「大人の階段」A 有利は目隠しと手首の拘束を外されて、ほっと息をついたのも束の間…新たな羞恥を提示されて戦(おのの)いた。 経験の少ない有利にとっては、いきなり高度なハードルを設置されてしまったのである。 「坊ちゃん、良い恰好ですよぅ…隊長も生唾飲み込んでまーす」 「……ぅー……」 「あ、閉じちゃ駄目ですって。それに…言わなくちゃなんないことがあるデショ?」 有利はベッドの上で四つん這いになり、尻を高く上げた状態になることを求められ…自らの指でちいさな蕾を開いている。 桃色に染まった双丘の間で、鮮やかな華が咲いているようだ…。 勿論有利自身がそう望んだわけではなく、ヨザックに《恋人を淫らに誘うテクニック》として学習させられているのである。 「欲しいよ…ここに、硬くて太いの…頂戴?」 羞恥の滲む涙声がシーツの中にくぐもっていくと、コンラートの情欲は自制心との間で激しい葛藤を起こした。 媚薬に免疫のない有利は、蝋燭から立ち上る揮発性の媚薬によって次第に興奮の度を増しており、先程到達した余韻のせいか花茎はふるふると蜜を溜めて、紐パンの間から物欲しそうに雫をこぼしている。 コンラート自身も限界に近い…。 だが、ヨザックにこれ以上有利の痴態を見せ続けることは、コンラートの嫉妬深さからいえば大問題の範疇にある。 しかし…次なる行動に出かねて戸惑っているところを、ヨザックにするりと先行されてしまった。 「おんやぁ?隊長は坊ちゃんのココ欲しくないのかしらぁー?こぉーんなにぷにぷにしてピンク色で、可愛くおねだりするみたいにひくついてんのにさ」 「ゃあ…っ!」 くぷりと香油に濡れた指先を含み込まされると、有利の蕾は誘うように蠢いてみせる。 とても男のものが入るとは思えないほどちいさく可憐な肉襞だというのに、指に懐くようなその動きは淫猥そのものだ。 「ヨザック…や、ゃめ……っ!」 くぷくぷと意地悪な動きで指を出し入れされれば有利の背筋は可哀想なくらい跳ね、止めて欲しいのか、それとももっとして欲しいのか…襞を広げていた指がしどけなくヨザックの手に掛かる。 「ヨザ、替われ…」 「え〜?柔らかくてむにむにしてて気持ちいいのにぃ〜」 「煩い」 ぎらりと睨め付けられてぶすくれると、ヨザックは一応身を引いた。 「ぇう…?」 愛撫を与えてくる者がヨザックからコンラートに変わったことでホッと安堵したものの、蕾の中に押し入ってくる不思議な柔らかさに有利は変な声を上げてしまう。 「すみません…ユーリ。嫌?」 「う…うぅん?でも…なんか、指と違うような……」 「しっかり解したいので…暫く我慢して貰えますか?」 くちゅ… ぬる…… 蠢く感触と響く水音に、有利はやっとそれがコンラートの舌なのだと気付いた。 「やややや!き、汚いよぅっ!」 「おんやぁ?坊ちゃん、大人の階段登るんじゃなかったんですか?」 耳元でヨザックに指摘されると、あわあわと逃れようとしていた腰がぴたりと静止する。 「………コン…ラッドぉ…気持ちいぃ…もっと、して?」 誘うように自分でも襞を押し広げれば、ぴろりと開かれたサーモンピンクの肉壁が濡れた艶を恋人に晒す。 真っ赤になってシーツに擦りつけた顔を、ヨザックは満足そうに撫でつけてきた。 「やるじゃないですか坊ちゃん」 「だって…コンラッドに喜んで欲しいんだ!」 つきん…と、ヨザックの胸に何かが刺さる。 愛し方には種々のかたちがあって、どれが正しくてどれが美しいなどという判定は誰にもできはしないだろう。 だが、少なくとも有利からコンラートへと送られる想いは《どうかあなたが幸せになりますように!》というもので、眩しいほどの輝きを放つ…あまりにも綺麗な気持ちのようだ。 コンラートが欲しくて堪らなくて…掠め取るようにしてその身体を求めたヨザックとは、大きく違う愛し方だ。 「ひぁ…っ」 くちくちと舌で解された蕾の中にぬめる香油をまとう指が入り込むと、絶妙な動きで肉壁を滑り、グミのような質感を持つ膨らみの部分で《くに…》っと指が曲げられる。 「ぁああんっっ!!」 弱い場所への愛撫に耐えかねて、びくりと震えて吐き出しそうになる欲望をヨザックが付け根を掴んで止めるものだから、有利は身悶えして叫んでしまう。 「やだ…やらぁ……出したいよぉ……っ!」 「お漏らししちゃうそうなのかしら?坊ちゃん…でも、まだまだですよー。自分ばっかりイっちゃったら、隊長が可哀想デショ?」 「…!」 ひくぅ…っと込み上げる泣きじゃくりを懸命に押しとどめ、有利はこくりと小さく頷いた。 「うん…コンラッド……ね、挿れて?お願い……」 「ユーリ…」 ヨザックの行動に怒りを感じ、危うくベッドサイドに置かれた剣に手を掛けていたコンラートも、そんなに愛らしくおねだりされては抵抗しきることは出来ない。 「はいは〜い。隊長、折角だからご開帳お願いね」 「馬鹿言え」 ぴくりとこめかみを震わせて、もう一度コンラートの手が剣に掛かる。 「いやいや、落ち着けって!その方が坊ちゃんも気持ちいいだろ?俺がしゃぶってあげるから〜」 「………」 コンラートは仏頂面で睨め付けるものの、先程なし崩しに有利の花茎をしゃぶらせてしまったせいか、今更言うのも…という心境になったらしい。 実に嫌そうに渋面をつくりつつも、結局は有利を後背位で抱きかかえ…十分に馴らした蕾へと己の雄蕊を添えて、自重でゆっくりと飲み込ませていく。 「ぁ…あ……っ!入って…くるぅ……っ」 あえやかな嬌声を上げながら逸らされる胸は、触れられてもいないのに胸の痼りを中空に震わせ、後ろ手にコンラートを掴む手が布を引き裂かんばかりにひくつく。 「お〜…良い眺めですねぇ…。へえ、坊ちゃんたら可愛いカオしてやるもんですねえ。あんなにちっちゃくて《おっきいのなんて入んないよぉ〜》みたいな雰囲気出してたくせに、こんなに広がって隊長のデカイの銜えちゃってんのねぇ〜」 ぐりり…っと太い指が二人の継ぎ目を辿り、ヨザックの存在感を再び有利に意識させる。 「……っ!」 大きく広げた下肢の間に陣取られ、言葉で嬲られるという行為に有利の肢体が恥ずかしげに捩れた。 「お…いいねぇ。逸らされた胸の上で、ピンクのぷっくらしたのが踊ってますよぅー」 「よ、ヨザック…だ……駄目……っ!そこ、俺…弱……っ」 見せつけるように長い舌がヨザックの唇から伸び、硬く突きだした先端部分が触れるか触れないかの所でちらりと揺らぐ。 「弱いんですかぁ…。そいつは、楽しみ……」 「ゃーっっ!!」 ぬるりと分厚い舌がちいさな尖りを舐め上げれば、ザラリとした質感の野性的な質感が有利の感じやすい場所をしとどに濡らしていく。 ぬるり…くるりと尖りの周辺をなぞり、かしりと甘噛みすると面白いほど有利の身体が跳ね、その度にコンラートの雄蕊が締めあげられるのか、流石の鉄面皮も冷淡な表情を続けることが出来なくなる。 「く…ぁ……っ」 えもいえぬ色香を漂わせながら佳い声が有利の耳元に注がれると、そのおこぼれを頂く形でヨザックが興奮してしまう。 『くぅ〜。何なんだろうねこいつら!二人並べて次々に挿れてやりたいくらい色っぽいぜ』 もしもヨザックに二本の雄が生えていれば、今の形で重なる二人を正面から一気に抱いてやれたのに…などと、愚にもつかない妄想で脳髄が焼き切れそうになってしまう。 しつこいくらいに胸への愛撫を繰り返せば、ヨザックに握り込まれた花茎は辛そうに悲鳴を上げ、だらりと垂れてくる滴りには次第に白いものが混じっていった。 「もぅ…やめて……ぃや……っ」 「はいは〜い」 啜り泣くような声と、その背後から注がれる射殺しそうな視線を受け…ようやく引いたのも束の間、ヨザックの舌はすぃ…っと下方に標的を変え、もともとの狙いであった花茎をつるりと舐め上げた。 「イゃああ…っ!」 途端にすんすんと啼いていた有利は、拒絶の台詞で気持ちよさそうな嬌声を上げる。 「ヤじゃないでしょ?さっきも実に気持ちよさそうにイってたくせに。ウ・ソ・ツ・キ」 くすくすと嗤う息が掛かるのにさえ感じるように、ずっぷりとコンラートの雄蕊を銜えた有利は、前後を同時に責められるという、慣れない者にとっては快楽とも拷問ともつかない感覚を持て余してよがり苦しんだ。 「こういうことが出来るようになれば、立派な大人ですよ」 「立派な大人はこんなことしないだろう…」 「あらま。確かに!」 コンラートの的確な突っ込みにヨザックが笑うが、有利の方はもう笑うどころではない。 「あん…ぁああ…や、ヨザッ……コンラぁ……っ」 震える内股を大きな掌で押し広げられ、食い込む紐パンにマシュマロのような小袋を圧迫されて苦鳴の声をあげれば、ゆっくりと抱え上げられた腰が再び自重で貫かれ、馴染みつつある場所を確かめるように、律動が激しくなっていく。 「ユーリ…気持ちいい?」 れるぅ…っと弱い耳孔に舌を差し入れ、ちろちろと擽る仕草にも、普段のようなくすぐったさよりも悦楽を感じるらしい。有利の嬌声に更なる艶が掛かっていく。 「気持ひぃい、よぉお…っ!」 ぱん…ぱん…っと音を立てて突き上げられながら、縺れる舌で快感を告白すると、有利の眼差しが潤み…ぼやけていく。 過ぎた快感に惑乱する意識が、揮発性の媚薬の効果で一層高まっているのだろう。 『その方が良い…。この際、何もかも吹き飛ぶ勢いで感じてしまえば…』 それを狙って弱い場所ばかりを抉れば、有利はヨザックに舐られていることも忘れたように啼き続けた。 『こいつぁ…凄ぇ視点だわ…』 一方、ちょっぴり存在を忘れられ掛けているヨザックはというと、こちらはこちらで状況を堪能していた。 何しろ目の前で珠玉の美貌を惜しげもなく乱す、双黒の魔王陛下の艶姿と…そして、ルッテンベルクの美獣との隠名をもつ男との、繋がりあう継ぎ目部分を凝視しているのだ。 ぬる…ぐちゅ…っと淫らな音をたてて出し入れされる生々しい肉が目の前で踊り、心地よさそうに嬌声をあげる少年の花茎を巧みに舐れば、とろりとした蜜が喉を潤す。 「はぁ…ぁは……っ。いっちゃ…いっちゃう……っ!」 激しく突き上げられて啼く少年を意地悪に拘束し続けていた指を少し緩めれば、限界に近かったそこはヨザックの喉奥を打つ勢いで蜜を迸らせた。 「きゅあ…っぁあ……っ!!」 一際高い声を上げて有利が背筋を反り返らせれば、一気に陰圧となった肉筒内でその形を教えていた雄蕊もまた頂点を迎え、有利の体内に熱い白濁をぶちまけていく…。 「は……ぁ……っ」 長かった拘束と放出の余韻にくたりと力を抜く有利に、ヨザックはすかさず口内の白濁を手に取ると…達したことで幾分硬度を落としているコンラートとの継ぎ目にずるりと指を忍ばせた。 「ぇ…え…っ!?」 「……ヨザ…っ!」 どうにかこうにか侵入した指は、ぎりぎり肉襞を傷つけることはなかったものの…もともと限界一杯に雄蕊を含み込んでいるその場所には全くゆとりというものが無く、少しでもヨザックが動くたびにみちみちと入り口が張りつめては恐怖感をそそる。それに、その存在感と…なにより、信じがたい場所に雄と指とを挿れられているという事実に衝撃を覚えてしまう。 更にはヨザックが指を蠢かせるたびにとろとろと白濁が漏れだして、有利に何が起こっているのかをリアルに教えて羞恥を誘うのだ。 「や……ヨザック…ぬいてぇ……壊れちゃ……っ!」 ぼろぼろと涙を零して懇願する有利を、軽くいなして指が蠢く。 「なーに言ってんですか。ほら…ココ…良いんでしょ?」 「ゃあ…っ!」 ぬちぬちと探る指が的確に感じやすい場所を擦ると、萎えかけていた花茎からだらりと白濁が漏れだしていく。もう勢いよく吐き出すだけのものはなく、じんわりと持続性の快感が陰部に籠もるように響いていった。 「気持ちよさそうですねぇ…。あーあ、可愛いおクチ涎でべとべとにしてぇ…」 膝立ちになって有利の顎を捕らえ、唇の近くに舌を寄せていくが…これは流石に制止されてしまう。 蝋燭の明かりを照り返しながら輝く抜き身の剣が、ぴたりとヨザックの首筋に押し当てられていたのだ。 「唇は許さない。そこは…俺だけのものだ」 「チンコは許容してくれたのに、唇は駄目なの?」 「下のものに関しては、お前が便器なのだと思えば整理がつく。丁度よく似た形をしていることだしな」 男子用便所の形が、ヨザックの口に似ていると言いたいらしい。 「ガーン…グリ江ショック…っ!」 言い返すヨザックだったが、よりにもよってショックを受けているときの顔はコンラートに言われたままの形状を呈していた…。 「あんまり酷いこと言うと、あんたのケツにぶち込んじゃうわよ?坊ちゃんに突っ込むあんたと繋がって、《三連星〜★》とかギャグやっちゃうわよ?」 「殺す」 刀身の角度が変わり、半ば本気で皮膚が断ち切られて血が噴き出してしまった。 「ち…ちょっと待って隊長!冗談…冗談だから……っ!」 「お前の冗談は笑えない。とっとと出て行け」 「坊ちゃんのお勉強は…」 「俺が教える」 コンラートの眼差しが眇められ、冷酷な言葉がヨザックを斬った。 「お前は、必要ない」 「……」 《お前は必要ない》…冗談の流れの中での言葉なのに、そこだけは何だか酷く現実的な言葉に感じられて…ついうっかり、ヨザックは本気で傷ついた目をしてしまった。 声を失って身じろぐ姿が酷く見苦しく感じられて、何か軽口を返そうとするのに返せない…。 すると、ヨザックの強張った頬に…押しつけるようなキスが贈られた。 贈り主は、有利だった。 「グリ江ちゃん…ありがとうね……」 「え……?」 「勉強、教えてくれたろ?」 にこ…と、吃驚するくらい綺麗に…双黒の貴人が微笑む。 はにかむように、励ますように…なにもかもを包み込むような暖かな眼差しに、ヨザックは知らず肩を震わせていた。 「俺…頑張るね。コンラッドが大事だから、甘えずに…ちゃんと勉強して、コンラッドを幸せにしてあげたいんだ。だから…ヨザックからとっちゃったこと…赦して?」 ヨザックは、はたと気付いた。 この子は…ヨザックに嫉妬しながら、同時に…切ないほどの想いでヨザックを気遣っていたのではないか。 今現在恋人である故の傲慢と誹ることも出来るかも知れないが、ヨザックには出来なかった。 おそらくそれは、有利が上からの目線でヨザックを見ているわけではなく、同じ高さから…等しく、コンラートを愛する者として見ているからではないだろうか。 『敵わないねぇ…全く』 コンラートが大切だから、コンラートがかつて身体を重ねた相手にまで敬意を払うなんて、一体どういう頭の構造をしているのだろうか。いや…これは、心の方の構造問題だろうか? 「あは…坊ちゃんたら……。こいつにとって俺が一番だったことなんて、いままでだってなかったんですよ…俺は、換えがきく男ですからね」 有利に出会うまでは…いつだって彼は、彼だけのものだった。 幾ら身体を重ねても、それは一時の欲望を凌ぐとか、ヨザックが求めてくるのに対して特に抵抗するだけの意欲がなかったとか、それだけのことだと知っていたし、ヨザックも特に依存はなかった。 それが今になって慌てたのは…まるで、自分がコンラートにとって《いらないもの》になってしまったように感じたからだ。 そのことで、自分自身がこの世界から無くなってしまいそうな恐怖感に駆られた。 「ううん…違うよ。だって、コンラッドはほんとうに大事な奴しか近くに寄せないし、ほんとうの顔も見せない。あんたは…コンラッドの大事な人だよ。掛け替えのない、たった一人のグリエ・ヨザックだ」 「……っ!」 幼いと思っていた子どもの言葉に、思わず泣きそうになってしまう自分が信じられなかった。 「そうでなきゃ、どうしてコンラッドが媚薬を盛られてんのに気づかないで話に夢中になるんだよ。ね…?」 有利が振り返ってコンラートを見やれば、こちらは苦虫を噛みつぶしたみたいな顔でぶすくれている。 「まぁ…そうですね……」 声の方も、何処か拗ねたような響きを持つ。 『あ…』 不意に思い出した。 ああ…この顔は、普段は本音を口にすることの出来ないコンラートが、ヨザックの前でだけ言葉を飾らずにいたせいで、思わぬきつい言葉でヨザックを傷つけたときに見せた顔だ。 それでは、今でもまだ…彼の中には《グリエ・ヨザック》という名のちいさな部屋があるのだろうか? その部屋に掲げられたプレートの形や説明が少し変わってしまっても、ちゃんと…あるのだろうか? 「…今夜はもう帰れ、ヨザ。次に呑むときは薬は使うなよ」 「ああ……」 溜息混じりの窘めるようなコンラートの声に、思いのほか素直に頷くと…ヨザックはゆっくりと指を有利の体内から抜き出していった。 「ぁふ……っ」 油断していたのだろう、有利は思いがけず擦られた肉壁からの快感に、びくびくと震えて内腿を引きつらせた。 感動的な会話を交わしていた割には、かなり間抜けな体勢だったのだと思うと笑いが込み上げてしまう。 「そんじゃ…迷惑料として宿代と、隊長が破壊した窓のお代ははらっときますよ」 《ゴメンね、グリ江ちゃん》という声と、《当たり前だ》という声の温度は見事なまでの差違を見せる。 「後はお二人でしっぽりやっちゃってくださいね?」 「う…うん……っ…ぁあっ!」 ヨザックに送られる笑顔が勿体ないとでも思うのか、コンラートの律動が再び勢いを盛り返し(←あの流れで萎えない精力に乾杯…)、有利は別れの言葉の中途で喘ぎ声を上げさせられてしまう。 『やだやだ、大人げないったら』 くすくすと笑いながら扉を開け、後ろ手に閉めると…幾らか胸の中に寂寥にも似た風が吹く。 だが…思いの外それは、不快なものではなかった。 強いて例えるとすれば、ずっと一緒だと思っていた姉だ妹だかが、申し分のない花婿の元に嫁いだりすると、こういう気持ちになるのだろうか? 『出来た旦那さんだよねぇ…』 幼い身体に、強くしなやかな心を内包するあの少年は、今に世界を包み込む王となるだろう。 そして、ヨザックにとって一番大切な男は、常に傍で王を護るに違いない。 『微力ながら、お力添えを致しますよ…』 あの二人の傍で立ち続けることが出来るように、ヨザックももういっちょ《勉強》が必要だろう。 グリエ・ヨザックとして…一人の頼れる男として、いつまでも彼らの中に在り続けるために…。 おしまい あとがき 仔上圭様のリクエストで、「眞魔国のとある夜、場末の宿屋で繰り広げられるハードなコンユエッチを、隣で視姦しつつ言葉責めなどに勤しむヨザ!(←参加すると次男に瞬殺されるので) 副題:ゆーちゃんは果たしてこの羞恥プレイに耐えられるのか!?」というお話でした。 エロマスター圭様のリクエストと言うことで、緊張しつつも「いつもとひと味違うエロにせねば!」と意気込んだのですが、結果的にいつもと同じ味がするようなしないような……。しかも参加してるしヨザ…っ!あんたどっち狙いなんだよヨザっ!みたいな感じもしますし…っ! 圭様のツボを突くべくヨザコン風味も混入させましたが、やはり2話まで来ると次男の反乱が始まってしまいました。心狭いから…うちの次男……。 こんなんで申し訳ありませんが、貰ってやってくださいまし★ ←ブラウザバックでお戻り下さい |