「君と暮らすこの素晴らしき日々」
8.これだけは内緒
※微エロというか…下ネタ
同棲生活をしていたって、夫婦生活をしていたって、どうしても《これだけは内緒》ってことがある。コンラートの場合は、夜間に自分がとっている行動が最大の秘密であった。
* * *
夜10時になると二人は一緒に就寝するのだが、実は睡眠時間がかっきり3時間でことたりるコンラートにとっては、そこからが夜本番だったりする。ぱちりと目を覚ますと、こっそり起き出して朝三時までは自由時間となる。その間にお持ち帰りの仕事や読書をするのだ。
有利が居る間にはとにかく彼とお喋りがしたいし、彼の様子を眺めていたいので、本や新聞など見ていても、気が付くと同じページに停滞してしまうから意味がない。
こうして一人きりで過ごす時間は少し寂しいけれど、暫くしたら《一人でないと出来ないこと》を始めるので、それまでの我慢だ。
そして深夜12時を過ぎると、丁度有利の睡眠が一番深い時間帯にはいる。この間は特に深〜く眠っているようで、今まで一度も起き出してきたことがない。
『…良し』
念のため自室の鍵も掛けておくと、デスクの引き出しを引いてアルバムを手にする。
ぱらりと捲れば、そこには…有利の日常生活を写し取った写真がたんまりと貼り付けられている。中には初めてのデートの時に撮った水着姿の写真もあるし、ふざけて自宅での入浴シーンを撮ったものもある。
にまにましながら眺めるのも勿論楽しいが、大人の男としては色々と人に言えない使い道もある。
どう使っているのかは…聞かないで欲しい。
「…ぁ……くっ…」
このマンションは防音には優れているはずだし、鍵も掛けているし有利はよく眠っているから心配するようなことは無い筈なのだが、それでも漏れ出しそうになる嬌声をあえやかに堪える。
『ああ〜…ユーリが高校を卒業したら、こんなので誤魔化さなくて良いんだけどな…』
溜息混じりにティッシュの中へと《始末》するのが、コンラートの夜の習慣であった。
* * *
「ただいま〜」
草野球の練習が終わった後、マンションに帰ってきた有利はすぐにシャワーを浴びる。初夏の陽射しで少し汗ばんでいるのもあるが、コンラートが帰ってくるまでにやっておかなくてはならないことがあるからだ。
そう…うっかり声が漏れたりしたら、恥ずかしくてコンラートの顔を見られなくなってしまう行為だ。
でも、やっている最中に呼ぶ名は彼のものだったりする。
「コンラッド…ぁあん……っ…」
瞼を閉じ、ソープを絡めたそこを擦ればぬるぬると滑って、有利の感度を高めていく。瞼の裏側に浮かべている笑顔は普段より少し淫らな印象で、くすくすと笑うさまを思い浮かべた。
『あ〜…結婚したら、こういうの誤魔化さなくてもコンラッドと出来るのに…』
若い衝動は今日もシャワーの流れに乗って、証拠隠滅されていく。
* * *
内緒内緒、これだけは絶対内緒。
好きだからこそ、言えないこともあるのです。
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