「おおきなウェラー卿(の、アレ)」
ピンチだ。
大ピンチだ。
何が困るって、助けを呼べないことだ。
…というか、普段なら一番アテになる筈の人のアレが原因でこうなっているのだから、ユーリとしては途方に暮れるほか無い。
いや、途方に暮れてばかりもいられない。ずっと一生このままなんて事はないにしても、取りあえず明日の朝にはどうにかなっておかないと、ギュンターだのグウェンダルだのが怒鳴り込んでくるはずだろう。
下手をすると、婚約解消したはずなのに未だ《ユーリは僕のヨメ》扱いのヴォルフラムに発見されて、泣くわ喚くわの大騒ぎになる可能性もある。
『うん、これは泣くよな。ヴォルフやギュンターだけじゃなくて、グウェンだって色んな意味で泣きそうな気がする』
グウェンダルに関しては、多分呆れ果てた涙だろう。
『俺だって泣きたいよぉ〜』
先程まで別の意味でひんひん啼かされていたユーリは、困ったように揺らめかされるその動きにも身を捩らせ、こんな場合じゃないのにやっぱり《ひぃん》とか情けない声を上げてしまう。
「ちょ…ユーリ、こんな時にまで煽らないで?」
「あ…あんたこそ、デカくしないでェ〜」
「ユーリに色っぽい声を出されて、俺が反応せずにいられると?」
「あんた…ナニ無駄に佳い顔してんだよぉ〜っ!」
正しくバカップルな会話を展開するユーリ達を取り巻く状況は、更にバカップルなものであった。
「ううううぅぅ〜〜…何時になったら抜けるんだよぉ〜っ!!」
「ああ…ユーリ、暴れては…っ!」
じたばたと暴れた下肢の間に、また甘くて苦しい圧迫感が襲いかかる。
そう…魔王居室でいつものようにイタしていた二人は、抜けなくなっていた。
何が抜けないかと言えば、勿論ナニだ。
爽やかな外見に似合わぬウェラー卿コンラートの巨根が、ほんの1年前まではなにも知らなかった蕾にずっぷりがっぽり填り込んじゃっているのである。
《それでもチンポは抜けません》なんて、昔話調にナレーションしている場合ではない。
「困りましたねぇ…」
額に脂汗を浮かべて、両脇に有利の細い下肢を抱えたコンラートが腰を揺らめかせたり、引き抜こうと踏ん張るのだが、どういうものか引っかかったように抜けない。最初は悪戯だろうと思って笑っていた有利も、コンラートが真剣な顔をしているのを見ている内に心配になってきた。
もう5回もイかされている。いい加減有利自体の精力は尽き果て、吐き出すものもないような有様だというのに、ずぷずぷと肉壁内のイイ場所に当たったままゴリゴリし続けられるのだから堪ったものではない。
「ぁん…も、やぁ…っ!」
また、ゴリっと強引な動きで硬い肉棒が急所を抉る。その度にズクンと下腹に甘い毒が満ちて、ひくつく花茎からはたらたらと蜜が滴り落ちていく。まるで雌芯みたいに濡れ続けるそこは、もう男の性器ではないみたいだ。
『俺…も、中だけでイケる身体に改造されちゃってるもんなぁ〜』
初めて花茎を弄られことなく吐精してしまったときには、呆然としたものだ。《男としてどうなの?》と泣いてしまったユーリに雨あられとキスを降らせたコンラートは、対照的な笑顔を見せてユーリを賞賛してくれた。
《俺とユーリの相性が最高ってことですよ》物は言い様とはよく言ったモノで、ユーリは確かに機嫌を直した。
自分の身体が淫らに改造されたわけではなく、コンラートと適合する形に進化したのだと思えばポジティブにもなれる。
とはいえ…まさか一つに合体するトコまでいかなくてもいいだろうに。
「こうなったら、ユーリの協力が必要かも知れません」
「え?」
返事をする暇もあればこそ、ぐりんと身を回転させられたユーリは、コンラートの逞しい腹を跨ぐような体位になる。横回転の加速が無くなり、腰が据えられると、ずぷっと自重によっていつもより深い位置を抉られてしまう。
「んにゃぁああっ!!」
「あ…ユーリ、だからそんなイイ声で啼かないで…それに、締め付けがキツくてまたイきそう…っ!」
「ぁ…っ!あ、も…無理、…限界っ!!」
コンラートを見下ろす形ではらはらと涙を零せば、雫となって落ちかかったものが腹筋の溝を辿る。大きく広げられた内腿はぷるぷると生まれたての子羊みたいに震えてしまうし、限界まで広げられてぱつんぱつんになった淫部は今にも裂けそうだ。
「頑張って、ユーリ。そのまま動いてくれたら、外れるかもしれないよ?」
コンラートの場マシを受けて、何とかベッドに脚を突っ張ってはみるが、少し動いただけでじんじんと肉壁が疼き、とても動くことなど出来ない。
「う…動けなぃ〜」
「手伝ってあげるから、ね?」
「ぅ…ん」
甘く優しく囁きかけてくる恋人に絆されてコクンと頷いたものの、次の瞬間にはピクンっと背筋を跳ねさせてしまう。
「……んんんっ!?」
コンラートは伸ばした指先でユーリの胸に艶めく、ちいさな桜粒をくにくにと弄っているではないか。そうされると、確かに立たなかった脚は必死で動いて腰を上げようとするけれど、追いかけるようにコンラート腰が突き上げてくるから結局抜けやしない。
「て、手伝うって…っ!うそ、邪魔…っ、し…て」
「邪魔だなんて…切ないなぁ」
「可愛く拗ねても…らめぇ…っ!」
きゅう…っと痛いくらいに捻られても、そこから伝わるのは電流のような甘さだ。乳首だけでもイけそうなくらいに開発された身体は、下からズンズンと腰を使って突き上げられたりすると、もうどうしようもなくとろけてしまう。とてもじゃないが抜くために踏ん張る事なんて出来ない。
「ゃら…や、や…やらぁあん…っ!!」
「あぁ…っ…凄い、ユーリ…中がうねって、生き物みたいにまとわりついてく…るっ!」
どくん…っ!
それでなくも大量の白濁を呑み込まされていたソコは、新たな蜜を注がれたことで《じゅぷぷっ》といやらしい音を立てて隙間から溢れさせてしまう。
「あ…ぁ……ぁぁ……っ」
体腔内がグアっと膨らんで、じわじわと熱い熱が広がる。それも、一番感じやすい場所でそんなことをされては、腰が抜けてしまったってしょうがない。
有利が受け身を取ることも出来ずに卒倒すると、恋人は瞬時に腹筋を使って腰を抱き留めてくれる。
だが…。
「も…ひゃあん〜〜っ!!」
「ああっ!まだ抜けないなんて、どうなっているんでしょうーっ!?」
また体位を変えて、獣の形に這わされて腰だけ抱えられた状態でガツガツと腰を使われてしまう。
夜の静寂に、甘くて苦しい悲鳴が響き渡った。
* * *
『うーん…やりすぎちゃったなぁ……』
《テヘ》なんて可愛く小首を傾げるコンラートの腕の中で、ユーリは完全に失神していた。痛くはなかったろうが、イキ過ぎて精も根も尽き果てたのか、最後には半ば白目を剥いて、凄まじいまでの色香を漂わせたまま乱れ狂っていた。
『ああいうの、アヘ顔っていうんだっけ?』
ユーリ以外の者があんな顔をしても見苦しいだけだが、彼のものだと思うと全身がゾクゾクするくらいに興奮してしまう。
そう。要するにコンラートは、恋人の《そういう顔》見たさに嘘をついていたわけである。
気絶したユーリの下肢を大きく開いて腰を引けば、《ぬぼ…っ》と抵抗感を残して太い亀頭が抜け、開ききった孔からはごぷりと大量の白濁が溢れ出てくる。
「ん〜、見事な開きっぷり。俺のを知るまではまっさらだった身体が、すっかり俺の形に馴染んじゃたね」
それもひとときのことで、淫らに開ききった花弁のようなそこは、すぐに元の姿に戻ると知っている。だからこそ毎回暴く楽しみがあるというものだが、我が儘な独占欲に駆られて、ごく稀にここを強制開放してしまいたくなる。
おもいっきり淫らに濡れきった身体を味わいたくて、随分な無体をしてしまった。
「ゴメンね、ユーリ。愛してるよ」
《二度としない》とは約束できない恋人を赦して欲しい。
ちゅっと音を立ててキスをしたコンラートは、そのまま幸せそうに恋人の媚態を見つめ続けるのであった。
おしまい
* コンラッド。いつも通りナチュラルに変態。 *
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