「コンラッド…ぁ……振り袖、よ…汚したら……っ」

「大丈夫…汚さないようにしますから…」

 一週間の禁欲期間のためか、ホテルの一室に入った後のコンラートは性急だった。

 ベットに辿り着く余裕もないとばかりに、玄関口で扉の内鍵を掛けた途端…食いつくような口吻で襲いかかってきた。

 

[コンラッドは旅籠に入って性欲が1000上がった!ゲージの上がり幅が他の要素の追随を許さない!]

 

 小さいがふっくりとした質感の下唇を甘く噛み…並びの良い歯列に舌先を這わせ、おずおずと迎え入れる舌に絡みついていく…。

 互いの境目が不分明になるほどの深い口吻に、有利の思考が蕩けてきた頃合いを見計らって…コンラートの筋張った掌が振り袖の合わせからするりと忍び込み、滑らかな内腿を撫で上げていく。

「…っ!」

「ユーリ…下着をつけていないんですか?」

 内腿の奥津城…そこにはふわふわの兎毛と、既に濡れ始めた恥部とが何の隔たりもなくコンラートの指に触れてきた。

「お…お袋が着物着るときには着ちゃ駄目だって言うから…なんか…下着の線が外から分かっちゃうからって……」

「そうなんですか?…と、いうことは…」

 楽しそうに襟合わせをはだければ、透明感のある瑞々しい胸が眼前に饗される。

 ただ…予想していたように、ぷりん…と胸の膨らみが露出されると言うことはなく、幅広の包帯のようなものがきっちりと胸を押さえていた。

「……これは…」

「サラシっていうんだって。胸が出過ぎてても着物のラインって綺麗に見えないから、きつく縛るらしいんだけど…正直、きつくて息が苦しいんだよね」

「では、楽にして差し上げましょう」

「え…ぇっ!?」

 コンラートの器用な指先は見る間にするするとサラシを外し、望み通りの光景…きつく縛られた飾り帯の上にしどけなく晒される水蜜桃のような膨らみ…に、満足そうな笑みを浮かべた。

 薄い橙色の間欠照明によって浮かび上がる白い膨らみは、淡く上気して震え…感嘆の吐息を漏らしてしまうほど美しい。

「綺麗だ…先っぽの膨らみもいつものユーリと同じ、可愛い薄桃色だし…」

「ぁん…っ」

 舌先で舐め上げられると、白い顎を反らして有利の背筋が跳ねる。反射的に抵抗しようと腕が身じろぐが、襟合わせを肩に添ってずり降ろされているため、緩やかに拘束されているような状態にあることに気付く。

「胸…ちっちゃいけど…平気?」

「俺の掌にすっぽり収まって、良い大きさですよ?それに…いつもどおり吸い付くみたいにすべらかな肌だし…」

 コンラートの掌は言葉通りすっぽりと有利の胸を包み込み、まさぐるようにして揉みしだいていく。すると、掌に当たる膨らみが擦れて刺激され…次第にこりこりとした質感を持つようになる。

「ふふ…可愛いですね。まるで俺に舐めてっておねだりしているみたいに、華の蕾のような膨らみが綻んでいますよ?」

 そう言いながら膨らみを口に含み、舌先で執拗に弄ると…あでやかな艶は一層増して、砂糖蜜を掛けられた果実のようにライトを弾く。

「ほら…こんなに美味しそうだ。色も薄紅色がかって…ユーリの下のお口とよく似た色になってますね」

「馬…鹿っ!そ…そんなことないっ!」

「そうですか?では、確かめても?」

「え…?」

 止める間もあればこそ…コンラートは壁に凭れて動くことの出来ない有利の前に跪くと、祭壇に掛かる御簾を開けるが如く恭(うやうや)しい動作ながら…恥部を覆う振り袖の裾合わせを観音開きに開いてしまう。

「おや…これはいけませんね……恥ずかしいほど愛液が漏れて、折角の振り袖を汚してしまいそうだ」

 くすくすと意地悪な笑みを漏らしながら、さらりとした質感の舌が内腿を伝う。

「ゃう…っ!あ…熱い……っ」

「外は寒かったですからね…ユーリの肌はとても冷えていますね。…ああ、でも……」

 コンラートの笑みが一層蠱惑的なものとなり、鼻先を兎毛に埋めるようにして…先を尖らせた舌がつぷりと蜜壷に侵入する。

「ゃああっ!」  

「ここは…とても熱いね、ユーリ…」

「ゃ…そんなトコで喋ったら…息が……くすぐった……っ」 

「ユーリ、そんなに腰を捩ったら振り袖が汚れてしまうよ?このホテルから出るとき…恥ずかしいことになるかも…。こんな場所を濡らして歩いたら、おもらしをしてしまったみたいだよ?」

「…っ!」

「家に帰ったら、ご家族にも分かってしまうかな?ショーリは怒るでしょうねぇ…大切な《妹》が自分から誘ってホテルに入ったなんて知ったら…。家族も見たことのない恥ずかしい場所を俺に舐められていた…なんてね」

 恥ずかしい場所にくぐもる声音に煽られ、有利の羞恥心は一層身体に火をつける事になってしまう。

「…だって……っ……それは……」 

「ええ…仕方のないことですよね。俺がユーリを欲しくてしょうがなかったのだし…ユーリも、俺を欲しかったでしょう?」

「…欲し……」

 幾ばくかの躊躇の後にではあったが…それでも有利は決然と頷き、自分の欲望を受け止めた。

「そーだよ!俺が欲しかったのっ!!あんたは俺のもんだって、あんたにも周りにも…俺自身にも、知らしめたかったんだよっ!悪いかっ!!」

「いいえ…それでこそユーリ…俺の大切な恋人だ。ここも…」

 ちゅ…っと音を立ててコンラートの唇が有利の陰唇に口吻、ぬめりを帯びた指先が、ちゅく…っと先端を後宮に埋める。

「ここも…全て、俺のものだ。俺の全てがあなたのものであるのと同じように…」

「そ…そっちも…すんの!?」

「どちらのことです?」

「う…」

 女体という身で考えれば前を使うのが穏当なところだろうが、普段の有利は後ろを使うことに慣れ始めている。

 自分でも、改めて言われるとどちらを使うことに躊躇しているのかよく分からなくなってくる。

「……前…使ったら……赤ちゃんとか出来るのかな?」

「どうでしょう?俺はユーリの赤ちゃんなら欲しいけど…いまはまだいらないかな?」

「なんで?」

「だって、ユーリが妊娠したら10ヶ月もお預けなんでしょう?」

 実際には中期に入ると安定した妊娠状態であればセックスは出来るのだが、万が一にも有利と胎児を傷つける可能性があるのなら、コンラートは決して抱くことが出来ないだろうと思う。結構考えすぎて手が出ないタイプなので、有利との関係も一定のラインを越えるまでエライ時間を要したのである。

「そりゃあ…まぁ……」

「そんなの耐えられません。今回、ユーリが女性体に変わったことで控えていた間だって、性欲処理にどれだけ辛い思いをしたか…っ!」

「そ…そーなの?」

 自分で処理をするコンラートの図というのは、何やら居たたまれないものがある。

『コンラッドが自分でやってるトコ…うっかり見たりしたら親のセックス覗くような気分になるのはどうしてだろう?』

 見てはいけないものを見たという気になるのだろうか?

「ユーリはどうなんです?」

「え?俺?」

「俺と眠れない夜…一人でどうしてたんですか?」

「……………すみません。熟睡してました………」

 何やら申し訳ないような気がして肩を竦めてしまう。実際、ここ一週間の有利は自分の身体のことで一杯一杯でったため、とてものこと性欲処理など考えているような暇はなかったのだ。

「それにさ…この身体でどーやってマスかいて良いか分かんなかったんだもん」

 女性の自慰行為など、陰茎もないのにどうやってやるというのか。

 有利の知識ベースでは、女性はそういう行為をしないものという認識もあった。

「教えて差し上げましょうか?」

「え?」

 有利は二回りは大きいと思われるコンラートの手に自分の指を捉えられると、唇の中に招き寄せられ…熱い口内でたっぷりと濡らされたそれを…自分の陰部へと導かれた。

「え…ゃ……っ!」

「そのまま…小刻みに動かしてみて?」

「そんな…」

「いいから…ほら、十分潤んでいるから痛くないよ?」

「…っ」

 コンラートの手は有利の裾を高々と広げ、その視線は痛いほど陰部に集中する。

 その目線に促されるまま指を蠢かせれば…コンラートが与えた舌の感触とはまた異なる快感が有利を襲った。

『うわ…』

 ちゅぷ…くちゅ……

 淫靡な水音に耳孔を犯されながら、有利の指は次第に貪欲な動きを見せ始めた。

 無意識のうちに荒い息を吐くと、上体を壁に添って反らし…コンラートに向かって突き出すように陰部を晒すと、激しい指遣いで蜜壷を抉り始めた。

「いいよ…ユーリ…。とってもいやらしくて、可愛い……」

「あ…コンラッド…っ!」

 コンラートの舌が有利の指ごと陰唇を舐め初め、もう唾液だか愛液だか見分けの付かない粘液がドロドロに有利の陰部を濡らす。

 ちろろ…っと有利の陰核を掠めていた舌先が、有利の反応を見計らって痛いほど齧り付くと…有利は高い嬌声を上げて身を反らし…ぷしゃあ…っと音をたてんばかりにして指と蜜壷の間から漿液を噴き上げ、コンラートの頬を濡らした。

「驚いたな…ユーリ、潮吹き体質なんだね?」

「…潮?」

 床にへたり込んではぁはぁと荒い息をついていた有利は、初めての言葉にきょとりと首を傾げる。

「絶頂を感じると愛液を沢山出してしまう体質のことだよ。所謂、名器の一種だね」

 挿入時に熱い潮を吹きかけられる様な感覚から、男性に持て囃される体質である。

「でも…困ったな…。こんなにどろどろになっちゃうと、振り袖が汚れてしまうかも」

「え…っ?ちょっ…こ、困るっ!」

 とろりとした意識の中で陰部の濡れ具合を指摘され、有利は困惑したように腰を跳ね上げた。

「大丈夫だよ、ユーリ…俺が舐めて上げるから、ベットに俯せになって腰を浮かせて?」

「こ…こう?」

 ベットの上に這い蹲って腰を浮かせると、ばさりと長い振り袖の裾が上体に被せられる。

 すると、剥き出しになった白い双丘がコンラートの眼前にお供え物の様に饗された。

「ひゃっ!」

「良いようにして上げるから…そのまま、良い子にしていて?」

「うん…ん……っ」

 一度達したせいか、とろりとした意識の有利には気付かなかった…。

 陰部を濡らす液体など…タオルで拭けば良いだけだと言うことに……。

 ぴちゅ…ちゅ……

「ん……っ」

「こっちでするセックスには慣れ始めてる頃だろうけど、念のためしっかり濡らしておこうね?」

 コンラートは後宮へと丁寧に愛撫を加えたが、傍らの壁に備え付けられた備品に気付くと…その中から角を丸めたキューブのようなものを取り出してにんまりと微笑んだ。

 説明書きの言葉がいたく気に入ったのだ。

 《彼女を蕩かす愛キューブ》と名付けられたそれは、人肌程度の熱で溶け出す一片2p程度の立方体で、水色、ピンク、オレンジと色鮮やかな色彩のオイルキューブであった。

 溶けると潤滑剤になると言うだけではなく、最初固形であるということが別の楽しみ方をさせてくれるようだ。

「や…コンラッド…な、何入れて……っ!」

「すみません、ユーリ…いつものオイルを持ってきていなかったもので…この部屋の備品の潤滑剤を使っています」

「何か…硬いよ……?」

「ええ、今まで使ったことのない固形タイプのようです。ですが…あなたを抱くことで傷つけたくないのです。どうか…許して頂けますか?」

「……うん……」

 頭ごなしに強制されるとテコでも反抗する有利だが、このように懇願口調でお願いをされると大抵のことは許してしまう…。

 その辺の転がし方を熟知し始めているコンラートのこと…、仕込みは万端である。

「それに、振り袖が汚れてはいけませんから、裾を少し縛っても良いでしょうか?」

「ん……うん」

 よく分からないが、自分を慮んばかってくれているらしいコンラートの発言に、有利は混濁した意識のまま頷いた。

『よし…』

 コンラートは一人ほくそ笑むと、備品の中にあったソフトSM用の柔らかいロープで振り袖の裾を上体に添わせて縛ったが、この時…さりげなく胸の膨らみが強調されるように胸の上下を挟むようにして縛り上げた。

 しかし…痛みを感じさせない程度に縛られているせいか、有利には気付かれなかったようだ。

「ん…」

 有利はベットの上で、ゆっくりと続けられる不思議な行為に身を捩った。

 コンラートの雄蕊に比べればさほどのこともない大きさなのだが…一つ…二つ…と後宮と蜜壷の両方に挿入されていくオイルキューブ。これが、コンラートの太い指で掻き回され…どろ…と孔から零れていく感覚が酷く羞恥を誘うのだ。

 それに、オイルが溶けていくたびに粘膜から何らかの成分が吸収されていくのか…陰核部分がじんじんと熱を持ち、一刻も早くコンラートの熱いものでかき混ぜて欲しい…とでもいうように、肉壁が収斂するのだ。

「もぅ…止め……」

 荒い息に混じって零れる涎が、無意識のうちに枕を濡らしていることに気付くと、有利は恥ずかしさに頭を振った。こぼれ落ちる生理的な涙が、ライトを浴びてキラキラと空に舞った。

「もう少しだけ…ね?」

 コンラートの眼前では、雄蕊を刺激してやまない淫らな光景が繰り広げられていた。

 白くすべやかで…穢れない新雪を思わせる双丘の間で、淫靡にひくつく二つの孔…。

 その中をぐちゃりと弄ってやれば、水色とピンクのキューブが中で混ざり合ったことを伺わせるように、薄い紫色のオイルがどろりと内腿を伝っていくのだ。

『いやらしいのに…とても綺麗だ。ユーリの肉体そのものだな』

 普段の清楚なイメージと、一度達した後の悦楽に満ちた表情との差違が、有利の魅力の一つでもある。それを正に象徴するような光景がコンラートの欲望を誘った。  

「もう……お願い……コンラッドので、して……っ」

「いいですよ…欲しいだけ、あげます」

 切ない懇願に答えるように…漸く頭を擡げた雄蕊が犯したのは、初めての侵入になる蜜壷の方であった。

 念のため備品のコンドームを被せられているものの、猛り狂い…隆々と聳える雄は有利の雌芯を深々と貫き、その質感をまざまざと教えた。

「く…ぁ……っ」

 どくん…と拍動する脈を自分の体内に感じて、有利は恋人の実感に涙を零して悦んだ。

 しかも、半溶けのオイルキューブの塊が有利も知らない最奥へと突き込まれ、薄い壁越しに存在するキューブまでもをぐにゃりと潰すと…二つの肉壁が信じられないような悦楽で責められた。

「きつい…けど、ぁあ…気持ちいいよ……ユーリっ!」

 どぅるり…と蠢く肉壁の淫靡さに、コンラートもまた上ずった嬌声を零す。

「あ…もっと……してぇっ!」

 待ち侘びていた刺激…それは、初めての場所を抉られることで熱い苦しみを伴うものではあったが、十分に濡らされ、潤滑剤を混ぜられたそこは柔軟に男を受け入れ、予想していたような破瓜の痛みは伴わなかった。

 それどころか…奥津城まで雄蕊を飲み込んだそこは貪欲に収斂すると、更に激しい動きを強請るように腰全体で蠢く。

 あろうことか、いつも使っている場所までが疼いて《もっと欲しい》と要求してくるのだ。キューブのもどかしいような刺激も手伝って、蠢く腸管に有利は惑乱した。

『俺…おかしくなっちゃう……っ!』

 涙が溢れて枕を濡らすが、気持ちよすぎて抵抗することも出来ない。

「ユーリ…素敵だ……とても、気持ちいい…よ」

 覆い被さってくる男の体臭を嗅ぎながら、優しく甘い声音で宥められ…ロープによって強調される胸を痛いほど揉みしだかれれば、もはや有利の理性は灯火に炙られる油脂のように蕩けてしまうほか無かった。 

「コン…ラッドぉ……」

「何…?ユーリ……」

「お願い…後ろも、欲しい…よぉ……っ」

「良いよ…ユーリが欲しいのなら……」

 蜜壷の入り口を燻らすように円の動きで責めあげると、有利は二度目の絶頂に気をやり、くたりと脱力してしまう。

 その隙にずるりと雄蕊を抜いたコンラートは、大切な恋人の身体を抱き上げると後背位にして内腿を抱え上げ…そして、馴染んだ後宮を刺し貫いた。

「ん…ぁあっ!」

「いい?ユーリ…気持ちいい?」

「うん…ぅん……っ!コンラッドの大きくって…熱くて…硬くて……奥が…ゴリゴリってなるぅ…っ!」

 オイルと愛液とでしとどに濡れた陰部がぐちゃぐちゃと音を立て、抜き差しされる巨大な肉棒が華奢な身体を刺し貫き、逞しい軍人の指は清楚な胸に食い込むと、指の間だからぷくりと勃ちあがる尖りにピンク色のオイルキューブがぐりり…と押しつけられる。

「ユーリ…目を開けて、前を見てご覧?」

「え…?」

 茫洋として快感を追っていた瞳が、限界まで見開かれると…自分とコンラートとの猥然とした絡み合いを眼前に認めて叫びをあげた。

 ベットの脇にある大鏡に、二人の姿は清明に映し出されていたのだ。

 鮮やかな藍色の振り袖が乱れ…ロープによって緊縛された少女が大柄な異人の雄蕊を銜え込んで悦んでいる…。それは、酷く背徳的な情景だった。

「ゃ…っ!」

「ほら…よく見てご覧?俺のを銜え込んで、ユーリの可愛いところがこんなににちゃにちゃ言っているよ?まるでこんなコトするのは初めてみたいな清楚な色をしているのに、こんなやらしいことが出来るんだよね…ユーリのここは…」

 コンラートの手はささやかな兎毛をふさりと撫で上げ、露出された陰唇を両の指先でぴろりと開いてみせる。

 そうすれば開帳されたそこはぬらぬらと光り、充血した粘膜を二人に見せつけるのだった。

「ここで…ユーリは俺に処女をくれたんだよね?ほら…しっかり馴染ませていたから血も出てない…それどころか、もっと欲しそうに涎を垂らしているよ。初めてなのに…随分と食いしん坊だね」

「そ…んな…」

「ユーリが欲しがってた後ろも、《美味しい》って…言ってるよ?聞こえる?」

 腰を引き上げ、勢いよく引きずり降ろすのに合わせて突き上げれば、淫猥な水音と共にオイルと蜜液とが継ぎ目から溢れてくる。

「まるで射精してるみたいだ…」

 くすくすと零れる笑みが、悪戯な舌先と共に首筋を伝う。

「意地悪すんなよ…コンラッド……っ!」

「意地悪なんかじゃないよ?ユーリが可愛いのがいけない。ユーリを抱いていると…もっと気持ちよくさせたい…もっと気持ちよくなりたいって…俺はおかしくなってしまうんだ…。こういう俺は…嫌い?」

 切なげな…吐息混じりの声がねだるように囁かれれば、有利は甘い言葉に従うほかないのだ。

「……そういう聞き方…狡い……っ」

「好き…?」

「好き…だよっ!」

 ごつんと裏拳で頭を叩けば、今度は軽やかな笑い声が喉奥で弾ける。

「ありがとう、ユーリ…大好きだよ」

「もう…っ!」

 腹黒い男に掌の中で転がされているようだが、それでもそれを首肯してしまう自分がいる…。

 有利は、ほとほとこの男に甘いのだ。

 無理強いでない淫行は視覚の上からも有利を煽り…全てを許してしまいそうな受容性が自分でも怖かった。

 何となく…コンラートの視線から、彼が次に何を言い出すか予測が付いてきたのだ。

「俺の…前の方……どうやって慰めてくれんの?」

「おや…ユーリが自分から言ってくれるとは…」

「分かるよっ!…ゃんっ!」

 男らしく野太い声を出していたのに、甘い突き上げを喰らった途端…あまりにも可憐な嬌声が喉から迸ってしまう。

 この二面性がいつでもコンラートを煽ってしまうとも知らずに…。

「では…お言葉に甘えて、先程のこれを試してみますか?」

 コンラートが手にしていたものは先程村田に貰った飴であった。

 黒い袋に包まれたそれは有利の唾液によってへばりついていたのだが、ぱりぱりと袋を破ると少しだけ歪になっているものの、半透明な鼈甲色の飴がライトの灯を透過した。

「…?飴…何に使うんだよ」

「まずは、舐めて頂けますか?」

「さっきは舐めるなって止めたくせに…」

「良いから…ほら」

「ん…う……」

 少々強引に口元にねじ込まれると、喉奥の方まで含まされてえずきそうになる。

「苦ひ…」

「ああ…すみません。あ…噛まずに、先端に割れ目を舌先で舐めて下さい」

「こう?」

 不思議に思いながらも言われるままにちろちろと舌先を使っていると、またしても次の指示が出る。

「それでは…奥まで飲み込んで舌を絡めて?」

「んーっ!」

 口の中に再び大きく飴を含み込むと、飲みきれない唾液が口角から伝い落ち…下で飲み込んでいる雄蕊を思い出したように突き上げられる。すると、奔るような快感が背筋を伝い…言いしれぬ悦楽にぴくんっと乳首が硬く痼るのを感じた。

「良い格好ですね…男のものに上と下の口を同時に責められて、美味しそうだ…」

 そこまで言われて鏡を見やれば、口の中からずるりと抜き出されていく飴がまさに言われたとおりの形状をしていることに漸く気付いた。

「…っ!」

 飴の正体に気付かぬまま、コンラートの目の前でフェラチオにも似た行為を為していたことを漸く悟ると、途端に口内を責める塊が酷くいやらしいもののように感じてしまう。

「次は…こっちのお口に食べさせてあげましょう…」

 そう言って添えられた場所は思った通り…雌芯の入り口で、くぷ…と音を立てて先端部分を含み込まされると、熱く痼った陰核から甘い戦慄が迸った。

 けれど…くぷぷ…と愛液とオイルの綯い交ぜになった液体を滴らせながら侵入してくる固形物にある種の恐怖感を覚えてしまう。

 コンラートよりも小さいのは確かなのだが、彼の脈動を感じないもので体内を弄られることに違和感があるのだろう。

「い…痛くしないで……」

 初めての異物に有利の背筋が跳ねるのを楽しく感じつつ、コンラートは耳朶を甘噛みした。

「俺がユーリに痛みを強要したことがある?」

「…ない……けど……その、このロープとか…どーなんだよ?」

 大鏡に映し出される自分の胸に今更ながらに気付いた有利がそっと頬を染める。

 先端をオイルで濡らした二つの水蜜桃は、赤いロープに縛られて扇情的な形に強調されていた。

「痛くはないでしょう?跡がつかないように注意しましたし」

「確かに痛くないんだけど…は、恥ずかしいよ…」

「恥ずかしいのはセックスの醍醐味ですから問題ありません」

 独特の持論を展開すると、悪びれた風もなくコンラートは愛撫を続ける。

「…ぁっ!」

 くぷくぷと入り口の部分で出し入れされる飴が、もどかしいような感覚をもたらす一方で、決定的な頂点をわざと逸らされる。

「奥まで入れるのが怖いなら、ここでいつまでも弄ってあげますよ?飴がすっかり溶けてしまうまで…そうだな…この大きさなら、3時間もあれば溶けますかね?」

「嘘…っ!」

 こんなもどかしい状態で3時間も嬲られては、精神の方がおかしくなってしまう。

 しかも、焦らす感覚を強めようというのか…後宮を犯す雄蕊も小さな律動しか与えてくれない。

「……っっ!」

「どうして欲しい?ユーリ……」

「……奥まで…挿れて……っ」    

「欲しい?」

「ほ…しい……っ!」

 望み通りの言葉を得たコンラートは艶めいた笑みを浮かべ、有利の顎を逸らして口吻ると同時に…有利の雌の部分に濡れた飴をゆっくりと挿入していった。

 ぐぷ…ぷ……

「んんん……っ」

 有利の中にすっかり飴を飲み込ませると、脚を抱えて後宮を激しく突き上げていく。

 有利の体内では薄い肉壁一枚を隔てて雄蕊と飴とが擦れ合い、初めて感じる悦楽に脳髄までも犯されるようだ。

「折角だから…こちらも使いますか?」

「…!?」

 コンラートは先程有利の友人に貰った破魔矢を手に取ると、先を潰した縁起物の矢でつくん…と有利の乳首の先を弄くった。

[コンラッドは手に入れたアイテムを駆使して有利の性感を高めた!コンラッドはエロ度が1000上がった!有利は感度が1000上がった!」

「有利は女の子になっても感じやすいね…ほら、ココ…ちょっと痛いくらいに捏ねたり引っ張ったりすると、こっちが食いちぎりそうな勢いで締め付けてくるんだよ?…分かる?」

「んーっ!!」

 く…と乳首をめり込まんばかりに矢で突かれると、コンラートの言葉通りに陰部を締め付けてしまい…そのまま激しく突き上げられれば二人して絶頂を迎えてしまう。

「は…ぁ……」

 久方ぶりの絶頂に、コンラートは満足げな吐息を漏らすとコンドームの中に大量の精液を迸らせた。日本製のその袋には大きすぎる雄蕊が、危うく弾けんばかりの勢いであった。

「ユーリ…」

「な……に?」

 暫く…くったりとしてコンラートに凭れていた有利だったが、漸く息をついたところで横倒しにベットに寝かせられる。

 そして片脚をコンラートの肩に載せられると、自分の恥部が恋人の眼前で露わにされていることに気付いた。

「ゃ…っ!」

「ここ、甘いね…」

 膝をつくコンラートに飴を含んだままの陰唇を舐められて、達したばかりの身体がびくびくと震える。それをどう思ったのか…コンラートは意地悪な笑みを浮かべて飴の棒を弄っていたが、不意にぐるっと円を描くようにして入り口を刺激すると、勢いよく抜き取って見せた。

「ゃあああぁぁっ!!」

 びくんっと弾けるようにして背が跳ね上がり、有利の蜜壷の圧が高まれば…中に閉じこめられていた液体が勢いよく射出される。

「ぁ…ぁ……っ!」

「凄いな…ユーリ……ピンク色の射精だ…」

 コンラートの指摘するとおり、ピンク色とオレンジ色のオイルキューブが溶け出し、更に愛液によって増量された蜜は、甘そうな色彩を帯びて有利の陰部から溢れ出してきた。

「どんどん溢れてきて勿体ないから、栓をしてあげるね?」

 する…っと器用にコンドームを抜き変えると、ぬるつく蜜壷にずぶりと挿入させていく。

 松葉を絡ませるようにし、カウンターで刺し込まれると先程よりも奥深くに突き込まれるようで恐怖さえ感じる。

「や…怖い……コンラッド…っ!」

 涙目に訴えれば、優しく綻ぶ琥珀色の瞳が有利を見やる。

「では…これではどうです?」

 くるりと苦痛を味合わせることなく体位を変えられると、仰向けにされ…大きく下肢を割る形で上空から激しく突き込まれる様が露わにされる…しかし、有利は柔軟性の高い身体を懸命に伸ばし…恋人の広い背中にしがみつくことで安堵を得ようとした。

「抱っこ……っ」

「……なんて可愛いんでしょうね…あなたって人は!」

「ゃうっ!」

 感激に勢いを増す雄蕊が有利の体内でその容積を増大させると、有利は半ば意識を飛ばしながら…薄いゴム越しにコンラートが達するのを感じるのだった…。

 

*  *  *

 

「ど…どーすんだよ振り袖!」

 浴びるほど濃厚なセックスを展開した後…とろとろに蕩けて傾眠状態に陥った身体から振り袖を剥かれ、風呂に連れ込まれたところで…はっと有利は意識レベルを上昇させた。

 振り袖を汚すことも心配だったのだが、同時に心配だったのは、脱いでしまうと自分で着ることが出来ないという点にあった。

「大丈夫です。俺が着付けてあげますから」

「………ど、どーやって!?」

「ミコさんに習いましたから、大丈夫」

「…そ、それならあんな不自由な思いせずに脱げば良かったんじゃないのか!?」

「すみません…ユーリとのセックスに夢中になるあまり、失念していました」

 しれっというコンラッドだったが…この用意周到な男がそんなことに気付かぬ訳がない。

 単に、有利が振り袖を汚さないように恥部を服で隠せない状況だとか、ソフトSMよろしく軽い縛りプレイを楽しみたかっただけである。

「そんなことより…綺麗にしておきましょうね?色んなものを使ってしまったから、ユーリのここ、どろどろですよ?」

「誰のせいだと思ってんだよ!?」

「俺のせいですね。オイルキューブだの飴だの俺だの色々挿れましたから…。お詫びのしるしに綺麗にしてあげます」

「い…良いよ!もう良い!俺が認めたせいもあるんだし…自分で綺麗にします!」

「そうですか?では…シャワーを当ててあげますから、自分で洗ってみて下さい」

 そう言って洗い場のビニールクッションにぽうん…と有利を座らせると、下肢を開かせて、水勢を強くしたシャワーを恥部に当てる。

「…ゃあっ!」  

「ほら、指を入れて?ユーリ…」

「は…恥ずかしいから…っ!」

「自分で洗えないと、俺が手伝いますよ?」

 妙な押し出しの強さであくまで引く気がないコンラートに、有利はおずおずと指を襞の中に差し込んでいった。その動きに合わせるようにシャワーノズルが蜜壷の入り口から湯を噴きつけてくる。

「…んんっ!」

「もっと脚を開いて…閉じてしまったら洗えませんよ?」

「もう…良いよっ!指が到う所までは洗ったから!!」

「それではユーリの奥に異物が残ってしまいますよ?俺以外のものをあなたの中に残すのは嫌だな…。やっぱり、俺が洗ってあげましょう」

「やーっっ!!」

 コンラートの太く長い…けれど、形良い指が2本纏めて蜜壷の中に挿入されると、くぷ…と粘液を燻らせてからそこを広げるように押し開く。そうすればふぅ…っと粘膜が空気に晒され…不思議な感覚に驚く間もなく、小振りなシャワーノズルが押し入ってくる。

「ほら…奥まで綺麗にしましょうね……ああ…奥からどんどん色んなものが出てきますよ?でも…ちょっと寂しいな…」

「な…にが……?」

「いつもはこうして洗ってあげると、白い俺の精液が溢れてくるでしょう?けど、今日はコンドームを使ったから、あなたの中に俺を注げなかったなぁ…と」

『どんな感慨だよっ!』

 叫びたいが、感じやすい部分をシャワーに嬲られては声にすることが出来ない。

 見れば、コンラートの雄蕊は有利の痴態に煽られたためか再び勢いを取り戻しており、舌なめずりしそうな表情の中で、琥珀色の瞳が獲物を狙う猛禽類よろしく底光りしている。

「ユーリの中に…俺を注ぎたい……ね?良い?ユーリ…」

 シャワーを止められ、綺麗にされた雌芯とは裏腹に、指を突き込まれればどろりとしたオイルを漏らす菊華が、コンラートに乱される。

「………」

 こく…と小さく頷く有利に、コンラートはゆっくりと腰を突き込んでいった。

 仰向けで、高く上げた尻を両手で鷲づかみにした状態で深々と雄蕊で貫けば…有利の唇からも甘い声が沸き上がる。

 若い身体は煽られれば欲を覚え、素直に反応を示してしまうのだ。

「……ぁ………っ」

 息苦しいほどの圧迫感を受けながら、今日何度目かの雄を迎え入れる後宮…。

 しかし、生々しい質感を粘膜に押し当てられるのは随分と久し振りのことだった。

「やっぱり…ユーリの生肌が一番気持ちいい…」

「俺…も……そのまんまのコンラッドが…好き……」

「ユーリ…」

 いつになく素直な有利に微笑みながら、コンラートは上体を沈めて有利に口づけた。

「あ…深…ぃい……っ!!」

「奥の奥まで…俺に下さい…ユーリっ!!」

 ぐじゅ…じゅ…

 じゅく……っ

 淫猥な水音が浴室に響き、あられもない嬌声が有利の喉から迸る。

 何度も何度も突き上げられて、苦しい息の中で最奥を抉られたとき…一際高い嬌声を上げて、有利とコンラートとは同時に果てたのだった…。 


*  *  *

ステージ5:帰路につく旅人達 

「…………本当に、何でこんなに器用なんだよコンラッド…」

「褒め言葉…と、受け取っておきます」

 《大丈夫》というコンラートの言葉に半信半疑だった有利であったが…本当に、コンラートは器用に有利を着付けてしまった。

 飾り帯の締め方などは妙に上手すぎて美子よりも綺麗に結い上げるものだから、逆にばれるのではないかと緩めたほどだ。

 しかしホテルで散々に啼かされ、幾度もいかされた有利に家まで歩くだけの力はなく、タクシーを呼んで家路に就くことになった。それにしても帯があるのでシートに凭れるわけにも行かず、二度とこんなもの着るものかとの決意を固めるのだった。

[ユーリは旅籠で体力・精力が450下がった!ユーリはチャームの魔力と性欲が250上がった!コンラッドはエロ度が2500上がった!ユーリは感度が1500上がった!二人ともエロ要素だけ上がり幅が他の要素の追随を許さない!!] 

 旅籠に入るたびにエロ要素だけが上がるパーティー…ホイミスライムにすらボコられそうだが、地球上ならそんなものでやっていけるので許してあげて欲しい。

「結局初詣には行けませんでしたね。すみません…」

 この点については流石に申し訳ないのか、コンラートは小さく頭を下げた。

「良いよ、もぅ…それにさ、初詣なんてこの格好で行ったらね人混みでもっと疲れたかも知れないしさ」

「そうですね。それに…もう一つの縁起担ぎは出来たわけですし?」

「縁起担ぎ?」

 コンラートは満面に笑みを浮かべてこっくりと頷いた。 

「ええ、姫はじめに処女を頂くという目標は達成出来ましたから…」

 あまりにオヤジ臭いエロトークに、有利の渾身の拳がコンラートの頬に炸裂したことは言うまでもない…。


 

あとがき

 拍手でリクエスト頂きました、「女体化姫はじめエロ、黒コンラッド添え」です。

 リクエスト頂きましたその日にはストーリーがさっぱり思いつかなかったのですが、エロモードに入ってからはスピードが速い速い…。需要の少ない女体モノしかもエロですが、また機会があれば書いてみようと思います。

 生暖かい目で見守って下さい…。


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