「王子様と一緒」−4







 2学期が始まると、始業式で留学生として紹介されたコンラート・ウェラーは一躍時の人となった。
 既に噂は昨年の交換留学生であった面子から半ば伝説のように広められていたのだが、目の前に現れればどうしたってその王子様然とした容貌は衆目を集めずにはおられない。

「コンラート・ウェラーです。受験までの短い期間のみのお付き合いですが、どうぞよろしくお願いします」

 優雅な所作で一礼したコンラートに、女子生徒だけではなく男子生徒達、更には教員までが頬を染めて《キャァアアアアア……っ!!》と大絶叫を迸らせたのであった。

『こりゃあ、あと半年…楽しいけど大変そうだなぁ』

 有利は《はふっ》と予想通りの反響に肩を竦めた。モッテモテの彼氏(…)を選んでしまったのは他ならぬ有利自身なのだから、誰を恨むことも出来ない。あんなに素敵な人なのだし、留学生組が気を利かせて有利とのことを黙っていてくれるようだから、コンラートはどうしたって《完全フリー》として扱われる。
 そりゃあどんなに高嶺の花と認識しようとも、一か八かの大博打を狙って果敢に挑戦してくる猛者は多いだろう。中には、かなり自分に自信がある人だって居るだろうし。

『俺も、頑張んなくちゃな』

 具体的に何を頑張るのかと言われればちょっと困る。即物的なことを言えば、未だにキスしかしていない閨での生活を深めることなのかも知れないが、それだけが恋人付き合いって事もないだろう。高校生活という独特の空気感の中で作れる思い出は他にも色々とあるはずだ。

 体育祭は1学期に終わってしまったけれど、11月には学生生活の華、文化祭が待っている。どうせ中途半端な寸劇と演奏、模擬店くらいしかないとしても、身内で準備してお客さんを迎えるというイベントはやはり興奮する。
 本来は体育会系の有利も、クラスの発表などで頑張りたいところだ。

『そういえば、コンラッドは推薦枠の特別クラスなんだっけ?』

 それでなくとも3年生の2学期といえば、流石にクラス単位での動きはあまり無いだろう。2年生である有利のクラス発表を一緒に楽しんで貰うくらいだろうか?

『コンラッドが劇とかやるトコ、ちょっと見てみたいけどな〜』

 ロミオとジュリエットだの白雪姫だの、どんなにベタな劇であってもコンラートが王子を務める限り、彼の登場シーンだけはうっとりするくらいに素敵だろう。ただ…王子様役で登場するとなると、どうしたってお姫様なんてものが共存せざるを得ない。
 王子様だけ出てくるお伽噺を選択して貰えないだろうか?
 ベタなネタしか思い出せない有利には提案する術はないが。

 

*  *  *




 生徒会長瀬川が2年7組の教室に乗り込んでいったのは、コンラートがやって来た衝撃もそれになりに落ち着いてきた9月半ば第2金曜日のことだった。

「ねぇコンラートさん、渋谷君。生徒会特別枠で舞台に出て貰えないかしら?」
「はい?」

 生徒会長である瀬川女史の発言に、昼下がりの2年7組教室がざわめいた。遊びに来ていたコンラートも少し困った顔をしている。
 誰もが《そういうのやってくれないかな〜》とは思いつつも、まさか受験対策としてわざわざドイツから渡来したコンラートに、そんな提案をしてくる猛者がいるとは思わなかったようだ。

『この辺はちょっと想定外ではあったわね』

 ゲルツヴァルトで優秀な成績を収めていたコンラートは余裕で推薦を取れるだろうから、多少物見遊山のような心境で来ていると思ったのだが、正式に申し込む前に少し声を掛けてみたら、意外と色よい返事を貰えなかった。プールでのことで恩義を感じてくれていると期待したのは、どうやら当てが外れたらしい。

 大学入学については何の問題もないようだが、彼は留学期間を無駄に過ごすつもりはないようで、ドイツで続けていた自主研究を日本で更に発展させ、来年には学会発表する予定なのだそうだ。

『とはいえ、あなたキャパならちょっとした寸劇くらい許容できると思うのよ』

 高校生活という忙しくもどこか華やかな雰囲気を持つこの期間に、華を添える貴重な存在を、この程度の抵抗で諦めるつもりは毛頭無かった。

「いやぁ…セガワさん。選んで頂けたのは光栄だけど、そういうのはやはり本来この学校に所属している生徒さんの為のものでしょう?」

 案の定コンラートがやんわりと断ると、瀬川はそれ以上粘ることなくにっこりと微笑んだ。ここまでは以前粉を掛けたときと同じ反応だ。

「あまり乗り気でないのなら仕方ないわね。じゃあ申し訳ないけど、渋谷君だけでも参加してくれるかしら?」
「え?」
「お願いね?」
「は…ハイ…………」

 瀬川に笑顔で詰め寄られて、有利はきゅうんと尻尾を丸めた子犬のような従順さで頷いた。この遣り取りに、ぴくりとコンラートの眉が揺れる。

『やっぱり良い子ね〜。渋谷君』

 有利にも、コンラートには知られぬように探りを入れている。以前は有利の方こそ恥ずかしがって受けてはくれないと思っていたのだが、瀬川が瞳を潤ませて、《私、この企画に賭けているの!》と訴えかけると、《それじゃあ…》と困りながらも受けてくれていた。

「…セガワさん、どんな出し物をするのかは教えて貰えないのかな?」

 コンラートが柔らかい語調で問いかけると、瀬川は申し訳なさそうに(様式美的な対応だが)手を振った。

「ゴメンなさいね。生徒会枠の劇は演技力で魅せるなんて芸当が出来ないから、毎年話題の人を呼んで、少し変わった劇をすることで生徒達を楽しませているの。だから、当日までは出演者以外には内容が秘されているのよ。生徒達が知ることが出来るのは、登場する役者の名前だけなの」
「…ふぅん」

 コンラートはまだ何か聞きたそうではあったが、どうせこっそりと有利に聞けばいいとでも思ったのか、曖昧に微笑むと優雅な所作で教室を出て行く。

「それじゃあ、お邪魔しました」
「あ…じゃあ、またねー」

 ちいさく手を振る有利にちらりと気遣わしげな眼差しを送りつつ、コンラートが出て行くと、有利と瀬川の周りにはどっと人が集まってきた。

「先輩、渋谷にどういう役やらせるつもりですか?こいつ、そんなに台詞とか覚えられないし、上がっちゃうと固まりますよ?」
「あら、大丈夫よ。台詞は殆どないもの。反射神経が命みたいな役だから」
「でも先輩、渋谷はコンラートさんと仲良いから、釣り餌のつもりで誘ったんでしょう?コンラートさんが出ないんじゃあ無理に誘う意味ないじゃん」

《全く同意》という顔をして有利がうんうんと頷くが、有利本人も周囲も、彼が密かに人気者であることに気付いていないのだろう。クラスの連中だって、こんな風に言うのは《渋谷が馴れない劇なんかに駆り出されて、恥を掻かされたら可哀想だ》という発想から来ていると自覚していないのだろう。

 瀬川は自信を込めて、ニヤリとドヤ顔を見せた。

「出て貰えなかったときのための対策はしておくけど…コンラートさんは出てくださるわよ。間違いなく…ね」

 《きゃー!》と女子生徒達が期待に満ちた歓声を上げる。
 
『そうよ。こういう声が聞きたくて、生徒会長なんてものをやってるんだわ』

 そして、期待だけでなく実現に結びつけて大歓声を沸き上がらせることが出来れば、瀬川は己の任期を満足の内に閉じることが出来るだろう。



*  *  * 




「ユーリ…どうしてセガワさんの願い事を聞いてしまったの?」
「えと…お世話になってるから」
「ユーリ…どうして俺に、劇での役回りを教えてくれないの?」
「えと…口止めされてるから」
「……………」

 じぃっとコンラートが見つめると、目に見えて有利はあわあわと視線を彷徨わせるが、義理堅い性格なせいかそれ以上口にしようとはしない。

 コンラートには話してくれるかなと思って、帰り道にそっと耳元で《ね…教えて?》と囁いてみたのだが、真っ赤になってあたふたとはしたものの、教えてはくれなかった。

『妙だな。ユーリに情報を仕込ませておいて、興味を誘わせるようにしていると思ったんだけど…』

 おそらく、それも瀬川の駆け引きなのだろう。敢えて情報を秘匿することで強い興味を持たせて、実は大したことのない内容の劇を大層な具合に見せているのだ。生徒達も半ば分かりながらも、《秘密》と《人気者が出てくる》というスパイスに釣られて生徒会劇を見に来るのだ。

『これから少しずつ情報を伝えてくるんだろうな』

 瀬川の戦略としては読めるが、困るのは有利があちらの陣営に引き込まれてしまったことだ。有利は幾ら恋人たるコンラートとの両天秤に掛けられても、場合によっては恩義の方をとる。今回は生徒会長として最後の大役を果たす瀬川を取るべきだと判断したのだろうから、それ自体は否定すべきものではなかった。

『でも…ちょっと嫉妬しちゃうな』
 
 コンラートと有利は《恋人》とは言っているが、やっていることと言えばキスくらいなものだ。それも、ディープキスとなると滅多にしていない。時折掠めるような子どもっぽいキスを交わすのが、有利の羞恥心にとっては精一杯のようだ。
 
 本来ストレートな嗜好を持つ有利を《抱きたい》と思っている立場なので、無理は言えないし、コンラートなりに我慢の日々を送っている。
 
 《決定打に欠ける》という不安は、こんな時に出てくるものだ。有利が他の誰かに気を取られるなんてことはないと分かっているのに、どこか自分より優先されることに嫉妬を打ち消すことが出来ない。

『…ヤったら安心かっていうと、そういうものでもないか』

 何しろコンラートの恋人は天然素材のカワイコちゃんだ。自分が多くの人々に愛される資質を持っているなんてちっとも自覚していなくて、無防備なことこの上ない。

「ねえユーリ。そう言えば、劇の出演者だけは公開するって言ってたよね?」
「あ、そーだよね!」

 有利の表情がぱあっと明るくなる。彼は彼で、コンラートに色んな事を黙っていることに心理的負担を感じていたらしい。

「あのね、主役級は緒方さんっていう、副会長をやってる人だよ」
「…ふぅん?」

 コンラートの眉根がぴくりと跳ねる。それはやけに有利のことを気に入って、何かと構い掛ける男ではなかったろうか。派手さこそないが結構顔立ちが精悍で身長もあり、朗らかな性格で人気者なのだという。彼が出るとなれば興味を引かれる生徒も多いだろう。

『もしかすると、本当にもう俺には声掛けをしてこないかも知れないな』

 元々、数日前にも声を掛けられてやんわりと断っている経緯がある。敢えてあれほどの人前で提案してきたのは、周囲の《やれば良いのに〜》といった歓声を期待してのことだとは思ったが、コンラートは絆されなかった。
 となると、流石に3度目の勧誘はないのだろうか?

「それで、ヒロインは誰なの?」
「ヒロインって感じの人は、実はいないんだ」
「え…?まさか、BLやろうなんてんじゃないだろうね!?」
「BL?」
「いや…その、なんでもない」

 モロに《それっぽい》演劇を、まさか生徒会劇でやるはずはないが、《そういう目で見れば見えないこともない》くらいの雰囲気ならやるのではないだろうか?

「ユーリ、まさか女装とかしないよね?」
「…っ!」

 途端に、目に見えて有利の頬が紅く染まった。息を呑んで見つめれば、ほんのりと瞳が潤んでくる。

「………や……やっぱ…そういうのって、ヘンタイくさいかな?」
「え…ぇええっ!?本当にやるのっ!?」

 どういうカオスぶりだ、生徒会。
 コンラートはいよいよ不安になって、有利の手首を掴むと幾分強引なほどの勢いでマンションに連れ込んでしまった。

 バタンといつになく荒々しい動作で扉を閉めると、大きめのソファーに並んで座って、にっこりと微笑みながら有無を言わさぬ迫力で有利に押し迫る。

「絶対他には広めない。だから、教えてくれない?ユーリ。生徒会劇の内容」
「で…でも。絶対言っちゃダメだって…」
「セガワさんと俺の頼み、どっちを聞くの?」
「こ…今回は、先輩。だって、先に約束したもん」

 少々怯えながらも、口を真一文字に引き結んでキッパリと言い切る有利に焦れてしまう。それが彼だとは分かっていても、堪えきれない嫉妬が胸を灼くのだ。
 思わず左手で顎を捕らえると、やや強引に唇を重ねていった。

「ん…ゃ…っ…」

 背中に回した手とのし掛かる身体の連携プレーで、有利に抵抗する合間を与えずにソファーへと寝かせてしまう。舌を深く差し入れていけば、柔らかな粘膜の感触に身体が熱さを帯びていく。

『ああ…欲しい。この子が、欲しい…っ!』

 くちゅくちゅと唾液を混ぜるようにして濃厚なくちづけをかわせば、雄としての本能は王子様の自制心も崩壊させていく。気が付くと殆ど無意識に有利のシャツをズボンから出して、淡く筋の乗った腹部を撫でさすっていた。

「ねぇ…ユーリ。教えて?どんな劇なの?」
「ふ…くぅん…っ…」
「ねぇ…」

 コンラートの手が、ぷくんと小さな胸の痼りを触った瞬間…。
 ドカっ!と激しい蹴りに見舞われた。

「コンラッドの、ばかぁあああっっ!!」

 半泣きになった有利はコンラートの下でくるんと体勢を変えると、脱兎の勢いで逃げ出した。《ばかばかばかーっ!!》と、もうそれしか思いつかないみたいに捨てぜりふをまき散らしながら逃走を企てる有利を、呆然と見送…。

 …ったりはしなかった。

 ぴょよよよぉ〜んっ!!


 擬音にすると、多分そんな感じ。
 決して王子様らしく格好良いものではなかったが、王子様の中には長年沼で蛙をやっていたうえに、お姫様にキスを迫って壁にぶつけられた猛者もいる。恋人にキスを迫って蹴られた王子が、空を飛んだって良いではないか。

 このまま愛する人を怒らせたまま逃げしてしまうよりはずっと良い。

 ジャンプ一発で有利を捕らえたコンラートは、彼を抱き込んだまま身を反転させると、自分の背中を床に激突させて衝撃を消した。

 ゴドーンっ!と結構派手な打撃音が響いたが、気にしてはいられない。

「こ…コンラッド!?」
「ゴメン…っ!」

 心配そうに顔を上げた有利をぎゅっと腕の中に抱きしめて、コンラートは神妙な顔で眉根を寄せた。

「ゴメン…セガワさんに、嫉妬した」
「俺は…あのヒトのこと尊敬はしてるけど、そういうのじゃないよ?あの人を優先したのは、本当に恩義があるからだし、約束したからだし…っ!」
「分かってる。分かってるんだ…俺も。なのに…我慢できなかった。理屈ではどうしようもないところで、俺は君を愛しているから」
「…っ!」

 なめらかな両頬を掌で包み込んで切なげな表情を伝えれば、有利も言葉を無くして瞳を潤ませた。

「俺、あんたに押し倒されて…怖かった」
「ゴメンね…」
「俺よりずっと強くて、身体も大きいんだって思ったら…凄く凄く怖かった」
「……本当に、ゴメン」
「だけど理屈じゃどうにもできないくらい、好きでいてくれるのは凄く…嬉しい」

 ぽぽぽ…っと頬を染めて照れる有利は、もう真っ直ぐに顔を見られないのか、コンラートの胸板に顔を埋めてしまった。

「ユーリ…」
「あの…ね?俺も分かってるのに、どうしようもなく腹が立つことあるんだ。なんで俺、女の子じゃないのかなぁ…とか」

 ぽそりと呟かれた言葉は、男前な有利の口から出るとは思えないくらいにか細いものだった。



*  *  * 




 地元ゲルツヴァルトでさえ《王子様》と呼ばれていたコンラートが、基本ちんちくりん設定な日本人の集団に囲まれて、同等以上の扱いを受けないはずがない。《リアル王子様》の出現に沸き立った人々は、こぞってコンラートの周囲に集まった。

 最初の内は遠巻きにきゃあきゃあ言っていても、やはり同じ学校に所属する生徒という気安さが強まってくると、強気な女の子達の中には大胆な行動に出る者も出てきた。

 手作りのお菓子を作って差し入れするならまだ可愛い。帰り道を狙って《お茶しましょうよ》と腕に絡みついて誘う者や、《付き合って欲しいんですぅ》と直裁に頼み込む者まで現れた。

 その全てをコンラートは上手にかわしていたけれど、一番近くにいる有利はどうしたって見せつけられてしまう。

『俺がコンラッドの恋人なのに!』

 むかっ腹が立って、いけ図々しい求愛者達を突き飛ばしてやりたくなった事が何度もあった。
 《俺が恋人だ!》と、せめて自分が女の子であれば、釣り合いが取れていないのが分かっても、悔しそうにコンラートの腕を取ってしがみつくなんて動作で主張が出来たはずだ。

 けれど、有利は男だ。

 《モテるね》ひゅーひゅーと囃し立てるか、無関心を装ってそっぽを向いている以外に対処法はない。

『だって俺は男だから、幾らコンラートが恋人だからって、ちゃんと距離感をもったオツキアイをしなくちゃいけないんだ』

 恩義と恋心だって、そうであるべきだ。
 そう思ったからこそことさら瀬川の味方をして、コンラートに劇のことを話さなかったのかも知れない。
 巧みなキスで翻弄して、情報を引き出そうとしたコンラートにも酷く腹がたった。《俺がこんなに我慢をしているのに》…と。

『だけど…コンラッドは、全部正直に明かしてくれた』

 ああ…なんて素敵な王子様なんだろう?
 王子様であること自負して、《王子様はこうあるべき》なんてふんぞり返っているのではなくて、真摯に愛した者に向き合う姿勢こそがとても尊いものだと思う。

「大好き…コンラッド。凄く凄く…大好き…」

 好きという気持ちが溢れ出して、ぽろぽろと涙が出てきてしまった。コンラートは少し困ったような顔をしつつも、ちゅっと薄い唇を目元に這わせてキスをしてくれる。だから、有利も懸命に勇気を振り絞ったのだった。

「コンラッド…俺を、本当に…あんたの恋人にして?やり方…分からないけど、俺…一生懸命覚えるから…」

 コンラートの襟足を掴んで真っ赤な顔をして訴えれば、琥珀色の瞳の中できらきらと銀の光が跳ねた。

「本…当に?そんな、無理をしなくて良いんだよ」
「無理なんかじゃないよ。俺が…して欲しいんだ。どんなに綺麗な女の子があんたに迫っても、自信持って立っていられるように」
「嬉しい…」

 重なる唇の熱さだけでくらくらと脳の奥が眩むのを感じながら、有利はコンラートの腕の中でとろけていった。





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