「クリスマスあくま★ハロウィンさんた」−5





 コンラートはユーリの身体を右腕に抱き寄せると、トン…っと石畳を一蹴りしただけで大空に飛び立ちました。

「わぁーっ!」
 
 空の上から見渡す街は見事な様子です。
 かぼちゃの洋燈を持って練り歩く仮装行列が街路を彩り、窓辺に飾られた影絵が紫やオレンジのライトを浴びて生き生きと回ります。

「きれーい!」
「そうでしょう?」


 自分のお祝い事を褒められて、コンラートは上機嫌になりました。

 くるりくるりと旋回している内に、カラスの巣に持ち帰られていた帽子を見つけた時にはとってもがっかりしたくらいです。

 でも、まだ夜明けまで時間はありましたから、二人は街に出て歩き回ってみました。
 空から見た街も綺麗でしたが、こうして手を繋いで歩き回るのも楽しいです。
 歩きながら、コンラートがマントからどんどんお菓子を出してくれましたしね。

「さあ、キャンディーは如何?」
「わあー、おっきいっ!ありがとうコンラッド!」

 ユーリはぴょんぴょんと飛び跳ねてお礼を言うと、顔くらいの大きさがあるペロペロキャンディーに飛びつきました。根本に大きなリボンを付けたカラフルなキャンディーは味も最高です。
 水色の所からは爽やかなソーダ、オレンジの所からは蜜柑、黄色いところからは蜂蜜の味がします。

 おや、紅いところは何でしょう?

「うーん…ここは何だろう?」
「ああ、そこは血だね」

 コンラートの言葉に、ユーリは《きゃあ!》と飛び上がります。
 なんて反応のよい子なのでしょうね!

「嘘だよ。そこはラズベリーって言う木の実だよ」
「ああびっくりした!」

 ふぅ…っと落ち着くと、甘い匂いを漂わせながらユーリは飴を舐め続けました。

 ですが、丁度飴を食べ終わった頃…空が白み始めました。
 お別れの時間がやってきたのです。

「また、クリスマスに会おうね」
「うん、やくそくね!」

 指切りげんまんをして、二人はお別れしました。





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