「筋肉天使★グリ江ちゃん」D








 はぁ〜い!ゆりかごから墓場まで坊ちゃんの人生を見守る(つもりでいる)隊長を、草葉の陰から見守ってるグリ江ちゃんどぇ〜す!

 魔力の強さから考えると絶対坊ちゃんの方が長生きしそうなんだけど、あの隊長なら気合いで坊ちゃんが息を引き取るその日まで生き続けそうね!
 そんでもって、坊ちゃんの死を確認した瞬間に心臓を止めるってぇ離れ業を披露すると思うわ。あのヒト、生体機能も操作できそうだものね!

 ま、そんな先のことはさておき、坊ちゃんと隊長ってば大変なことになってるわよ?

 さ、グリ江と一緒にレッツらゴーぅ!



*  *  *




「こ…これ……全部ちゃんと着ないと駄目?」

 あーららぁ〜…坊ちゃん、顔色を赤くしたり青くしたり忙しそうねぇ。
 無理もないわ…だって、魔王陛下のお部屋に置かれた大型の寝台の上に細々(こまごま)とした装飾品から下着に至るまで、妙〜に吟味された品々が揃ってるんだもん。

 あらやだ、あのストッキングなんて超高級品よ?しっとりと肌に馴染むミノヤ絹を使ってる上に、精緻なレースを施したガーターベルトがたまんないわねぇ…。
 やだわ、あたしったら…気が付いたら涎垂れちゃってたわ。
 いやぁ〜ん、下の茸からも汁が出ちゃいそう★

「折角ですから、お願いしたいですね」

 にっこりと微笑む隊長ったら、とてもメイド服フェチとは思えないような爽やかさねぇ…。あのヒト、絶対顔で得してるわよ?如何にも脂下がった親爺顔なら、幾ら坊ちゃんだってこんな服着てあげないわよねぇ…。

「んじゃ…俺、着替えるからちょっと待っててね?」
「一人で出来ますか?」
「うーん…それはその……」
「出来れば、下着もきちんと身につけていただけると嬉しいのですが…。何しろ、これら全ての要素が揃って初めて完成体となりますので」
「んもー…ホンっトにコンラッドったらマニアなんだなぁ。拘り深すぎだよーっ!それに…俺、マジでこの下着つけんの?どう考えても女物じゃんっ!チンコはみ出しちゃうよ」
「大丈夫ですよ」

 あーそりゃ大丈夫でしょうよ。
 だって、それどう見たって坊ちゃんに着せることを想定して揃えてるもん。
 隊長…どんだけ長期計画で集めたのよ…。

「じゃあ…着るけど……恥ずかしいから、ちょっとあっち向いてて?」
「ええ、着にくいようならすぐに声を掛けてくださいね」

 隊長、声がちょっぴり…いや、かなり残念そう。

「んしょ…しょっ」

 坊ちゃん、男らしくぽんぽーんっと漆黒のお召し物は脱いじゃったけど、流石に黒い紐パンに手が掛かると困っちゃってるわね。恥ずかしいのかしら。ぐぐーっと近づいて見ちゃおうかしらね。

「あれ?あれ…おかしいな」
「どうしました?」

 ああ、紐をきつく締め過ぎちゃって脱げないのね?
 お手伝いしてあげたいけど、やったら殺されちゃうわ〜。

「んー…紐が解けないや。無理矢理引っ張ったら千切れちゃうかな?もー、紐パンって面倒くさいなー」
「お手伝いしましょうか?」
「………お願いします」

 坊ちゃん〜とうとうお願いしちゃったーっ!
 右側は解けたけど、左が無理だったみたいで、恥ずかしいところが見えないように手で押さえてるのがまたカーワーイーイ〜っ!

「さ…解けましたよ。ついでに下着を身につけるの、手伝いましょうか?」
「えぇ〜!?い、いいよ…」
「まあ、そう言わず。フィッティングは得意ですから遠慮なさらないで下さい」

 隊長、それ確実に遠慮じゃないから。
 でも結局押し切っちゃった。

「はい、ここに脚を通して?」
「子どもじゃないんだから…」

 子どもだったら良かったんですけどね〜…。
 
「ぁんっ!」

 隊長の指が、ふにふにのお玉ちゃんをきゅいっと下着の中に詰め込んだら、坊ちゃんの口から甘い声が響いたわ!
 ぅおーっ!(←野太い叫び)予想以上にあえやかなお声ねっ!

「へ…変な声出ちゃったじゃんっ!そんなトコまできっちり納めなくって良いよぉっ!」「いえいえ…外からラインが分かってしまいますからね」

 いや、そんだけペチコートの入ったスカートなら、下着のラインなんか分かんないって…。

「はい、脚を出してください」
「ん…」

 もう半分諦め掛けたみたいに、坊ちゃんったら寝台の上に座って右脚を出したわ。  おぉ〜。跪いた軍装の隊長が、すんなりした若木みたいな脚に光沢のあるストッキングを穿かせていくってのは何とも隠微な眺めねー。ああ…参加したい……。

 その後も隊長は存分に楽しみながらガーターを締めて差し上げて、必要あるのかしら?って感じのビスチェを着付けて、坊ちゃんの胸と細腰とを強調したら、いよいよメイド服を着せていったわ。

 おぉ〜。流石に拘りの品だけはあるわね。
 坊ちゃんの華奢な体型に合わせた絶妙のライン!ふわふわしたスカート部分が気恥ずかしいみたいだけど、鏡を覗いたら坊ちゃんもまんざらでもなかったらしいわね。はにかみながらくるっと回って、スカートを閃かせているわ。

 ああ、隊長隊長…油断すると鼻の下がのびちゃってるわよ…。
 あ、でも坊ちゃんの視線が向いたら直った。流石……。

「これで満足した?」
「ええ、とても可愛らしい…。やはり、ユーリは俺の理想体型です」
「嬉しいような悲しいような…。ねぇ、着ちゃったらこれでおしまい?」

 時間を掛けて着たのにすぐ脱ぐのは勿体ないっていうのは、貧乏性な坊ちゃんらしい発想だけど…それ、隊長に凄い餌あげてますから……。

「お願いしたら、ポーズをとってくれたりします?」

 ほら、食いついた。入れ食い状態だわ。

「ん、良いよ。折角だしね!どんなのが良い?箒でその辺掃きながら《お出かけで〜すかぁ〜?》とか?」
「レーレレーノレ〜っと続くんですか?それはあまり萌えませんね」
「やっぱ知ってるんだ…つか、萌え言うな」
「すみません」
「んで、どんな格好が良いの?」
「そこはやはりメイドさんらしい格好ですかね。ドジっ子メイドさんが銀のスプーンを勢いよく床に落としてしまって、慌てて集めるとか…」
「マニアだな……」

 そうは言いながらも、律儀な坊ちゃんはその辺にあったスプーン(夜食用に用意されたのよ)を床に転がすと、一本がころころっと寝台の下に入り込んじゃったの。

「あー、しまった!」
「ユーリ…出来れば口調なんかもメイドっぽくしていただけると…」
「はぁい、申し訳ありませんご主人様!あたしったらドジでご免なさーい」

 ノリ良いなぁ…。流石坊ちゃん。

 跪いて寝台下に腕を伸ばすと、スカート丈が膝上だから坊ちゃんの腿が綺麗にむき出しになって、ちょうどストッキング上縁のレース飾りとガーターベルトが覗いて見えるわ。確かにこれは…良いアングル。 
 
 あらら…?隊長、ナニを手に持ってるのかしら?
 そ…っと坊ちゃんの腿の間に、何かを沿わしたと思ったら…坊ちゃんが飛び上がって叫んだわ。

「んぎゃーっ!何か入ってきた!」
「ユーリ、虫ですっ!ああ…駄目ですよ、叩かないでっ!ユーリの腿の間に入り込んだんです。あれは毒虫だから、下手に叩いて毒が肌につくと酷く痒くなるんですよ」
「やだー…や、やぁぁ…っ!ぞわぞわする〜っ!」

 涙目になってる坊ちゃん、可哀想に…。
 ホンっト…色んな意味で可哀想…。

「ユーリ、スカートをたくし上げてください。俺が見ましょう」
「こ…こう?」
「もっと高く上げてください」

 うぉぉおおお……っ!涙目でうるうるしてる坊ちゃんが、下着とおへそが見えるトコまでスカートをたくし上げて隊長に見せてるわっ!
 こ…これが狙いなのエロ隊長!?
 あんたの親爺エロ指数どんだけ!?(まあ、あたしも嬉しいけどねっ!)

「い…いる?」
「どこかな…あ、いま動いた?」

 …て、隊長!あんたが虫型人形動かしてんじゃないのさっ!

「ゃやああっ!やだやだやだっ!パンツに入って来た!?」
「落ち着いて、ユーリ…取りあえず下着を脱ぎましょう」


 取りあえずってアンタ……。
 皆さん、ターイーヘーン、ヘーンーターイーっ!
 次回、最終回よんっ!



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