「今日から俺達はっ!」

B












 ずっとずっと…この日を待っていました。
 
 雨の日も風の日も…暖かな陽射しが差し込む朝、黒うさぎが無意識のうちに懐に潜り込んできた朝も、屈んだ拍子にシャツの襟元から可愛い胸の桜粒が覗いた昼も、風呂上がりの項から芳しいかおりが立ち上っていた夜も…茶うさぎはずっとずっとずぅ〜っと…我慢し続けてきました。

 本能は、常に黒うさぎを求めていました。

 ぷくぷくした手足やつぶらな瞳、愛らしい顔立ちを素直に《可愛い》と…《護ってあげたい》と思うのと同時に、その唇に自分のおちんちんを舐めさせ、ちっちゃな蕾にねじ込みたいという欲望を抱いておりました。

 けれど、絶対にそんなことはしてはならない。
 だって…黒うさぎはきっと、自分の身体がぼろぼろになっても茶うさぎを赦してしまいます。
 黒うさぎは…そういううさぎなのです。

 自分の身がどうなったって、愛おしい相手の為には我慢してしまうのです。

 そんなことを、茶うさぎが我慢できると思いますか?

 出来ませんよ。
 ええ…絶対に出来ませんとも!

 そんな我慢をさせる位なら、茶うさぎは自分のおちんちんを斬り落としたって良いと思っていたくらいです。
 それを思えば、黒うさぎが16歳を迎えるこの日まで待ち続けるくらい何だというのでしょう?

 そう思いながら、今日まで暮らしてきました。

 それが今…報われたのです。

 きゅうきゅうに締めあげてくる肉筒はちょっと苦しくて頑なですが、それでも目一杯解してからたっぷりとオイルを塗り込んだお陰で、ぴちぃ…っと張りつめながらも切れることはありませんでした。

「俺達…これで……夫婦だね?ほんとの…夫婦なんだよね?」
「そうです…俺達、結ばれたんですよ?」

 端から見ていたら、もしかすると滑稽なのかも知れません。
 いい年をした大兎が、華奢な少年兎を組み敷きながら…泣いているなんて。


 でも、誰が笑ったって構いません。
 いま…茶うさぎはこの上なく幸せなんですから…!


 生まれてきたことを、世界中のありとあらゆるものに感謝したい気持ちで一杯なんですから…!

「ありがとう…ユーリ」
「俺こそ…ありがと……」

 息を詰まらせながらも、黒うさぎは幸せそうに微笑みます。
こじ開けられた初めての場所は悲鳴を上げているでしょうに…実際、怯えたように耳は寝てしまっていますが、それでも黒うさぎはやさしそうに…しあわせそうに微笑むんですよ?

『なんて可愛いうさぎなんだろう…!』

 茶うさぎがそう思ってぽろりと涙を零したって、決して恥ずかしくなんかないんです。
  
「動くよ…?良い?」
「う…ん……」

 それでなくても一杯一杯のところで《動く》と言われて、黒うさぎの耳がぴくんと震えます。

 ですが…くたりと脱力していたおちんちんに指を絡められると、今度はピィンっと耳が立ち上がります。

「はぁ…そこ、ゃあ……っ!」
「嫌?」
「ぅうん…ちが……違うのぉ……っ」

 あどけない叫びを上げながら黒うさぎは嫌々をするように顔を振ります。
 茶うさぎの手がするりと双丘の奥に忍ばされ、少し色んな液で濡れてしまった尻尾をなで始めると、これまた声に艶やかさが混じります。

 うさぎ族の尻尾は、耳と同じ…いえ、それ以上に感じやすい場所ですからね。

「あん…ぁああ…んん……っ!」

 ずくん…っと黒うさぎの内腔が収斂を始めます。
 きつくて…でも、うねるように蠢く肉襞に、茶うさぎは狂喜の声を漏らしました。

「あ…凄い……ユーリ。いやらしく…絡みつく。気持ちよすぎて、イってしまいそうだ」
「いって…あぁん…コンラッド……気持ちよくなって?」

 茶うさぎの喜びは自分の喜びとばかりに、黒うさぎの声が弾みます。
 おかげで、茶うさぎは遠慮無くオイルを継ぎ目にとろとろと垂らすと、下腹や双丘までぴたりと密着させて…ぬるる…ぬるぅ…っと腰を燻らせます。

 すると、ぎりりと締めあげていた肉筒は緊張を解かれたせいか、はたまたおちんちんと尻尾への愛撫に感じてしまったのか少し緩みました。

 今です…!

 茶うさぎは角度と蕾の緊張度に注意しながら注挿を始めると、巧みに肉粒を探り出して擦り上げます。

「ひぁあん…っ!」

 黒うさぎの華奢な体躯が跳ね、背筋が弓なりになりました。
 額や鼻の頭には酷く汗を掻いていますし、息も荒いですけど…その声には感じたことを知らせる艶が混じっています。

「あ…ぁ…ぁあ…っ!」
「ユーリ…ユーリ…っ!」

 ぱん…ぱん…っ!

 うねる肉壁の甘美さに煽られて、理性を失いそうになりながら茶うさぎは注挿を続けます。
 すると…黒うさぎの方も耳を震わせながら喘ぎました。

「コンラッド…大好きぃ…っ!」
「ユーリ……っ!俺も…愛してます…っ!」

 ぐん…っと一際強く突き込んだ瞬間、黒うさぎのお腹の中に暖かい何かが注ぎ込まれて、《ぶぁっ》…と辺りを広げたのを感じました。
茶うさぎが、黒うさぎのお尻の孔に欲望の赤ちゃんの素を注ぎ込んだのでしょう。

「あ…ぁ……」
「ん……」

 二羽は硬く抱き合ったまま、暫く動くことが出来ませんでした。
 どこもかしこもが甘くじんじんとしていて…幸せで、嬉しくてしょうがないのです。

 二羽はちゃんと愛の営みを達成することが出来たので…これで、誰憚ることなく二羽は夫婦だと主張することが出来るのです。

 でも…これで茶うさぎが終われると思いますか?

 いいえ、勿論…9年分の我慢が報われたからといって、これだけで止められるほど茶うさぎは枯れた雄ではありませんでした。

「ユーリ…ゴメン。もう少し頑張れる?」
「うん、大…丈夫……」

 息も絶え絶えながらも精一杯元気そうに黒うさぎが言うと、ずるりとおちんちんを蕾から抜き出しました。

 そして茶うさぎはオイルやなんやでどろどろになった黒うさぎの素敵下着を剥ぎ取り、ガーターベルトに縛られた腰を掴むとくるりと身体を反転させました。

 ぷり…っとお尻を突き出す形です。
 体勢を変えたせいか、蕾からはたっぷりと含ませた白い蜜がどくりと溢れてきます。

「や…っ!?お、俺…うんこ出たっ!?」

 黒うさぎが慌てますが、茶うさぎががっしりとお尻をホールドして離しません。

「いいえ…俺が注いだ赤ちゃんの素が出ちゃったんですよ」
「うぁ〜…ご、ゴメンね」

 何故謝られるのかよく分かりませんが、何となく大事なものを無駄にした気がしたのでしょうか?
 でも大丈夫ですよ。だって……。
 
「出ちゃっても大丈夫…まだまだ、いっぱい注いであげますからね…?」

 ちゅ…っと音を立てて双丘にキスをすると、ぴくんっと可愛い尻尾が揺れます。
 それは、怖がっているようにも…期待しているようにも見えました。

 ですから、茶うさぎは再び滾るものを感じて自分でおちんちんを擦り上げると、すぐに息を吹き返した高ぶりを濡れた蕾に押しつけます。
 先程抜いたばかりですから今度は少し楽かな…?と思ったのですが、黒うさぎの方が慣れないせいかすぐに力を込めてしまいます。

 だからといって、茶うさぎは無理矢理こじ開けたりはしませんよ?
 とっても紳士的なうさぎですからね。

「ふ…くぅん……」
「綺麗な背中…。舐めても良い?」
「ひぁ……っ!」

 肩甲骨の間…背筋の窪みを舐め上げていけば、黒うさぎのしなやかな背は反り返って、そちらに意識が行っている隙に…《ずぶぅ》…っと、一気に付け根部分まで突き込んでしまいました。
 瞬間の早業に、黒うさぎは抵抗することも出来ません。

「ぁ…く……ぁあ…っ!」

 そのまま注挿を始められると、零れてもまだ十分に残っていた白濁の滑りが茶うさぎのおちんちんを、黒うさぎの中で縦横無尽に暴れさせます。


 まさに、暴れん棒将軍ですね。


「やー…ゃああ…っ!も、ゆ…ゆっくりぃい……っ!」
「痛い?」
「ちが…か、感じすぎて…おかしくなっちゃう…っ!」
「おかしくなって…ユーリ。俺に溺れて?」

 茶うさぎはくすくすと笑うと、覆い被さってより深くおちんちんを突き刺して行きます。その時、漆黒の耳に悪戯することも忘れませんし、するりと股間に込ました指で黒うさぎのおちんちんを弄るのも忘れません。

 その厳密なまでに行き届いた愛撫はまさに《セックスの指さし確認》とでも言うべきでしょう。

 しかも、茶うさぎは黒うさぎもまた悦楽に興奮しきって、次を求めていることに気付きました。だって、おちんちんを擦ってあげたら《もっと…》と言いたげに腰が揺れましたからね?

 では、何を遠慮することがあるでしょう!

 この日まで封印していたありとあらゆる技…《エロの玉手箱》を開くこの時が来たのです!
 開いた途端にお爺さんになったら嫌ですけどね?

 茶うさぎは黒うさぎを脇から抱え上げると、お膝の上に載せました。
 昔はこうして、膝に乗せて絵本を読んであげたものです…。声が綺麗で話しぶりが上手な茶うさぎは、いつだって黒うさぎに歓声をあげさせていたものです。
 今はずっぷりと自重で貫かれる黒うさぎを思うさま突き上げて、嬌声をあげさせていますけどね?

「ね…ユーリ。懐かしいね?こうやって…お膝で絵本を読んだり、おやつを食べさせてあげたりしましたよね?」
「ふ…ぅうん…っ!」

 きゅ…きゅっと硬く痼る胸の桜粒をこね上げ、きゅうぅ…っと摘み上げれば、繋がった場所はきゅるりと茶うさぎを締め付け、少し枯れてしまった声が迸ります。

「ゴメンね…ユーリ。喉が渇いた?」
「すこ…し……」

 黒うさぎはとろんたしたお目々で、朦朧としながら応えます。
 本当に律儀なうさぎですね。

「じゃあ…飲んで?」
「ん……」

 ベッドサイドに置かれていたのはウェルカムシャンパンでしょうか?先程まですっかりその存在を忘れ果てていました。
 黒うさぎはもっと大きくなる為に、《成兎してもしばらくお酒は飲まないから!》と言っていましたが、記念として少しくらい飲ませてあげるには良いでしょう。



*  *  *




「んん…ん…ふぅ……」

 茶うさぎが杯を傾けたときには少し味を見させる程度でしたが、口に含まされたシャンパンは甘い飲み口でしたし、まだ結構冷えておりましたので、思わず喉を鳴らして黒うさぎは飲み干してしまいました。

 すると…胃の中がかぁあ…っと火がついたように熱くなります。
 そのまま揺すられていると、黒うさぎの身体は朱に染まってどんどん火照ってきます。

 繋がっている場所は特に凄くて…黒うさぎは恥じらいを忘れると、放埒に茶うさぎを求めました。

「もっと…して……ぁん…コンラッドの赤ちゃんの素…いっぱい俺の中に出してぇ…っ!」
「ユーリ…っ!」

 不自由な体勢から身体を反転させてキスを強請り、自ら腰を上下させて茶うさぎを求めれば、新郎は狂喜して新婦の肉体を求めました。

「ユーリ…ユーリ…ああ、何て可愛いんだろう…っ!」
「ぁあああん……っ!!」



 すっかり歯止めを失った二羽が、その夜…いいえ、次の日の朝も昼も夜も…どうしていたと思います?

 《新婚夫婦をからかってやろう》と翌日訪れた友兎達は新婚夫婦に会えずじまいで…苦笑しながら帰ることになりました。
 お土産に持ってきた花籠に、橙うさぎはカードをつけて置いておきました。

 カードに書かれていたのはこんな言葉です。


『調子に乗って、抱き潰すなよ?』

 
 次の日の夜になって漸く布団から出てきた茶うさぎは(黒うさぎは一歩も自分では動けませんでしたので、お風呂もトイレも全部茶うさぎに抱き上げて連れて行って貰いました)、こう思いました。


『新婚旅行が終わったら、まっすぐ眞魔国森に向かおう……』


 友兎や村田のからかいに耐え切れそうにもないからです。
 
 さてはて、思惑通りいきますやら?



 それは今後のお楽しみです。 
  

 
おしまい







あとがき


 とうとう到達しちゃいました…初エッチ★

 ほのぼのとした絵本調の話だけに、モロBL文体の「である調」よりも「何かいけないモノを見ている」感が強いこのシリーズも、とうとうこの時を迎えたのですね!

 しかも、相変わらず文体が絵本調のまま…!

 犯罪臭を漂わせながらぽろぽろっと思いついたように連載を続けて参ります。

 しかし、新婚生活だと色々ネタがあるのですが、意外と新婚旅行ネタが思いつきません。
 お題サイト様に「新婚旅行」という項目はあるのか…!?

 ちょっと捜してみます。
 
 皆様も具体に「こんなネタ」というのがありましたら、教えて下さいませ★