50万打&2周年お礼企画エロ第一弾 「俺の彼女は宇宙一」−3 大きく開かれた下肢は内腿の皮膚が薔薇色に上気して…更に濃い紅を纏うであろう淫華は淡雪のような下着に包まれている。細かなレースとフリルで彩られたその下着もまた、しとどに濡れて色を変えていた。 「濡れて透けてる…とてもいやらしくて、綺麗だね」 「も〜…恥ずかしいからやだってば…っ!」 そうは言いながらも、そっと寄せられた膝が完全に恥部を隠しきってしまうことはない。 実のところ…幾度か味合わせた羞恥プレイの中で、有利は背徳的な悦楽の感じ方を無意識下に刻み込まれてもいる。恥ずかしさが心地よさに繋がってしまうという、困ったシナプス連結を完成させているのである。そっと朱に染まる瞼を伏せながらも、それが固く閉ざされることはなく…うっすらと残された視界に何が映っているのかは言わずもがなである。 分かっているけれど…有利の心情に配慮して、あくまでコンラートが《無理に》見たがっているという点を強調してあげる。 「そんなこと言わないで?…ね、お願い」 ちゅ…っと音を立ててこめかみにキスを落とすと、理性を奪おうと悪戯な指が淫華を下着越しに弄る。 * * * 「ゃ…め……っ!」 壁掛けの大鏡から目を逸らそうとするのだが、濡れた蜜音にどうしても意識は引き戻されて、ちらりと横目で見た映像に有利の頬は染まってしまう。 『なんちゅー格好だよぉぉ……っ!』 スカートをたくし上げられ下着を剥き出しにされたまま、コンラートの右脚に乗せられた身体は手淫を受け続けている。その分有利の脚は一本開放されているのだが爪先だけが辛うじて接地する形だし、何しろ身体全体が微妙な平衡を保つ形でコンラートに乗せられている。それに、もう一方の脚は二つ折りにして拘束されているものだから抵抗らしい抵抗などできよう筈もない。 いや…実のところぬるぬると布越しに擦り上げてくる指がもどかしくて、良いところを掠めるたびにびくりと腰が震えて、逃げられない…というのもあるのだ。 割れ目部分をつぅ…っと上下されたり、ゆるゆると弧を描いたり、突然トン…っと指先で叩打されたりすると、一瞬《つんっ!》…と電流様の快感が突き上げるのに、不意に離れて行くから耽溺しきれない。 感じてしまうたびに《とぷり》と蜜は溢れてしまうし、いっそ乱暴に雌芯を責めてくれればいいものを…と、身悶えてしまう。 「コンラッド…い、いつまで…?」 「おや…そんなに嫌?」 「……っ!」 するりと腿を撫でながら指が離れていく。ぬる…っと蜜を滑らせながら敏感な肌を擦る指に、有利は責めるような眼差しを送る。 「意地悪…」 「心外だな。こんなにユーリを想っているのに…」 「だったら、焦らさないで?」 身体を捻らせて、ねだるようにキスを送れば…《心得た》と言いたげにコンラートの笑みが深まり、有利の両脚を揃えて膝裏部分で抱えると、一方の指先が器用に動いてレースの下着を引き下ろす。当然、下着は腿の途中でたゆたうことになるのだが…狭い腿の谷間にゆっくりと指が収められていけば、そんなことを気にしている暇は無かった。 「ん……ぁ……」 『入って…くるぅ……』 殊更に…存在感を示すようにずぶぶ…っと長い指が淫華の中に差し込まれていく。十分以上にぬるついているそこは痛みなど訴えたりはしないのだが、先程とは一転して襞を狭められている為、窮屈さが余計に指の感触をリアルなものにする。 ず…っ… じゅぶ……っ 「ほら…全部入った。…見える?ユーリ…」 「見…てるよ…。もぉ…っ」 完全に目を瞑っていない限り、嫌でも視界に入る。 鏡に映し出された淫華は、貪欲に涎を零しながらずっぷりと男の指を銜え込んでいた。それが直接的に伝わる甘やかな電流と交差して、有利の思考を溶かしていくのだった。 「では、行きますよ?」 「ひぅ…っ!」 ず…っず…っ! じゅ…ずぶ……っ! 今までとは比べものにならないくらい大胆な指使いで、知り抜いた淫華を責め立てられれば冷静でいることなどとてものこと出来はしない。溢れる蜜が…口角から零れる涎が、淫音を立てて双丘を伝い落ち、ぱたた…っと雫が床に散る。 「ぁあん…っ!…ぁん…ぁあん……っ!」 あられもない嬌声を喉の限りに響かせると、自ら腰を振ってやっと与えられた本格的な愛撫に身も世もなく溺れていく。 くん…くくん…っ! 巧みに突き上げられ、時折リズムを変えて引き上げられる指使いに、頂点が近づいてくるのが分かる。けれど、またしても高みの直前で指は愛撫を止めてしまう。 「やだぁ…抜かないで…っ…ぇ!」 「すぐに挿れてあげるから…ね?」 引き留めるように絡みつく襞をくりゅりと練ってから指を引き抜くと、素早く壁鏡に押しつけるようにして有利を立たせ、引き上げた双丘を鷲づかみにして…熱く高ぶるものを淫華へと押しつける。 「早く…欲しいよぉ…っ!」 「うん、たっぷり呑み込んで…」 今度は言葉通りに《たっぷり》と含み込まされる。すっかり溶け解されていた淫華は殆ど抵抗することなくぐぶりと雄蕊を呑み込んでいき、奥津城まで達したところでゆるゆると燻らされた後…次第に律動が激しさを増していった。 「ぁん…ぁあん……っ!」 「ああ…凄い、締め付けてくるのにぬるぬるしてて…っ!」 ぱん…ぱ…っ! 奥津城を責めるたびに双丘へと下腹が当たり、おしおきでもしているみたいな打撃音が響く。やわらかなお尻の皮が可哀想なくらいにの紅色に染まるから、コンラートは少し緩めようとするのだけれど、ふるる…っと首を振って有利がねだるのだった。 「らめ……も、やめないで…っ…」 「苦しくない?」 「気もひぃい…からぁ……っ!」 自ら腰を揺らして答えれば、コンラートもまたそれに合わせて激しく腰を使った。 律動に合わせてたわわに実る果実のような胸が揺れ、痛いくらいに前後運動をする。コンラートは覆い被さるようにして有利の胸を鷲づかみにすると、愛液でぬるつく指を思うさま絡みつかせ…更に首筋を甘噛みしていく。 「も…もぉ…イク……いっちゃう…っ」 「良いよ…行って…っ!」 グン…っ!と一際激しく突き上げられた瞬間、有利の脳内に白い花火にも似た光彩が弾け、ぷしゃあ…っと蜜壷の中で愛液が迸ったのが分かる。その蜜はゆるゆるとコンラートの雄蕊を濡らし、とぷ…っと二人の接合部から滴り落ちて下肢を辿り、床にまで達していく。 まこと、洪水のような有様であった。 『気持ちよすぎて…おかしくなっちゃうよ……』 ヴォルフラムに対する負い目が無くなったためだろうか?普段よりも一層熱烈にコンラートは求めてくるし、有利もまた素直に快楽を追っているような気がする。 でも…個人的にはまだ足りない。コンラートだってそうである筈だ。だって…まだコンラートはずっぷりと有利の体奥へと突き込んだ雄蕊を開放していないのだから。 溢れる蜜をたっぷりと拭った指が次に狙う獲物は、ちいさく息づく菊華であった。少年の身であった頃から教え込まされてきた愛撫に、有利の身体は狂喜して指を受け入れる。 「そこ…ゃん……い、良い…よぉ……」 「ユーリはここを弄るの好きだよね。ここ…とかも」 「くぅん…っ」 ぶるっと震えて蜜壷を収斂させれば、ぎゅるりと蠢く肉襞にコンラートの息が詰まるが、それでも雄蕊を引き抜くと、今度は菊華へと宛い…またゆっくりと埋めていく。 本来は排泄器に過ぎないはずのそこは、今ではコンラートの情欲をあますところなく受け止める性器と化しており、如何様に責め立てられても悦楽に啼く場所へと変わっていた。 如何様に…とは言えど、屈辱や痛覚を伴うような責め苦をコンラートが与えるはずもないのだけど。 「ユーリのお尻の孔はちっちゃくて、凄く頑張って俺のものを呑み込もうとしてくれるから…いつも可愛いな…っと気持になる。まあ、それで大きくなってしまうから悪いな、と思うんだけど…」 「ゃん…馬鹿ぁ…っ!」 ………羞恥を伴うような責め苦は、与えてくれるわけだが。 啜り泣くような声も快感を刺激するだけだから、嫌ではないことは既に知られてしまっている。 ぐ…ぶ……っ! 音を立てて、可憐な襞が広がりきると…大きすぎる逸物を含み込んだ。 * * * 『いつもながら…よく裂けもせずにこんなちいさな場所が広がる…』 微かな罪悪感と大きな驚嘆…そして、尽きせぬ愛情がコンラートの胸をひたし、その度に体奥に含ませた雄蕊を育ててしまう。 「あ…おっきぃ……っ!」 狂喜とも苦痛ともつかぬ溜息が漏れ出すのも、いつものことだ。 既に蜜壷で濡れそぼっている雄蕊は多少激しい動きをしても本当の意味での苦痛を与えることはなく、幾度か抜き差しを繰り返すうちに腸壁自身も悦んでいるかのように絡んでくる。 突き込み、ゆるりと回転させる動きに淫らな水音が混じり…ねじ込み、ぬる…っと引き抜く動きで有利の啼き声に切なさが増す。 どんな楽の音よりもコンラートの心を震わせるあえやかな声に、雄蕊は申し訳ないくらいの大きさと硬度を持ち、肉に甘い責め苦を与え続ける。 「ひぃん…ひぅ……んっ!」 「絞りとられるみたい…だ…っ」 どくん…っと最奥の体腔内に迸りを注げば、淫らな肉はびくん…びくんと震えて男の白濁を呑み込んでいく。まるで、コンラートの精を一滴たりとも逃したくないとでもいうように…。 背後から抱き竦めて、幾度か腰を使って情欲を吐き出しきると、コンラートは繋がったままでゆっくりと腰を降ろしていく。 そして、半分意識を飛ばしかけている有利を胸に凭れかけさせてやると、下肢を大きく割り開いて鏡に映し出した。 繋がっている場所が、明瞭に見て取れる。 桜粒をしっとりと濡らした胸はぽろりとまろび出たままだし、男のものなど知らないとでも言いたげなほど華奢な下肢の谷間にぐっぷりと雄蕊を突き立てられた少女からは、両の指で淫華を開いてやればとろみを帯びた蜜が溢れ出してくる。 外見の清廉さと、その身に自分だけが与えられる淫靡な綾の対比を感じながら、ぞくぞくするような快感に浸る。 「ん…っ」 ぴくん…っと震えて下腹に力を込めたせいだろうが?ぐぶ…っと淫靡な音を立てて、二人の接合部からも白濁が溢れ出してくる。まるで、気持ちよすぎてお尻の孔から射精しているようだ。 『えらい格好をさせてしまって…ゴメンね?』 ふるる…っと長い睫を揺らして瞼が震えるから、コンラートはゆるゆると突き上げを再開し、感じやすい肉に再び悦楽を与えていく。 「あ…ぁあん…コンラッドぉ…もぉ…後ろ、やぁ…。前から、して?」 「全く、なんて可愛いんですか…ユーリ」 不自然な形で身を捻らせて口吻をねだる有利に深く舌を絡ませながら、コンラートはその華奢な身体を抱え上げて寝台に乗せると、ぬじゅ…っと音を立てて接合方向を変じると、大きく下肢を割り開いて真正面から突き上げていく。 「ぁあん…あん…ぁん…っ!」 律動に合わせてあえやかな嬌声が響くが、もうそこに羞恥の色はない。心から心地よさそうに笑みを浮かべて、伸ばした両腕の中に愛しい男の背を抱きしめる。 「好き…大好き…コンラッドぉ……っ!」 「愛してます、ユーリ……っ!」 深く深く口吻ながら…互いを互いで埋めていく行為は、深夜まで続いたのだった。 * * * 翌日、有利は軽く朝日に対して《黄色い…》という感慨を持ったのだけれど、それでも気絶している間に清められていた肌はさらさらと心地よく、伸びを打てば清潔なシーツを擦る感触が実に気持ちいい。 「目が醒めた?ゴメンね…今日も執務があるのに無理させて」 コンラートの方はすっかり身支度を調えていて、昨日の淫行の余韻を伺わせるものは何もない。 いや…それでも、しどけなく寝台に横たわる有利を見つめる眼差しには、どうしても熱いものが掠めるようだ。それが嬉しくて、有利はくすりと微笑む。 「……寝てる間にここまで綺麗にして貰っちゃうと、あんまり文句とか言えないし…」 語尾の、《俺だって気持ちよかったし…》という台詞はシーツの中にくぐもっていったのだけれど、耳の良いコンラートのこと…聞こえていないことはあるまい。 微かに耳朶の端が紅くなったのを確認して、有利は《ぽ…》っと頬を染める。 「…遅刻しても、良いかな?」 「どうでしょう?」 コンラートはそれ以上何も言わない。その判断をすべきは護衛官ではなく、魔王陛下自身だからだ。 「…………あの、ね…。午後、ちゃんとやるから…だから…午前中休ませてって、グウェンに伝えるくれる?」 「御意」 《ズル休み》の自覚に申し訳なさは募るのだけど…それでも、この心地よいひとときをもう少しだけ味わっていたくて、有利はおねだりアイズでコンラートを見つめた。 その瞳に抵抗できる者などこの眞魔国に存在するまい。 「あ…っ」 魔王陛下の命を受けて早速伝言すべく部屋を出ようとすると、小さな叫び声が背後で聞こえた。 「どうかなさいましたか?」 「えと…その……」 有利はもにもにと寝台の上で言い淀んでいたが、あむ…っと下唇を噛んでからコンラートに更なるおねだりをしたのだった。 「伝言終わったら…早く帰って来れる?」 「今日は…随分と甘えんぼさんですね?」 「……駄目?」 だから、そんな艶かしい眼差しで上目づかいをされて抵抗できる者など…以下略。 『ああ…あなたって人は、やっぱり眞魔国一…いや、宇宙一の恋人ですよ』 嬉しくって堪らない。 これまではどこかヴォルフラムに対して後ろめたさを覚えていたのが払拭されたせいだろうか?コンラートと有利の関係を宇宙中に喧伝したいという思いが沸々と湧いてきて、言葉や態度がどうしても軽やかになってしまう。 「俺の持ちうる能力の限りで、迅速に帰還します」 コンラートは快諾しつつ力強く頷くと、部屋を出て行った。 * * * グウェンダルは朝方、有利よりも一時間は早く執務室に入るのが日課になっている。 事前にその日の懸案事項に目を通しておき、更には必要な資料を集めてすぐ手が届く位置に置くためだ。当然、《手が届く》ようにしてやりたい対象は一人だ。 『ふん…。あいつも、最近はなかなか頑張っているしな』 高校を卒業したことで、《魔王》として過ごすことが本格的になってきたせいだろうか? 精神的にもかなり成長してきたように思う。 『ふむ…2段目ではまだ高いか。3段目に置いておいてやろう…』 一度は棚の上から2段目に入れた本を、10冊ばかり3段目に移動させる。女性体になってしまった有利は、以前よりも少し上背が引いせいで2段目では危険なことがあるのだ。以前、グウェンダルが目を離した隙に一人で本を取ろうとしたら、一斉に何冊もの上製本が降りかかってきたことがある。 有利が悲鳴を上げた瞬間にグウェンダルが目にしたものは、本の山に埋もれる魔王陛下…ではなく、魔王陛下を我が身で庇うコンラートだった。 『……あいつは、そういう奴だ』 《この浮気者!コンラートもコンラートだ!馴れ馴れしく有利を抱き込むな!》…ヴォルフラムは怒り筋を浮かべて有利を追いかけ回していたが、グウェンダルからすると…《お前、この状況をみて他に思いつくことはないのか?》と尋ねたい衝動を抑えるのに苦労せねばならなかった。 コンラートは有利を愛している。 おそらく、有利もそうなのだろう。 コンラートはともかくとして、一本気で隠し事が嫌いな有利がこのことを秘して語ろうとしないのは、ひとえに…自称とはいえど眞魔国内では《婚約者》とされているヴォルフラムの立場と心情を気遣ってのことであろう。 ヴォルフラムと婚約破棄をしないままコンラートと有利が愛し合っている事実が知られれば、折角穏やかになってきた国内事情が大きく揺らぐ可能性がある。何と言ってもヴォルフラムは十貴族の中でも強力な威勢を誇るビーレフェルト家の嫡男だ。その名誉を傷つけたとあれば、一族の者達は黙ってはいまい。《寝取った》相手が混血であるウェラー卿コンラートという事実も、彼らの矜持を傷つけること甚だしいに違いない。 明確な功績を幾ら積み重ねても、コンラートを混血と言うだけで蔑視する者は未だに眞魔国の中に存在するのだ。 その事実自体がグウェンダルにとっては臓腑が煮えくりかえるほどに腹立たしいのだが、避けて通れぬ問題でもある。 『ヴォルフラムの態度が、自主的に変わってくれれば…』 何度そう祈ったことだろう? 空しい祈りだと知っていても…恋愛絡みの難しい問題であるだけに、グウェンダルとしては直接説得に及ぶわけにも行かず、祈るほか無かったのである。 だから、この日…執務室を訪ねてきたヴォルフラムが唐突に切り出してきた話題には、一瞬…彼らしくもなくぽかんと口を開いたのだった。 * * * ヴォルフラムからの婚約破棄の申し出…それは長い間切望してきたものであるにもかかわらず、いや、そうだからこそなのか…グウェンダルはすぐに諸手をあげて喜ぶ気にはなれなかった。そう決意するまでに、弟に何があったのかが気になって仕方ないのだ。 「驚かれましたか?」 「あ…ああ、まあな」 兄の返答に感じるものがあったのだろう。ヴォルフラムは薄く苦笑を浮かべると、またしても予想外の方向から斬り込んできた。 「コンラートとユーリの関係を…知っておられたのですか?」 「…いや、私は……」 ヴォルフラムに絶句させられたことは多々あるが、大抵の場合《呆れて》という形であった。それが、このような話題で言葉を失うことになろうとは想像だにしていなかった。 「…いつ頃から…」 グウェンダルとしては返答に窮するしかない質問をしかけたヴォルフラムだったが、兄の表情を見やった彼は自嘲するように苦笑した。 「いや、詮無いことを聞きました。…忘れて下さい」 《ふむ…?》と、グウェンダルは弟の表情に息を呑む。 兄の欲目と言うだけでは無かろう…その面には、葛藤を正しく乗り越えて成長した跡が見える。 「あいつらが言えなかった理由も、兄上が言えなかった理由も…理解しているつもりです」 共に、ヴォルフラムを想うからこそ言えなかったのだと、理解しているという。 『本当の意味で、こいつは成長したのだな…』 その実感は、幾分のほろ苦さを含みつつも…やはり喜ばしさをグウェンダルに与える。 コンコン… 「失礼します」 入室してきたコンラートの表情が一瞬微妙に変わるが、すぐに自然な笑みを浮かべて会釈をしてきた。頬を幾分上気させているヴォルフラムと比べると、そこはやはり腹の据わり方に一朝一夕ではどうにもならない差というものがあるようだ。 「…それでは、要件は以上です。これで…失礼します」 ヴォルフラムは席を立って、コンラートと擦れ違うようにして部屋を出ようとするが…一度廊下へと踏み出した足を戻して、次兄の襟元を掴んだ。 「………幸せに、しろよ…っ!?」 目元を眇めて、喉を塞ぐ苦さに耐えながら…精一杯の想いを込めて紡いだ言葉に、コンラートは真摯な眼差しで応えた。 「必ず」 淀みのない…迷いの断片すら混じらぬその言葉に、態度に…ヴォルフラムは一瞬目を見開き、そして…静謐(しず)かな微笑みを浮かべて一礼した。 「頼む…」 末弟の足取りと…ぴんと伸ばした背筋を、二人の兄はそれぞれの想いを込めて見送った。 彼もまた、彼なりに精一杯の純粋さで有利を想っていたのだと、その想い故に成長することができたのだと…沁みるような胸の痛みと共に、認めたのだった。 そんなしんみりとした空気の中でコンラートは思った。 『どうしよう…エッチしすぎてユーリをへろへろにしてしまったので、執務は午後からにして下さいなんて…言い出しにくいな…………』 おしまい
あとがき 愛瑠瀬名様のリクエストで、「男前な彼女」シリーズでゆーちゃん女体化でコンラッドにメロメロで、コンラッドもゆーちゃんにONLY LOVE状態。場所は眞魔国の血盟城、周りをノックアウトするぐらい、いちゃつかせた挙句、あまりのラブラブぶりに三男にゆーちゃんのことをきっぱり!すっきり!とあきらめさせる話、でした。 前半部分は「いつも通りのコンユ」以外の何者でもないわけですが…。血盟城の皆さんをノックアウトする描写は大変短かったですね(汗) ラブラブっぷりにやられたのかどうかは分かりませんが、一応三男の方から自主的に諦める流れに持っていきました。 「たぬき缶」の方の温泉紀行では三男婚約破棄問題は解決したようで解決していなかったわけですが、こっちはわりと「きっぱり」行った方ではないでしょうか? そこだけ、ちょっと満足しておきます。 |