「筋肉天使★グリ江ちゃん」@







 
はぁ〜い、全国の腐…いいえ、婦女子の皆さんお元気かしら〜?
 みんなのアイドル、グリ江ちゃんどぇ〜す。

 今日はぁ、あたしの大事な魔王陛下とその下僕…い、いいえ!忠実な臣下ウェラー卿コンラートの一日を追ってみるわね?
 さ、皆も二人の後を追跡してみて!



*  *  *





 あらあら、魔王陛下の扉の前に隊長がいるわぁ。
 ノックをしてるけど、あの大きさじゃあ寝汚な…いいえ、健康的に眠りの深い陛下は起きっこないわね。ま、隊長はその辺狙ってるんでしょうけど。

 え?何で無意味にノックしてるかって?
 ほほほほほほ…そりゃあアンタ、陛下に《ちゃんとノックしたんですけどね》って言う為よ。証拠作りって事ね!腹黒…いいえ、用意周到な隊長らしいでしょ?

 さー、入っていったわよぉ…。
 グリ江ちゃん、お庭番の能力を最大限に生かして、こっそり入り込みまーす。

 
「おはようございます陛下、三番目覚まし鳥はとっくに鳴きましたよ?」
「んー…陛下って言うなぁ…名付け親ぁ……」
「すみません、ユーリ。つい癖で…」

 ああ癖ね、癖!
 そうそう、癖だから寝とぼけてる陛下の目元に《朝露が…》とか言いながらキスしたり、着替えを手伝うふりしてじっくり背後から紐パン眺めたりするのよね〜。
 襟元直すふりして首筋に息吹きかけて、悲鳴あげさせるのも癖なのよね〜。
 
 ええ、そうそう、全部癖だからしょうがないのよね〜。

「なー、ヴォルフが目ぇ醒ます前にジョギング行こうぜ!」  
「ええ、お供します」

 中庭に出たら、愛想の良い陛下ったら周りの警備兵とか侍女達にも笑顔でご挨拶するのよ。良い子よね〜。魔王陛下って概念を、このグリ江ちゃんも根刮ぎ覆されちゃったわよ!

 んで、横に控えてる隊長は周りに殺気を送ってると思うでしょ?
 《陛下が好きで好きでたまらない次男のこと、絶対そうに違いない》って思うでしょ?

 と・こ・ろ・がぁ〜、隊長ったら凄く優しい笑顔を浮かべてんのよ。
 《ええ!?意外と心が広い!》…と思ったあなた…まだまだ甘いわ!
あれはね、陛下とセットで自分の映像を組み込んでるわけよ、見ている人の視界に!

 《ああ〜、陛下とウェラー卿は今日も仲良しだな。俺達が分け入る隙はないぜ…》と、アレでみんな思っちゃうのよねー。
 
「あ…っ!」

 あらやだ、陛下ったらまた何にもないところで躓いてるわ。
 良く転ぶのよね〜。
 でも、怪我がないのはすぐに横から隊長が抱き留めるからなんだけど…

「ユーリ…怪我はない?」
「う…うん。ありがと…えと……もう大丈夫だよ?」
「本当に?また足首を捻ったりしてませんか?」

 まぁ〜…するするっと靴下脱がせて、丹念に足首触りまくってるわね。

「…あ……っ」
「どうかなさいましたか?」
「う…ううん…何でもない」

 あっら〜…陛下ったら顔真っ赤!
 そりゃそうよね〜。隊長ったら陛下が感じやすい所ばっかり狙って、超絶技巧の手つきで弄るんだもん。
 下手すりゃ陛下、勃っちゃうわよー。危険キ・ケ・ンー!

 あー、やっと終わった。
 何とかまた走り出したわ〜。

 さ、次は朝ご飯ね!
 この続きはまたご報告するわ!
 みんなもグリ江ちゃんの一日偵察が無事完了するように祈っててね!

 バ〜イビ〜っ!


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