが、それでも…村田は本当にヨザックのことを気に入っているのだと思う。
『この前、彼が焼いてくれたケーキはなかなかの味だったよ』
そんな風に、思い出して賞賛することもあるのだから。
「村田かぁ…どうしてるかな。心配してるかなぁ…」
「そうでしょうね。猊下はまだ地球におられますが、空間の狭間を移動中のあなたに異変が起きたことには気付いておられるはずです。一応、蝶から得た情報についてはウルリーケに伝達を頼んでいますが、いま分かっていることだけでも連絡しておいた方が良いでしょうね」
「うん…お、丁度帰ってきたみたいだね」
窓から夜風に乗って紅色の蝶が入り込んでくると、嬉しそうに有利の周りをくるくると回ってからその指にとまった。
「胡蝶姐さん、ご苦労様」
ちゅ…っと軽くキスを送ると、何故かコンラッドとレオが指を銜えて見つめてきた。
「どうかしたの?」
「いいえ…何でもありませんよ」
目線を送った途端、綺麗に同じ笑顔を浮かべる二人に有利の唇は尖ってしまう。
「コンラッド…俺の前でレオの本当の望みとかは教えてくれたけどさ、あんた…まだまだ色んな秘密とか抱えてない?」
「いえいえそんな…マンションの箪笥に収めているコスプレ衣装などは一通りお見せしましたし、通販で買った大人の玩…」
「わーっっ!!そういう秘密じゃないからっ!」
とんでもないことを口走りそうなコンラッドに、有利は飛びついて首を絞める。
この男は時々とんでもない暴言を、綺麗な顔でつるっと口にするのである。
「どうでしょうねぇ…でも、害のない秘密は秘密として持っていた方が、恋人の神秘性が増すと思いませんか?」
「うっわ、大人の意見だな」
しかし、言われてみれば何もかも洗いざらしに吐くのが恋人というわけではあるまい。
お互いの為に口を開かない方が良いことだってある。
「んー…そーだなぁ。俺だって、あんたに秘密にしたいことの一つや二つや三つあるもんな。やっぱり内緒の方が良いこともあるよね?」
「……《言うほどのことでもない》ことと、《言うとマズイこと》の間には深くて長い川が流れていると思うのですが…ユーリの秘密はどれですか?」
「えー?ナイショ…」
「…………どうしても?」
「やだなぁ、《言うほどのことでもない》に決まってるだろ?」
「本当ですか?…なあ、ハガネ…ちょっと俺と目を合わせてくれるか?」
「えーーーっっ!?」
びょんがっ!…と、飛び上がった鋼の胸からは心臓が飛び出す幻影が見えた。
もう自分には関係のない話ばかりと踏んだのか、のびのびと身体を伸ばして寝そべっていたところに、思い切り不意打ちを食らったのである。
「なななななな…何で!?」
「いや…大したことじゃないんだ。ちょっと俺が居ない間、ユーリに何があったのか聞く暇がなかったからな。報告すべき事がないかと思ってね…」
「ないない、何にも無いからっ!」
ブルルルルルっと首を振って涙目になる獣は、救いを求めるように有利を見つめた。
『タスケテーっ!』
心の限りに叫んでいるのが分かったので、有利はこくこくと頷くと助け船を出すことにした。
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