黒うさぎは金色うさぎのツェリ様のもとに到着すると、さっそく茶うさぎにしたのと同じ質問をしてみました。

「あらあら…嬉しいこと!じゃあ、ユーリちゃんがコンラッドの赤ちゃんを産んでくれるの?まぁ!とっても素敵だわぁっ!」

 この場に茶うさぎがいたら、きっと精神的に100メートルはよろめいたことでしょう。
 ツェリ様は恋をするのも赤ちゃんを産むのも好きですが、生物学的な原理には全く興味がないうさぎだったのです。 

「でもね、ユーリちゃん?コンラッドのお嫁さんになるならドレスが着れるようにならなくちゃいけないわ」

 その前にもっと重要な要素がある筈ですが、その辺はツェリ様にとってはノープロブレムなようです。

「ドレスなんて持ってないよ。ドレスが着れないとコンラッドの赤ちゃん産めないの?」

 黒うさぎはしょんぼりしてしまいました。

「まぁ、大丈夫よユーリちゃん!あたくしが小さいときに着ていた服を分けてあげるわ」

「本当?ありがとうツェリ様っ!」

 黒うさぎは飛び上がって喜びました。



 ツェリ様は黒うさぎの毛並みによく映える紺色のワンピースと、ふわふわの真っ白なレースに縁取られたエプロンドレスを着せてくれました。

 折角貸して貰ったので文句を言う筋合いはありませんが、黒うさぎは初めて着るスカートや、《裸足じゃ合わないわ》と言われて穿かされたレースの靴下や、黒くて硬いエナメル靴に戸惑っていました。

『なんだか変なところがスースーして、変なところがキュウッとなるなぁ…』

 それに、髪の毛に結んで貰った細い天鵞絨のリボンもちょっと髪の毛が引っ張られて痛いです。

 それでも礼儀正しくお辞儀をすると、《これでコンラッドの子供が産めるぞ!》と、黒うさぎは勢い込んで駆けていきました。









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