第三章 ]WーC
【エロ】
「ん…くむ……」
「…は……」
夜気を揺らして、濡れた音が響く。
アリス湖に面した居室は大きく壁面が開いているが、両脇が切り立った岩場になっているせいもあって、そこから誰かに覗かれる心配はあまりない。
絶対にない…と言い切れないのは、湖の上から目を凝らす者がいたり、バルコニーで事に及ぼうとすればその限りではないからだ。
部屋の中にいてすらも、外気が爽やかに吹き込んでくるものだから羞恥は常に感じつつけることになる。
けれど、それを上回る欲望に駆られて有利は大きく口を開くと、自ら吸い寄せるようにしてコンラッドの舌を堪能した。
コンラッドの舌はふくっとした有利のそれとは違って少し薄めで、その代わり長く…そして、どんなに唾液が絡んでもさらりとした感触がある。
それがもどかしくて、もっとどろどろになって欲しくて…有利はコンラッドの首に回した手を引き寄せると、更に深く彼を感じ取ろうとした。
「今日は随分積極的だね?」
「安心したら、なんか腹一杯あんたを喰いたくなったのさ」
ぺろりと紅く染まった舌で唇を舐めれば、妖艶なまでの彩が有利を包む。
飢えを隠さないその大胆さは、命がけで戦ったことの反動だろうか?
互いの存在が失われず、こうして触れ合えるという事実を五感の全てで感じ取りたいのかも知れない。
だが、コンラッドが有利の行動原理を推測できたのもここまでだった。
今日は一体何処まで大胆になるつもりなのか…有利はもどかしげにコンラッドの長衣をはだけると、発達した胸筋の盛り上がりを愛おしげに舐め上げ、そのまま乳飲み子のような必死さでベージュ色をした粒に吸い付いた来たのである。
「ん…ユーリ……そこは、困るな…」
「コンラッド、結構ここ…弱いだろ?」
「困ったな…色々知っちゃってますね?」
「研究してるもん」
誇らしげに《えへん》と胸を張る姿は相変わらず可愛らしくて、思いがけない妖艶さとの差違がコンラッドを酔わせる。
「では、俺も研究させて頂きますね?」
「ゃん…っ!」
反らした胸にむしゃぶりつけば、胸が透けぬようにとの配慮も空しくすぐに桜粒が明瞭になり、ふっくらとした乳房の上で硬く尖り始める。
「ぴったりと張り付いた布を押し上げて…とってもいやらしくて可愛い果実だね」
「ふ…くぅん……っ…」
先程までの押せ押せムードは何処へやら、コンラッドの方が本調子を出してくると流石に転がされてしまい、もじもじと内腿を摺り合わせる。
その仕草に、コンラッドの唇が淫靡な笑みを浮かべる。
「果汁が溢れてきたの?」
「ひゃ…っ!」
悪戯な指がしゅるりとズボンの紐を解くと、ゆったりとした布地は簡単に指の侵入を許してしまう。
下着の上からそっと指を押し当てれば、溢れ出た果汁がしっとりと布地を濡らし始めたところだった。
「相変わらず、感じやすい…」
「だって…あんたにずっとずっと…触って欲しかったんだっ!」
「ずっと…?ひょっとして、あの魔道装置に入ってる間も?」
「……そーだよ。だって…あの装置、コクピット別々だったじゃん?申し訳ないんだけどさ…あんたが苦しそうな顔してると、なんか…その……いきそうなんだけど我慢してるときの顔に似てて……」
「見てるだけでイきそうになった?」
「…………」
返事はなかった。
けれど、こくりと頷く顔はよく熟れた桜んぼみたいに真っ赤で、コンラッドの猛りをいっそう煽り立てる。
こんな清純そうな顔をした恋人が、そこまで自分を欲しているということ…そして、あの闘いの中ですら欲情していたという事実に、ついつい笑みがいやらしげになってしまう。
「では、もう一度見てみますか?」
「え…?」
「ユーリが上手にしてくれたら、俺のイき顔を眺められますよ?」
「う…ん……」
寝台の上に膝を突き、長衣の上から思わせぶりに指先を上下させるコンラッドに、有利の喉がゴクリと鳴った。
その下に隠されているものが、既に猛り始めていることが見て取れたのと…完全にたかぶったその時には、有利の蕾をゆっくりと抉ってくれることを知っていたからだ。
医療的知識も万全になってしまったコンラッドは、どんな体勢で抱けば支障なく有利を喘がせられるか知り尽くしてる。
焦らせて、深いオーガニズムを感じさせる手管もお手の物だ。
* * *
「ん…ん……」
「お上手ですよ…ユーリ」
有利は喉元まで深くコンラッドの雄蕊を銜え込んで、寝台の上に四つん這いになっている。
その下肢を覆っていたズボンは下着ごと取り払われ…じんわりと蜜の滲む襞が外気に晒されているが、それを目にする者はいない…筈である。
なのに、無いはずの視線を感じて有利は濡れていく。
「さあ…ユーリ、もっと大きく脚を開いてご覧?俺のものを銜えながら、蜜を零すいやらしい姿を、後ろから俺が見ていると想像してご覧…?」
「……ぅん…」
こく…っ頷いて、有利はじりり…と下肢を開いていく。
少し角度が変わったことで襞の合わせ目がずれたのか、ふぅ…っと吹き掛かってくる風が、有利に淫猥な自分を突きつけた。
『俺…凄ぇ、エッチな身体になっちゃったのかな?』
だとすれば、それはこの男のせいだ。
おかげ…とも言えるけれど。
深く濃い交わりは、幼い自慰で得られるような快感など遙かに凌駕しており、有利の身体と心に欲望の火を灯していく。
今は女の身体であるが、男の身であっても花茎による到達だけでは最深部の悦楽を感じることは出来ない。
今、有利の口腔内に満ちているこの熱だけが、有利を狂わせることが出来るのだ。
『欲しい…よ。コンラッド…』
ぷるん…と前後に揺れる胸の先端で、硬く痼った桜粒がじんじんと痛いくらいの電流を流してくると、それに気付いたようにコンラッドの解説が加えられる。
「男の子の時より大きな果実が、胸の先でこりこりしてるね。俺の口の中に含み込んで、舌先でちょろちょろ苛められたり…痛いくらい囓ったりされたら、もっと感じるかな?」
こくこくと頷けば、口の中で雄蕊の硬度が更に上がる。
有利の中に入ったときにも、感じるとこうしてコンラッドの容積は膨れあがって、肉筒を強く抉るのだ…。それを口腔内の粘膜で感じ取ると、そこまでが交接器に成りはててしまったように悦楽を覚えてしまう。
舌先で感じ取る苦み…張りつめた海綿体と、圧倒的な質感…形。
そういったものがリアルに伝わるたびにとろとろと有利の蜜壷は濡れてしまう。
「俺が背後にいたら…こんなユーリを放っておかないだろうね?」
「…っ!」
「まずしとどに濡れた雌芯にしゃぶりついて、果汁を全て吸い尽くすみたいに…いやらしい音を立てて吸い上げるだろうね。ほら、ユーリが俺の先端にしてくれるみたいに」
促されて、一度口から出したものを吸い上げれば《ぢゅ…っ》《ず…っ》と淫らな水音が響いて互いの耳孔を犯す。
「パンパンに膨れあがったおちんちんを、ずっぷりユーリの雌芯の中に銜え込ませる…だけど、リヒトを苛めてはいけないから…ゆっくり…ゆっくり、気が狂うくらいじっくりと入り口だけを犯すんだ《もっと奥まで突いて》なんて我が侭を言っても許してはあげなくて、出したり入れたりを繰り返す。カリの部分がわざと引っかかるようにして、クリスリスを刺激しながらね?」
触れられてもいないのに、じんじんと拍動するように疼くクリトリスは、まるで勃起しているみたいに容積を倍加させているように感じた。
「そして…もうユーリが我慢できなくなったかな?…と思ったら、ここに…」
「んふ…っ!」
双丘を鷲づかみにされて、ぱくりと肉を左右に引っ張られれば…辛うじて隠されていた蕾までが外気に晒されてしまう。
何かを期待するように蠢く肉襞が、ぞわりと淫靡な動きを見せるのが…つるりと伸ばした人差し指の腹に伝わってしまう。
「ぱくぱくして…物欲しそうなここに、濡れたおちんちんを遠慮無く埋め込んでいくんだ。お尻の中で暴れ回るみたいに動いても、俺が欲しくてしょうがなかったここは痛みすらも快感に変えて吸い付いてくるんでしょう?」
「んん…ぅ〜っ…!」
くぷ…と蜜で濡れた人差し指が一節入り…そしてゆっくりと抜ければ、コンラッドの言葉を証明するように慕わしく蕾が吸い付いていく。
有利は限界近くまで高ぶる雄蕊を時折甘噛みしながら、これが自分の中を抉る様子を想像して悶絶してしまった。
「ゆっさり揺れるおっぱいにしゃぶりついて、濡れた粒をカリカリしたら…下の果実も指で摘んであげる」
「んぅ…っ!」
蕾を弄ったのとは別の指が《きゅ》…っとクリスリスを摘んだ瞬間、有利のオーガニズムは頂点に達し、反射的に吸い付いた雄蕊もまた頂点を迎えそうになるが…コンラッドは口腔内に発射して噎せさせることをよしとせず、快感の直中にある身体を寝台の上に横たえて、ふっくらした胸…細い腰、形良い臍へと振りまくように白濁を開放した。
肌に触れた液体は最初の一瞬だけほの暖かく…すぐに熱を失ってひんやりとしたものが、とろりと腰のラインを伝っていった。
「ゃ…あ……っ!」
「とても綺麗ですよ…。アイシングを掛けたお菓子みたいだ」
くすくす笑いながら、コンラッドが中腰の姿勢で有利を見詰める。
『見られてる…こんなエッチな格好を、コンラッドが見てる…』
胸をぽろんと露わにした状態では長衣はもはや拘束着に近い役割しか果たさず、そこにぶち播けられた情欲の証ともあいまって、ひどくいやらしげに見える。
ゆるく開いた下肢の間ではとろとろに濡れた襞と蕾とか物欲しげに収斂を繰り返しているのだから、コンラッドの目にはさぞかし淫靡な姿に映っていることだろう。
「あ…コン……ラッド?」
「今度はこっちで味わってね?」
有利を跨ぐようにして(勿論、迂闊に踏んだりしないように細心の注意を払いながら)コンラッドはまだ硬さを残した雄蕊を、濡れた胸に埋めて左右から乳房をたぷんと寄せ付ける。
「わ…わわ…っ!」
まさか男の憧れ(?)パイズリを自分の胸でやられるとは思わなかった!
コンラッドの方もそれは同じらしく、ふくよかな胸に挟み込まれた雄蕊はすぐに本格的な硬度を取り戻すと、腰を前後させて《ぬく…》《ぐちゅ…》っと淫音を奏でていく。
その度に出たり入ったりする紅い亀頭部分が有利の顔に迫り、《ちょっと可愛い》と思ってしまうくらいの愛嬌を漂わせる。
思わず、顔に一番近づけられた時に舌を伸ばして鈴口を舐めてあげると、息を詰めたコンラッドが《くん…っ》と、絶頂寸前の貌を見せて仰け反った。
『わ…っ!』
艶やかなその表情だけで到達しそうになった有利は、腿を摺り合わせて何とか堪える。 そう何度も触れられることなくイかされては、ちょっと寂しいではないか。
《ちゅう》…っと鈴口を吸い上げ亀頭を銜え込むと、コンラッドを誘い込むようにして頭を動す。そうすれば、胸に挟まれる部分は雄蕊の付け根から小袋部分に代わり、ふにふにとした感触同士が擦れ合ってちょっと変な感じだ。
そちらに集中していると、するりと回された指がクリスリスを弄り初めて、どうやらこの体勢で挿入することなくイかせるつもりなのだと気付いた。
『ぁう…俺の体調気遣ってんな?』
どこまでも護られていることに複雑な気持ちも掠めるが、リヒトへの影響も考えるとこれ以上疲労することは望ましくない。
そのまま巧みな指使いを追うことにした。
『気持ちいい…』
コンラッドの指は長くて、剣ダコが発達した部分以外は実に肌触りがよい。
見事な指使いで高められていけば、有利の頂点もすぐ近くに見えてきた。
「ユーリ…もう一度、良い?」
《はぁ…》っと熱い吐息を漏らしながらコンラッドの動きが激しくなるから、有利はこくりと頷いて唇を離した。
「目…瞑って?」
「ぅん…」
何をされるか予測して《ぎゅ》っと目を閉じた瞬間、荒々しく鷲づかみにされた胸の間でドクンと雄蕊が拍動し、顔一面に飛沫が飛ばされるのを感じた。
クリスリスを摘んでいた指も《きゅうぅ…》っと捻り上げられ…蜜壷から吹いてしまった潮の暖かさを感じながら、有利は意識を手放した。
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