「クリスマスあくま★ハロウィンさんた」−10




 ゴロロロロォォン…っ!

 
 銅鑼を打ち鳴らすような恐ろしい音が鳴り響き、きらきらと星が瞬いていた空に分厚い群雲が湧き上がってきました。

「…グウェンダルっ!」

 もくもくとした雲の間から飛来してきたのは、恐ろしい形相をしたフォンヴォルテール卿グウェンダルでした。
 彼はハロウィンの世界の監査をしておりまして、迂闊に人間と恋に落ちたりする住人を見つけ出すと、お仕置きをしにやってくるのです。
 大きな暗青色の翼を持つ彼は、ばさりと羽ばたきながら舞い降りました。


「馬鹿者が…!どうもおかしな動きをしていると思えば、こんな子どもに手出しをしていたのか!恥を知れコンラートっ!」
「グウェンダル…どうか、見逃してください。俺はこの子のことが大好きなんです」

 ユーリを背中に庇うと、コンラートは腰を屈めて心を尽くし、誠心誠意お辞儀をしました。
 いつも飄々として風の中を漂っている彼らしくもない振る舞いに、グウェンダルの眉がぴくりと震えます。

「やめて…コンラッドを苛めないでっ!全部俺が悪いんです。俺が…コンラッドを好きで好きで大好きで、誘惑したんです…っ!お仕置きをするのは、俺だけにして…っ!」




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