「クリスマスあくま★ハロウィンさんた」−4
「あのね、おれ…ユーリっていうの」
「俺はウェラー卿コンラートだよ」
「えと…コンラッド?」
「うん、コンラッドっで良いよ」
「えへへ…コンラッド!おれ、クリスマスの日にはあんたにとっときのプレゼントを持っていくねっ!」
「うーん…俺はハロウィンの国の住人だから、その日は街に出られないな…」
お祝い事の国では、それぞれの国での行き来も制限されているのです。
ですが…お礼が出来ないと知ってしょんぼりしてしまったユーリの為に、コンラートは悪戯っぽく笑いました。
「こっそりやったらばれないかも知れないね。よし、俺はクリスマスの日にこの路地裏に来よう。そうだ…大人のサンタの服はあるかい?それを借りれば、一緒にいてもおかしくない」
「わぁ!あるある、大きいサンタ用の服はたくさんツリーにぶら下がってるもの!」
「そうだ。帽子を探しついでに、君もハロウィンを楽しんでいかないかい?クリスマスも楽しいかも知れないけれど、ハロウィンも素敵だよ」
「でも…おれ、ああいう服はもってないよ?」
「服なら…ほぅら!」
コンラートが長いマントを閃かせると、薄暗かった路地裏にきらきらと光を放つカボチャのランプや紫色のライト、たくさんの子ども用仮装衣装が出てきました。
狼の耳と尻尾をつけた男の子の服や魔法使いのとんがり帽子とマント、妖精みたいな薄い羽根が七色の光を放つふわふわとしたドレス…眩いばかりの衣装がひらりひらひらと蝶のように舞い降りてきます。
「わぁ…わぁあ…っ!」
漆黒の瞳をきらきらと輝かせて両手を伸ばすユーリは、とてもわくわくした様子です。気をよくしたコンラートは一着一着手にとって宛いました。
「うん、これが映えるかな?」
「えー?でもこれは女の子の服じゃない?」
ひらひらと裾野の広がる黒いワンピースと、裏地が鮮やかなオレンジで表が黒いマント、大きなとんがり帽子やぶかぶかのブーツは可愛らしいデザインですが、男の子が着るものとしてはどうなのでしょう?
「ハロウィンっていうのは、思いっきり普段とは違う格好をするのも楽しいんだよ」
良く物事を知っている大人みたいな声で、言い含めるように囁きますと…ユーリは得心いったように頷きました。
「そうなんだぁ…!」
まあ、なんて騙されやす…いいえ、純真な子どもでしょう。
コンラートはうきうきとユーリのサンタ服を脱がせると、ぷっくらとした子どもらしい身体に魔女っ子服を着せてあげました。
思った通り、動くたびに裾が翻ってとっても可愛らしいです。
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