第三章 ]ーDエロ
するりと薄い生地が肩を滑り、羽が触れるような柔らかさで掌が素肌を掠める。
決して強い刺激ではないのだけど…指先から微弱な電流でも流れているみたいで、じんわりと肌に汗が滲んでしまう…。
《くすぐったい》…それだけではないことを、有利もコンラッドも熟知している。
細い首筋を人差し指が掠めたかと思うと、絶妙な間合いで中指が…薬指が追いかけてくる。
そして、忘れた頃に繊細な小指が《カリリ》っと爪をかけるのだ。
ぞくぅ…っ…
「は…ぁ……」
触覚の後に続く軽い痛覚で、一気に有利の感覚は活性化され…そこから後に加わる刺激全てが甘やかな波動を帯びて精神を犯していく。
「コンラッド…」
《焦れったいよ》と囁く唇をゆっくりと親指が伝い、微かに広げた口裂から唾液を汲み取ると、濡れた感触を紅を差すかのように広げていく。
「綺麗だ…」
「いやいやいや……」
片手を挙げて謙遜するサラリーマンのような仕草をするが、その手にもするりと指が絡んでくる。
大きくて筋張った…けれど、どこか優美なフォルムを持つ手。
有利の大好きな、コンラッドの手…。
『おっきぃ…。それに、剣胼胝(ダコ)とかあって…如何にも武人の手って感じ……』
少し冷たい温度が火照った身体に心地よいのだけれど…もう一方の手がそわりと胸元を伝えば、身体の芯が余計に熱せられてしまう。
戦場では剣聖と呼ばれ、敵の生死を左右する男の指が意外な程の繊細さでもたらすのは…
狂おしいほどの熱情だ。
ふ…わ…っと、胸を包んでいた布地が器用に解きほぐされ、すっかり敏感になった素肌が外気に包まれた途端、ちいさくあわだって次なる刺激を待ちわびる。
『お…おっぱい、直接触られちゃう?』
ドキドキと胸郭中で弾む鼓動をうるさいほどに感じながら、ちらりと送った目線の先で…長い指がそぅっと鎖骨の下から胸の桜粒に掛けての、なだらかな丘陵を伝い降りていく。
白い胸元に映える紅色の蝶は、この身が人為的に変化したものであると証明しているが、今更胡蝶への羞恥から行為を止めることは出来なかった。
ゆっくり…ゆっくり、胸のふくらみが微かにへこむ程度の圧で伝い降りる指に、淡紅色の桜粒が真っ赤になるくらい弄って欲しくて…もじもじと腿の合わせを捩らすと、指に絡んでいた手がほどかれて感じやすい背中に回される。
「……っ!」
「ここ…お好きでしたよね?」
左右の肩甲骨の間に添えられた爪が《カリリ》っと脊柱の棘突起を掠めれば、びくん…っと背筋が跳ねて胸を突き出してしまう。
コンラッドに向かって捧げられる形となった桜粒を遮るものは何もなく、つん…っと尖り始めていたそこが、熱い舌に包み込まれた。
「はぁん…っ!」
嬌声をあげて撓(しな)る身体が寝台の上に横たえられ、決してその身体を潰すことはないように配慮された脚ががっちりと細腰を囲い込む。
骨盤を固定された肢体は身じろぎすらも愛撫で返されて、ズボン越しに伝わる逞しい筋の感触に、奥底の蜜が早くも溢れ出しそうになってしまう。
そう…今も、じんじんと疼くような…そして、濡れ始めた感触が布にぴちゃりとまとわりついて恥ずかしい。
「ん…んん…っ…」
桜粒はゆるゆると柔らかな舌でまさぐられ、有利が好む歯先での甘噛みは与えられない。
その分、舌乳頭のざらりとした感触が細密に伝わってきて、じくじくと時間を掛けて有利の感度を高めさせていく。
「も…焦れったいよ…っ!」
とうとう根負けして、声を大にして叫んでしまうけれど…やはり求める刺激は与えられない。
ぺろりと舌先が臍をくすぐり、そのまま丁寧に感じやすい場所を探り出してキスを繰り返すものだから、有利は一層背筋を反り返らせてシーツの上であえやかにうねった。
「も…もぉ……」
誘うように下肢を開いて、コンラッドがその合間に位置取れるようにしたのだけど…下肢を覆うゆったりとした膝丈ズボンを引き抜かれたものの、下着には手をつけられない。
その代わり、息が掛かるほどの位置で下着を確かめたコンラッドがくすりと嗤う。
「下着の色が変わっていますね。いつもの黒ではなく淡い紫だから余計に目立つな…透き通って、全部俺に見えていますよ?」
「……っ!」
恥ずかしい蜜香まで伝わってしまいそうな場所から、恋人の意地悪な…それでいて、堪らなく性的な声が聞こえてくる。
「相変わらず…淫らな身体だ」
「や…」
かあぁ…っと、全身が朱に染まってしまう。
言葉による責めと周辺部位への愛撫が、触れられてもいない有利の秘部を蕩かしていった。
「ぁん…っ!」
《かしり》と内腿に歯を立てられ、肌理の細かな肌へと唾液を絡ませた舌がねっとりと滑りゆくと、近接した場所が疼いて反射的に下肢を寄せてしまった。
敏感な内腿の間でダークブラウンの頭髪が揺れ動くと、止めて欲しいのかもっとして欲しいのか自分でも分からないまま、うねるように下肢を揺らしてしまう。
するりと解かれた下着の紐を横目で確認しながら、有利は再び自分の声が甘さを帯びていくのに恥じらいを覚えた。
「ゃあ…っ…コンラッド…」
「リヒトが吃驚しないように、挨拶しなくちゃならないでしょ?こんにちは、リヒト。私がパ〜パぁよぉ〜」
そんな場所で、変に良い声で歌わないで欲しい。
うっかり笑った隙にかぱりと下肢を広げられ、しとどに濡れた桜色の襞を暴かれてしまう。
「…こんなに濡らして…感じやすいママだね」
「だって…気持ちいいんだもんっ!」
「正直なママ…もっと気持ちよくなりたい?」
「……なりたいです!ドンっと一発やっちゃってくださいっ!」
さっきまで恥ずかしがって内腿を寄せようとしていたくせに、それをコンラッドの《オヤジ魂》が悦に入って喜んでいるらしいことを察すると、有利は思いきって自分から大股を広げた。
『…むーっ!』
しかし、思い切ってはみたものの…あまりの恥ずかしさに顔が真っ赤に染まってしまい、硬く目を瞑(つむ)って横を向くのだが、コンラッドが黙って下肢の間を凝視しているのが《ちりり》…と肌合いから感じられて内腿も紅に染まってしまう。
『もー…っ!』
早く、突っ込んで欲しい。
熱くて硬い雄蕊で、潤んだ肉筒をぐちゃぐちゃになるほど突いて欲しい…。
そう思うのに、コンラッドのものはなかなか与えられなくて…ふる、ふるる…っと内腿が震えてしまう。
いや…震えているのは内腿だけではない。
ほわりとした恥部の兎毛の下でぱくりと開いた果肉のような襞裂に、愛蜜がぷくり…っと浮かんだかと思うと、寄せられた指先に押されて《びくぅ》…っと蜜壷が収斂し、恥ずかしい淫音を立てて蜜が零れ出す。
つ…ぷ……
くち…ちゅ…
ぐち……
襞の入り口を、まるで桃の果肉を悪戯に潰すような感じで指が出し入れされるたびに、溢れ出した蜜が双丘の谷間を伝ってシーツを濡らす。
『あ…コンラッドの…指ぃ……っ!』
爪の形…ふしくれ立った関節…長い骨幹。
そして、燻らすように蠢かされる巧みな動き…。
「あ…ぁあ゛…ぁう……っ……ぅー…」
鋭敏になった粘膜の全てがコンラッドの指を感じ取ると、唇が淫蕩な華のように綻んであられもなく唾液を零し、漆黒の瞳が欲望に濡れて瞬く度に涙を零していく。
身体中をあらゆる液で濡らす姿は、ズボンに包まれたコンラッドの雄をはち切れそうなほどに刺激しているはずだが…何故だか出撃してこない。
『どうして…?』
寂しくて眉根を下げるけれど、その代わり…とでも言うように《くりゅり》と陰核を弄られれば、あえやかに嬌声を上げて達してしまった。
甘やかな電流が下腹から背筋に掛けて網目状に張り巡らされ、下半身が蕩けてしまいそうな悦楽に包み込まれたのだ。
「ゃううぅぅ…っ!ぁ…ぁあ…ゃ……やっ…ぁ……っ…」
到達の後も、びくん…びくぅ…っと、小刻みに身体が震える。
繊細でもどかしいような悦楽は到達に至る時間だけでなく継続も長く…普段とはまた違った、身体の芯の部分をとろとろに溶かしてしまうような粘性を持っていた。
ひくつく足の指が布地を掴み、くぅん…っと背筋が反り返る。
シーツに押しつけられた双丘が生暖かく濡れた感触を伝えることで、達した瞬間に噴いてしまった蜜が恥ずかしいほどの量なのだということが…ゆっくりと快感の波が遠のいていく中で自覚される。
「気持ちよかった?」
「はぁ…ぅ…ん……」
問いかけの意味を理解するのにも一拍を要してしまい、自分がどれほど深い快感を味わっていたのかを知る。
「さぁ…身体を清めましょう?お湯の香りがしますから、きっと浴室に支度をしてくれていますよ?」
「コンラッド…は?」
「俺は良いです」
意地悪なくらいの愛撫で有利を煽っていた癖に、涼しい顔をしてこの男はそんなことを言う。
軍服の上着に隠された前立て部分がちらりと視界を掠めたら、そこは痛覚を刺激されそうなくらいに張りつめていたのに…。
「ナニ言ってんだよ。あんた、ぴんこ勃ちじゃん!」
「人を鉄人ガンマみたいに…」
「衣笠?いや…今なら金本か?」
野球の知識に関しては、わりと古いネタでもついて行けます。
…が、コンラッドの食いついたネタとは微妙(?)に違っていたらしく、軽くがっかりしていた。
「いえ、まぁ…良いです。とにかく、俺は結構ですから…」
「良くないよ!なんで…?俺…一人であんあん言っちゃったから呆れた?股ぐらとろとろにしてたから、《ナニこれやらしー》とか思っちゃった!?」
うるりと瞳に水膜を滲ませて唇を尖らせば、困り果てたようにコンラッドが頭を抱えてしまう。
「違いますよ…!全く…そんなあられもない姿で誘わないで下さいっ!タガが外れたらあなたを無茶苦茶に抱いてしまいそうなんですからっ!」
『無茶苦茶にしてよ』
とは、流石に言えない。
そうだ…コンラッドは、リヒトの身を案じていたのだ。
ついつい欲望に流されて激しいセックスをしてしまいそうな有利に対して、やはりそういった面では大人なのだ…この人は。
妊娠初期でセックスをしてはならないとは言われなかったが、あまり激しくやれば流石に悪影響があるだろう。
だからコンラッドは遠慮がちなのだ。
『でも…それじゃ、コンラッドはリヒトが生まれるまで独り我慢カーニバルなのかよ?』
それは困る。
だって、有利は何としてもコンラッドに気持ちよくなって貰いたいのだ。
自分だけなんて絶対に嫌だ。
「コンラッド…服、脱いでよ」
「……え?…」
「いいから…早く!ほら、靴脱いで寝台に上がって?」
襟元をくつろげてもいない男を半ば強引に寝台に引きずり込むと、有利は不器用な手つきながら一つ一つ…襟合わせやシャツの釦(ボタン)を外していく。
『わ…』
自分からやっておいて、思わずドキン…っとしてしまう。
コンラッドの引き締まった胸筋は有利の好みにジャストミートの盛り上がりを見せており、正直…ふわふわと膨らんだ自分の胸よりもよほど(一部の)男心を擽ると思うのだ。
「ユーリ…困ります……」
寝台の上で有利を拒みきれずに横たわる姿は、はだけられたシャツから覗く逞しい半裸や、バックルを外されたまま細腰に絡みつく革ベルトが何とも艶かしい。
眉根を寄せて禁欲的な貌をみせるものの、隠しきれない色香が匂い立つ様も悶絶ものだ。
「いいじゃん…あんただって、俺にしてくれたろ?」
ちいさな紅い舌を伸ばして、精一杯余裕ぶって胸の桜粒…有利よりも硬くて小粒なそれを含み込むと、あえやかにコンラッドの胸が上下したのが分かる。
彼もまた…感じているのだ。
「美味しい…」
コリリ…っと甘噛みして声を詰まらせ、脇腹からそっと掌を伝わせて、感じやすい場所を探しては丹念に唇を寄せていく。
大小様々な疵によって引き攣れてはいるけれど、コンラッドの肌は基本的に肌理が細かく白いものだから…少し強く吸い上げれば面白いくらいに朱華が散る。
「綺麗…」
楽しくなって、ちゅうちゅうと色んな所に所有の証を刻んでしまう。
「俺のものだって印だ!」
ちょっぴり自慢げに鼻を鳴らすと、コンラッドはきょとんとした貌で小首を傾げた。
「俺はいつだって…あなたのものですよ?」
「そうだけど…あんた、俺があんたのものだってことはよく失念してるだろ?」
「それは…まぁ……あなたは俺だけでなく、多くの者に必要な方ですから……」
「もぅ…っ!そんな事言うと、苛めちゃうぞ?」
釦を引きちぎりそうな勢いでシャツを脱がして、引き締まった腹筋の溝に舌を這わせていけば、前立ても金具に《ガチッ》っと悲鳴を上げさせながら毟(むし)りとってやった。
庶民派下着の色が一部変わっているのにちょっとニンマリしつつ、《ちゅ…》っと音を立てて先端と思しき部分にキスをすれば、目に見えて高ぶってきたのが分かる。
「ユーリ…っ!駄目です…っ!」
押し殺した声が、欲望と自制心の間で鬩(せめ)ぎ合っているのが分かるけれど、そんな風に自制しすぎる彼が辛くもある。
『我慢するのが…当たり前になっちゃってるんだよな?』
そう考えると、胸がきゅうん…っと疼(うず)いた。
綺麗で素敵な、有利のコンラッド…!
男の身体で繋がっている時には、《少々無理をしても大丈夫だから》と有利自身が言ったこともあり、結構なエロプレイを仕掛けてくれたこともあったけれど…こうして別の命を宿した身体では、身の負担を考えすぎて過剰な自制をしてしまうのだろう。
『エッチのやり方なんて、色々あるじゃん!』
リヒトの負担にならずに、高め合う方法なら幾らでもある筈だ。
例えば、こんな風に有利が奉仕する形とか…。
濡れた下着をずらして猛りきった雄蕊を取り出せば、その刺激だけで達してしまいそうなほど限界近くなっているのが分かる。
「馬鹿…こんなになるまでほっとくなんて…可哀想…」
れる…っと舌先で鈴口を舐めてから腹を打つ裏筋を丁寧に舐め上げ、両手の指を使って教えられた限りの愛撫を施す。
ちゅく…
ずちゅ……ぢゅ…っ
溢れ出てくる透明な液に、微かに濁り酒のようなものが混じり始めると…コンラッドは耐えかねたように有利の小作りな頭部を掴んでしまった。
「駄目…ですって……っ!」
「くむー!」
踏ん張ろうとした有利だったが、ふと意固地になりすぎている自分に気付いた。
そういえば、もともと警戒心の強いコンラッドは口内淫行をするのは楽しげにやるくせに、自分がされることは好まない。
有利相手なら気持ち良さそうに受ける事はあるのだが、それでも最後は別の場所で味わうことが、彼に深い達成感を与えるようだった。
『そーだよな…気持ちよくなって欲しいのに、無理強いしちゃ駄目だよな?』
最後に名残惜しそうに一舐めしてから、有利は銜え込んでいた雄蕊から唇を離した。
「全く…あなたって人は……っ!」
困惑と悦びの混在する眼差しは息を呑むほどに美しく、有利は奥まった二つの場所からの疼きに瞼を閉じた。
『俺…どっちに欲しいんだろ?』
恥ずかしくて口には出せないが、有利は既に蜜壷と後宮両方の悦楽を教え込まれている。
丹念に調教されたこの身体は、どちらを責め立てられても歓喜の声を上げるのだ。
有利の戸惑いを見破るかのように、コンラッドの薄い唇が問いかける。
「…どちらに欲しい?ユーリ……」
『あ、悪魔っ!』
わざわざ聞いてくるコンラッドは、半眼に開いた瞳に魔性の艶を帯びて有利を睨め付ける。
『どっちって言ったって…』
どちらと答えても少年の身としては異常な交わりに、羞恥が燃え立つように身体の芯を灼いていく。
「コンラッドは…どっちが好き?」
「俺は、ユーリならどちらでも愛しています」
「だったら…どっちもして?あんたにアイされてんなら、俺だってどっちも好きだよ」
やけっぱちで答えたのに、コンラッドは目を見開いた後…《参った》という顔をして両手を上げてしまった。
「ユーリ、なるべく優しくしますけど…。悦楽が限界値を超えて、この館で明日から恥ずかしい思いをすることになっても知りませんからね?」
「へぅ?」
神速と謳われる間合いの取り方で、コンラッドが瞬時に鼻先まで詰め寄ると…有利の身体は獣の姿勢を取らされて、つぷ…っと淫華の花弁へと雄蕊が押しつけられる。
まずはコンラッドの寵愛を獲ることになったのは、蜜壷の方らしい。
「お尻の孔は、後から可愛がってあげますよ」
「ひぁ…っ!」
亀頭だけを突き入れられ…ギリギリまで抜かれ、ゆったりと円弧を描いたかと思えば腰が弾むように動きでカリの部分が肉襞に引っかけられる。巧みな性技ながら、全ては入り口近くの浅い場所に集中していた。
深み浅い有利の奥津城を突くと、子宮に影響が出るのをやはり恐れているのだろう。
「ぁあん…っ!」
あられもない嬌声が迸り、館中に聞こえてしまいそうなほどの声量で響き渡った。
確かに、明日はかなり恥ずかしい思いをしそうだ…。
「まだ悲鳴を上げるには早すぎますよ?」
そうは言いながらも、同じ体勢を続けさせて負担が生じることを避けるためにか、有利の弱い部分を的確に捉えた責めは早い時間に勝負をつけようとする。
一際強くカリが陰核を抉った瞬間、またしても高らかな嬌声をあげて有利は果てた。
「ゃあああ……っっ!!」
「く…相変わらず、良く締まる…っ!」
コンラッドは甘い苦鳴を漏らしながら、《きゅぅう》…っ引き絞られた肉筒の中へと白濁を飲み込ませていった。
既に妊娠していなければ確実に孕んでしまいそうな勢いで注がれた精液は、勢いよく雄蕊を引き抜かれたことで噴出してしまう。飲み込まされた分もあるが、感じきった有利は蜜液を溢れさせてしまう体質であることも関係しているだろう。
ぶしゅ…
びゅ…っ!
数度に分けて溢れる液が、コンラッドの眼前でシーツを汚すのが分かった。
頭を前屈させて覗き込んだ視界には、揺れる乳房と濡れそぼる兎毛…そして、滴る液体を掌で受け止める恋人の姿があったからだ。
「や…」
「凄いな…ユーリ、女の子の部分から射精してますよ?」
「ば…っ」
《馬鹿…》などと怒る時間はなかった。
コンラッドはすぐさま掌で受けた混合液を己の雄蕊と有利の菊華へと塗り込めると、くちくちと…恥ずかしいほど丹念に、襞の一つ一つを解すようにして濡らし始めたのだ。
そして十分に解れたその場所へと、ずぶりと雄蕊が攻め入ってくる。
「ぁ…あ……っ!」
「凄いね…ユーリ。ちいさな蕾をいっぱいに開いて、俺のを美味しそうに銜えていますよ?ああ…俺が突き込むたびに、さっき飲ませてあげた精液が溢れてくる…。いやらしくて…可愛いな」
コンラッドの大きな手が、濡れた液を塗りつけるようにして下腹を伝う。
「ふふ…リヒトは知っているのかな?自分のママが、こんなに淫らな身体で、自分を宿している間にもたっぷりと俺の精液を下のお口で呑んでいたなんてね」
「い…いいもん…っ!知られても…良いもんっ!」
ずっぷりと、根本まで深く楔を穿たれた圧迫感に声が詰まるけれど…それでも、毅然と有利は告げた。
「俺が…俺がぁ…っ!一番コンラッドを気持ちよくできるんだって、胸張って…言ってやる!」
だって、それは本当のことだ。
それが…有利の誇りだ。
「あなたって人は…!」
コンラッドの声は、微かに震えていた。
それが、歓喜のためだったのか…。
実は何処かで見たアニメのパクリだと分かったために受けているのかは不明であったが、その後…これでもかと言うほど丹念にセックスされたのは確かだった。
* * *
ちなみに、やっぱり心配になって情事の後にギーゼラの検査を受けたら、リヒトへの影響は皆無だったのだが…何故か凄い笑顔を浮かべたギーゼラにコンラッドが連れ去られた。
そして帰ってきた時には、分厚い医学書のようなものを握らされていた。
『……勉強します』
そう言うと、コンラッドは神妙な顔をしてページを捲り始めた。
どうやら医学的知識に基づいた、安全かつ愛欲を充足させるための知識と技能を身につけることにしたらしい。
『頑張れ、コンラッド…!』
有利は心から応援を送った。
こと、学問に関しては、全くちっともこれっぽっちも掠りもせずに、役に立たないことを自覚していたからだ…。
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