虹越え5−7−1







 くしゅんっ

「大丈夫ですか?」

 大変愛らしく(コンラッド視点)くしゃみをした有利に、コンラッドは気遣わしげに声を掛けた。

 朝方は結構暖かく、日中も燦々と太陽が照りつける中での体育祭となったため、有利は学校から半袖の体操着と短パン、何だか勢いで白い鉢巻きを締めたままというスタイルで下校する途中であった。

 しかし宵闇がおりる時分になると、山間から吹き抜けていく風が強さを増してきたこともあって、半袖では少し寒さを感じるほどの気温になってきた。

「んー…平気平気!でも、日が落ちたら急に寒くなってきたよなぁ…」

 ぶるりと震える主をそのままにしておく筈などなく、コンラッドは小脇に抱えていた荷物から長ランを取り出した。

「少し汚れていますが、羽織って下さい」
「えー?それあんた用だからなぁ…」

 気恥ずかしいのか暫くぶつぶつ言っていたものの、結局押し切られて長ランを羽織った有利…。

 その姿に……コンラートは悶絶しそうになった。

『か……可愛すぎるっ!』

 応援合戦の時のチア服も可愛かったが、こちらの長ランはまた別の味わいがある。

 コンラートの背丈に合わせた大振りな長ランは明らかに袖丈が長く、腕を降ろすとちょこんと指先だけが袖口から覗くのだが…それがまた小さい子どもがお父さんの服をこっそり着ているみたいで何とも言えず愛くるしい。

 しかも、体操着の短パンは膝上5pくらいで膝小僧が見える丈なので、長ランの裾から歩くたびにぴょこんびょこんと膝が飛び出す様子は艶っぽいんだか子どもっぽいんだか判然としないが、ともかく…とんでもなく魅惑的な様子であった。

 それでなくても四大要素を掌中に収めたことで要素達の祝福を受け、いまや輝くばかりに冴え渡る美貌の持ち主が、自分の長ランを恥ずかしそうに着込んで頬を染めているのだ。 コンラートでなくても普通、握り拳の一つくらいは握りたくなるのが心情というものだろう。 

 そんな彼がとにもかくにも家に帰り着くまで我慢出来たというのは、湛えられこそすれ非難される筋合いはないと思われる。

 家に帰り着き、後ろ手に素早く鍵を閉めるところまでやったのだから、少々理性の鏨が外れても許してやって欲しい。

「ん…コンっ!」

 玄関で靴を脱ぐやいなや抱きしめられ、振り返った唇をそのまま塞がれてしまう。

「ん……っ……くぅ………んっっ」

 角度を変えて性急に求められるが、こんな激しい唇付けにもなんとか対応出来るようになってきた有利は、窒息することなく…おずおずと舌をさしだして不器用ながらも絡めたりする。

「ユーリ…」

 そんな恋人の《あどけない》舌技にさえ胸を震わせ、コンラートは思うさま、柔らかで…さらりとした質感の舌を味わった。

「ふ……くぅん……」

 鼻にかかる甘い声を愛おしげに含み込み、悪戯な指がそろりと長ランのあわせから太股を伝い始めると、流石に有利が慌て始めた。

「へ…部屋の中に入ろう?コンラッド……」
「すみません…我慢、できない……ユーリを抱きたくて抱きたくて……堪らないんです。駄目…ですか?」

『だーかーらーっっ!ビクター犬みたいに小首を傾げるのはやめろっっ!!』

 そんな仕草に有利が弱いことを熟知している腹黒な男が、思い切り計算済みなのだろうが、《じぃ…》っと澄んだ琥珀色の瞳で見つめてくると…有利には小さく頷くことしかできないのだ。

「ユーリ…っ!」

 ぱぁっと表情が明るくなると、この琥珀色の瞳には銀色の虹彩がきらきらと跳ね回り…明るい水面のように輝いて、実に美しい色合いを呈するのであった。

 ついついうっとりと見惚れている内に、気がつけば好きなように体勢を変えられたりするのである。









※ご注意※

 ここから先は玄関→室内(ソファの上)へと、いんぐりもんぐりエッチしながら移動していきます。そして、鉢巻きで目隠しをされた有利はあんあん言わされた後であることに気付きます。その程度のことが分かっていれば次の展開に入れます。

 
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