2 ちゅく… ちゅ……くち…… 息を奪うような激しい口吻に酔わされながらも、有利は身を捩って反抗した。 こちらも場所が場所だけに、そうそう流されるわけにはいかないのだ。 「や…マジでヤバイってコンラッドっ!ひ…人来たらどーすんだよっ!部活中の奴らが用具とか取りに来るかも…」 「それはいけませんね」 コンラートは素直に頷くと有利から身を離した。 正直、軽く拍子抜けしつつも安堵した有利であったが、コンラートはスタスタと戸口の方へ歩いていくと、ただ閉じていただけの扉をポケットから取り出した針金で拘束してしまった。 「さぁ、それで後顧の憂いはなくなりましたよ」 語尾にハートマークを付けんばかりの勢いで微笑むと、コンラートは汚れた手をポケットから取りだした濡れティッシュで拭き、有利の手も同様に清拭し始める。 「…っ!」 すっかり綺麗になったことを確かめるようにコンラートの唇が寄せられ…有利の指先に軽くキスを送る。そして、白く並びの良い歯でかしりと指先を囓った。 その動作と共に…熱の籠もる眼差しが有利の双弁を見つめると、黒瞳の中にもちろちろと情欲の焔が揺らめくのであった。 そんな自分を恥じるように、有利の睫がふるりと震えた。 「ユーリ…俺を見て?」 「何か…恥ずかしい……」 「どうして?」 「だって…あんたの目、見てると…何かエッチな気分になるもん……」 正直すぎる恋人の弱音に、コンラートの笑みが益々深まる。 最初は冗談のつもりだったのだが…恥ずかしがって涙目になってしまった有利があまりにも可愛らしいものだから、コンラートの中のケダモノな部分がうずうずとその嗜虐心を発揮し始める。 しかも…どうやら壁越しに伝わるこの気配は有利の親しい友人のもので…彼の方はコンラート達の会話をどう思ったものか分からぬものの、少なくとも二人を止めだとするために走ってくるような様子はない(コンラートが懸念していた程に有利に対して淫欲に満ちた想いを抱いていたわけではなく、多分に友情因子の比率が多い男だったようだ)。 しかし、今後の為にも折角なので見せつけて(聞かせつけて?)やりたい。 ホテルに行くのは行くとしても(それはそれ、これはこれ…)、この状況を有利の機嫌を損ねない範囲で最大限に楽しめないものだろうか? 「嬉しいな…ユーリがエッチになってくれるようにお祈りしながら見つめた甲斐がありました」 「だーかーらぁ〜…ここでそういう気にさせるの止めろって!」 《ホテルでなら、何しても良いから》と呟く有利は、コンラートの教育(調教?)の甲斐あってか、二人きりの時ならば大抵のことは許してくれるようになっている。 だが…欲張りなのは自覚しつつも、そこは淫蕩な母の血を誰よりも濃く受け継ぐコンラートのこと…背徳的な欲望を満足させる為には日夜努力は惜しまない(ある意味勤勉と言えなくもない)。 「どうしてもここでするのは嫌ですか?」 「うん…」 こっくりと頷く有利に、きゅうん…と仔犬が甘えるような表情でコンラートが小首を傾げる。 「では…少しだけお願いを聞いていただけますか?」 「何?」 「ユーリが自分の可愛い場所を指で慰めているところを見せてくれたら、ホテルまで我慢します」 壁の向こうで、有利の友人が卒倒しそうになっている気配を感じた。 よくまぁ物音も立てずに我慢しているものだと、コンラートは妙な感心をした。 「あの……ひ、一人エッチってこと…!?」 「有り体に言えばそうですね」 「な…なんで……」 「実は憧れだったんです。ユーリの特別な場所でエッチなことをするのが…」 「そんな綺麗な王子様顔でなんちゅーこと言うんだアンタは!?」 「いやらしい顔なら良いですか?」 「うううう…」 「ね…お願い。ユーリの可愛い桜色の襞がぬるつく蜜に濡れて、艶やかに光っているところとか…その中に指が抜き差しされる所とか…声を殺して快感に耐えるあなたが…見てみたい」 「その声…反則…っ!」 蠱惑的な眼差しと、淫靡な艶を帯びて耳孔を犯すその言葉の鎖に…有利の秘められた場所からとろりと蜜が滴り始める。 ひく…と奥津城が震え、物欲しげに肉壁が収斂するのを感じた。 「浅い呼吸を繰り返すその胸にぷくりと尖る乳首を…指先で痛いくらいに捏ねられるの…好きでしょう?」 「……っ」 「ああ…唇できつく吸い上げたり…甘く噛んだりするのも好きですよね。それだけでイッてしまうことも度々ですもんね…」 有利の頬が羞恥と…それだけではない感情によって薄紅色に上気すると、えも言えぬ色香が立ち上ってくる。 この埃っぽい空間を甘酸っぱく満たす大気に、隣室の友人が悶絶しているのがコンラートには知れて、内心笑いを噛み殺すのに必死であった(酷い…)。 おずおずと震える指が学生服のボタンを外し…シャツをはだけると、透き通るような白磁の肌が冷たい大気に曝される。しかし…淡く上気した身体はその寒さにも耐えられるのか、ゆるゆると引き下ろされたスポーツブラからは、押さえ込まれていたことに文句でもありそうな二つの膨らみがほろりと息づくように溢れ出す。 「可愛い…もう、乳首が硬く痼っているよ」 「…っ!」 びくりと有利の内腿が擦り合わされることで、有利が言葉責めだけで達しそうになっていることが分かる。 けれど…流石に物理的刺激を伴わない責め苦は中途半端に若い身体を煽るのか、縋るような眼差しが水膜を覆ってコンラートへと向けられる。 ぞくぞくするような悦楽が甘い電流のように背筋を伝うが、静かな表情を敢えて崩さずに…コンラートは言の葉で有利の性感を転がして見せた。 「ね…下はどうなっているんですか?もう…暖かな蜜が溢れているのでは?」 「……それは……」 「見たいな…ユーリ」 寒さのためだけではない震えにぞくりと背筋を震わせながら、有利はコンラートの声の魔術に捕らわれてしまったようにするりとベルトを引き抜くと、そぅ…っとズボンを引き下ろし、すんなりとした下肢を冷気に曝した。 ズボンを下ろす際に靴は脱いだが、足首から先には白いソックスを穿いたままで…それが有利の幼さを顕すように見え、余計にコンラートの背徳感をそそった。 「綺麗な脚だ。でも…俺は、その脚の間だがどうなっているのか見たいんです。ね…ユーリ、そこのマットに座って…脚を開いて見せて?」 「ぅ…」 涙目になりつつも、有利はもうコンラートの声に逆らうことが出来ない。 いっそ頭ごなしに命令してくれれば大暴れして抵抗出来るのに、美しい面差しを柔らかく輝かせて…魅惑的な声で《お願い》されると、有利はついつい恋人の我が儘を聞いてしまうのだ。 昨年度末に購入されたばかりの真新しいマットは弾力性に富んでおり、有利が座るとふしゅうと音を立てて少し沈み込む。そこで体育座りになった有利は暫く迷っていたが、ちらと見上げた先に恋人の促すような眼差しを見つけると、そろ…と下肢を開いて顔を背けた。 「濡れてる…。触らなくても、俺の声だけで感じた?それとも…もっとエッチなことを考えていたの?」 「違…っ!」 「違う?そう…では、有利の指でショーツに触れてみて?」 「……ここ?」 わざと下腹部近くを押さえてみせる有利に、コンラートは苦笑を浮かべて指摘した。 「いいえ、もっと下。気持ちの良い事が大好きな、有利のエッチなお口の方ですよ」 楽しげな声音で、何て事を言うのか…。 全身を朱に染めて戸惑う有利に近寄ると、コンラートはそっと優しい手つきで問題の箇所を押さえて見せた。 「ほら…ここ……」 「ぁう…っ!」 節くれ立った長い指がぷにりと下着越しに陰核を押さえれば、そのやや下方にある裂目からはとろりとした蜜が溢れ出し…見る間にショーツを濡らしてしまう。 「これはいけない…マットが濡れてしまうかな?ユーリの下のお口は本当にはしたないな…こんなにお漏らしして…」 「だからこんなトコでするのヤダって…っ!」 「嫌?本当に?」 くちくちと小刻みに蠢く指先が巧みに性感を煽れば、有利は感じやすい身体をうねらせて上体をマットに倒してしまう。 白いマットに散らばる黒髪と、上気した頬が目に楽しい。 潤んだ黒瞳の責めるような…それでいて、堪えきれない欲望に先を求める素直さが愛おしい。幼い少年のあどけなさを残しながら、娼婦のように快楽を刷り込まれた肉体。 未成熟な肢体に漂う、淫猥な艶。 相反する要素がその肉体一つの中で溶け合い、コンラートの欲望を焚きつけるのだ。 「ゃん…や……ぁ……っ」 荒い息を吐いて身悶えするものの、わざと彼の良いところを外して愛撫すれば焦れたように陰部をすり寄せてくるから、コンラートはくすりと微笑して身体を離した。 「コンラッド…なんで……」 「ユーリが一人でするところを見たいと言ったでしょう?ね…お願い」 「…っ!」 ショーツの上からでも明瞭に形を捉えることが可能となった桃色の襞…それを放置して嗤う意地悪な恋人に責めるような一瞥をくれると、有利は顔を逸らしながら…耐えきれない欲を昇華させるべく己のショーツに指を潜り込ませていった。 「ぁ…はぁ……」 甘い吐息と共に、くぷりと粘質な音が響く。 有利の指が…散々焦らされた蜜壷へと入り込み、ぬるつく壁をもどかしげに擦り始めたのである。 くぷ…くちゅ…… ぐちゅ…じゅぶ……っ… 何時しかコンラートに見せつけるように上げられた腰のおかげで、濡れそぼる蜜壷から溢れ出した蜜がマットを濡らすことはなかった。しかし、不自然な体位が何時までも続くはずはなく、びくりと背筋を震わせて有利が気をやった瞬間…くたりと脱力した腰がマットに落ちかけた。 「おっと…いけませんよユーリ、新品のマットに粗相をしては…」 《誰がさせとんじゃい》と抗弁するような余裕はない。 「ああ…こんなに溢れて……」 コンラートは朗らかな笑い声を上げると、もう下着としての機能を失ってしまっているショーツを脱がせ…ポケットから取り出した塊を、栓をするかのようにゆっくりと蜜壷に沈めていった。 「ゃ…何?」 気をやったせいか反応は鈍いものの、怯えるように震える有利を宥めるように撫でつけると、コンラートは至って優しげな声で囁くのだった。 「ユーリの蜜は普通よりも随分と量が多いですからね、溢れてこないように栓をしました。ホテルまで、このままでいて下さいね?」 「嘘…な、何入れたんだよっ!?」 「そんなに変な物ではありませんよ。ただ、ユーリが感じすぎてあまり沢山蜜を出してしまうと、それだけ中で大きくなってしまいますけどね?」 コンラートが有利に詰めた物…それは、濃いピンク色をした新素材の吸収剤であった。 常態の大きさは小指の先程の樹脂の塊に過ぎないのだが、周囲の液体を吸い込むとゆっくりとその容積を増し、最大ではコンラートの雄蕊に近い大きさにまで成長する。 さて…これがそこまでの大きさとなるまでにホテルにたどり着けるだろうか? それに…このままホテルに向かうにはもう一つ不都合がある。 「ユーリ、おしゃぶりの上達度を確認してもよろしいですか?」 そう言ってズボンの前立てをくつろげると…隆と聳える雄蕊が有利の眼前に捧げられた。 * * * 『な…何が起こってんだー!?』 どうやらひとりエッチのお強請りの次は、《おしゃぶり》…要は、フェラチオをしろと言われているらしい友人を思い、赤井は青くなったり赤くなったりと忙しく自律神経支配を変動させていた。 先程から、それでなくとも友人の甘い声に翻弄されて股間が張りつめているというのに、体格に優れた外国人留学生の股間に顔を埋めている様など想像しては、それだけでイってしまいそうだ。 『ヤバイ…ヤバイって……っ!』 友人の痴態を想像して自慰行為を行うなど、赤井の倫理感から言えばとんでもなく罪深い行為である。 しかし…壁の向こうではすぐに淫猥な水音が響き始めていた…。 「ん…くむ……ぁふ……ぁ……無理…あんたのデカ過ぎ……」 口では含みきれないと言外に責める声音に、どれだけの巨砲艦隊主義なのかと赤井は狼狽える。バルチック艦隊も裸足で逃げ出しそうな代物なのだろうか? 「そうですね、ユーリは下のお口の方が上手におしゃぶり出来るようになりましたよね」 『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!』 信じがたい親父エロトークに、赤井は転げ回りたい衝動を抑えるのに必死であった。 有利が…あの、純真無垢だと思っていた有利が…《下のお口》で上の口が含みきれないような逸物を銜え込まされるなんて…。 『うわぁぁあ…渋谷……こ、壊されないようにしろよぉぉ…っ!』 老婆心なのか何なのか…激しく友人の心配をしつつも、思わず脳裏に浮かび上がるエロ画像に雄蕊は限界近くまで勃ちあがる…。 『うう…なんかもう…色々ゴメンよ渋谷っ!!』 素直すぎる肉体反応を恨みつつも、赤井はよろめきながら戸口へ向かい…そこから出るのではなく、鍵を掛けるという選択肢を選んでしまった。 * * * 「んむ…くふぅ……」 舌先で丁寧に鈴口をなぞり…裏筋を舐め上げると、はむりと亀頭部分全体を含み込んでにぷにぷと吸引する。その様は堪らなく淫靡であるにもかかわらず、どこか乳を求める子猫のようなあどけなさを呈していた。 「いいですよ…ふふ、こちらのお口もやはり上達してきていますよ?練習の成果ですかね?」 「ぁく…っ!」 なんだかんだ言いながらも熱心に愛撫を施す有利を優しく撫でていた手が、乳房を鷲づかみにして巧みに蠢くと、有利の内腿がびくりと震えた。 「おや…随分と大きくなってきましたね?」 コンラートは有利の身体をマットに横たえると、自分の逸物を銜えさせたまま有利の股間へと舌を這わせる…所謂、シックスナインの状態で蜜壷を観察した。 挿入した時にはまだ小指ほどの大きさしかなかった塊は美味しい蜜を吸収して健やかに成長し、いまでは日本人男性の平均的な雄蕊程度にまで成長している。その分、濃かった色は幾分薄桃色に変化し、どこか有利の身体の一部ででもあるようにひょこりと蜜壷から端つこを覗かせていた。 「…ゃっ!」 端を押し込むように指で弄られ、熱い舌で陰核をなめずれば一層塊は大きさを増し、有利の中で強くその存在を誇示し始めた。 くい…っとその端を摘んで引き出そうとすれば、みっしりと埋め込まれた塊はぬくよかな居室から叩き出されることを嫌がるように抵抗感を示した。有利の肉壁が持ち主の思惑とは裏腹に、充実感を求めて収斂しているためだ。 「随分と美味しそうに飲み込んでいるものですね…嫉妬してしまうな。俺のよりも美味しいですか?」 自分で埋め込んでおいてよくもまぁ…と呆れたのは隣室で聞き耳を立てている赤井だけで、惑乱している有利の方は羞恥に身を捩った。 「違…っ!俺は…もぉ、こんなの嫌…っ」 「でも、これがないとホテルに行くまでに折角の蜜が零れて、ズボンまで濡れてしまいますよ?何しろあなたは濡れやすい体質だから」「コンラッド…い、意地悪しないで…っ!」 こんな物をこんな場所に含まされたまま、とてもホテルになんか行けっこない。 異物を蜜壷で頬張ったまま歩を進める己の姿を想像するだけで、有利は羞恥と恐怖に涙を浮かべてしまう。 「すみません…ユーリ。悪戯が過ぎましたね」 ふぇ…と涙を浮かべる有利に、コンラートは慌てて上体を伸び上がらせると、宥めるようなキスを送った。 普段は男前で我慢強い有利が懇願するような涙を浮かべる様子にさしもの嗜虐心も吹き飛び、激しい自省の念に駆られたのだ。 だが、解放を求める雄蕊との折り合いはつけねばならぬ。 「もう…抜いてぇ……っ!ここで、して…?」 「お望みとあらば如何様にも…陛下」 コンラートは微苦笑を浮かべて有利の育ちきった《栓》をずるりと引き抜くと、ハンカチにくるんでポケットにしまい込み…代わりに、やはり有利に育てられた雄蕊に手早くゴムを被らせて押し当てると、すっかり馴染まされた蜜壷へと一気に挿入した。 「ひぁあん…っ!」 あられもない嬌声は明らかな快楽を示して放たれ、有利はすらりとした背筋を弓なりに反らせて男を受け入れた。 押し広げられ、緩まされていたとはいえ、普段は溢れるほどの蜜液に濡らされているはずのそこは例の塊に蜜を奪われた分、摩擦が強い。 それがお互いにいつも以上の密着感をもたらして、逞しい腰が種々角度を変えて巧みに突き込まれるたびに甘い吐息が大気を満たした。 「ん…良い……そこ、もっと…してぇ…ぁあんっ!」 「は…ぁ……ユーリ…素敵ですよ。素敵に締め付けて…俺のを食いちぎりそうに噛みついてくる…っ!」 * * * 『ひわわわ………っ!』 赤井は鍵が掛かっているとはいえ、思い出の詰まった部室内で友人の嬌声に煽られながら自慰行為に勤しんでいる自分に、何とも言えない羞恥と興奮とを抱いていた。 良い友人である渋谷の性癖を知っても不思議と嫌悪感はなく、それでいて…そんな彼を組み敷いてどうこうしようと言うような淫欲もない。 それは、好みのAV女優が何人もの男達に抱かれているのを見ながらも嫉妬心を起こさないのと同様の感慨なのか見知れない。 戸惑いつつも赤井は自分の陽根を擦りあげ、射出の瞬間を目指して有利の痴態を想像していた。 * * * 「あーーー…っ!」 一際高く…甘く…有利の声が長啼きした瞬間、有利の奥津城は激しく収斂し、コンラートもまたゴムの中へと白濁した液を放つ。互いの間隙から溢れ出す蜜がマットに滴り落ちそうになるが、コンラートはしゅるりとハンカチをポケットから取り出すと、器用に液を拭って見せた。 ちなみに、このハンカチは有利に含ませていた塊を包んでいたのとはまた別のハンカチである。 ポケットが見苦しくぼっこりしているわけでもないのに次から次へと道具が出てくるところを見ると、ポケットにアニシナの発明具でも仕込ませているのかも知れない。 「はぁ…あ……」 「すみません、ユーリ…寒くないですか?」 「少…し……」 絶頂の瞬間に噴き上げた汗は、1月の冷気に瞬く間に熱を奪われていく。 冷たく身を包むシャツが不愉快に感じられる間もなく、するすると服を脱がされた有利は否応なく真新しい下着とシャツとを着付けられていく。 しかし…その下着は可憐過ぎる(…と、有利は思う)デザインで、着せつけられた服一式は何故か有利の高校の…女子生徒が身に纏うべき服だった。 「コンラッド…これ………」 「従姉妹がここを受験するので…と、クラスの生徒さんにお願いしたら、快く着回し分を下さいました」 「いや…だから、何で…何処にこれ持ってたの?いや、それより何で俺がこれ着てんの?つか、シャツは濡れてるけど学ランは濡れてないわけで……」 最早どこから突っ込んで良いのか分からないらしい有利は困惑しながらコンラートを見上げる。 「さ…ホテルに行きましょうか?」 「い…いやいや!さっきしたじゃんっ!!」 「でも、先程ユーリはホテルに行こうと仰ったではないですか」 それはここでするよりは…と言う話であったはずだが。 何故きっちりここで抱かれた上にホテルに行かなくてはならないのか? 「いや…でも……あ、そーだよ!俺、そもそも赤井に貰ったキーホルダーを探しに……」 「おや、こんな所にキーホルダーが」 マットの下から件(くだん)のキーホルダーを取り上げて見せたコンラートに、有利はぽかんと口を開けて呆けた表情になる。 幾ら鈍い有利でも、自分がコンラートに引っかけられたのだと気付かないわけはない。 「こ…コンラッドの馬鹿ーっっ!!」 ばちーんっ!と景気の良い平手打ちの音が鳴り響き… …眞魔国でなら、求婚が成立する行為がコンラートに対して行われた。 * * * 翌日…赤井は有利と顔を合わせるなり、どこか茫漠とした瞳をして手を握ってきた。 「渋谷…色々大変だと思うケド…頑張れよ?」 「は…なにが?…何を?」 困惑する有利を尻目に、赤井は深い友情を示して友人を力づけるのだった…。 あとがき 『学ランで校舎内エッチ』を目指して書きましたが、校舎内は…難しいですね。 コンラッドが保健室の先生という設定なら色々出来たのになーと思いつつも、それは他のサイト様で美味しい話を拝読したのでそれ以上の展開は思いつけず、このような次第に相成りました。 相変わらず親父臭く、道具好きのコンラッドは制服に四次○ポケットを組み込んでいつでも何処でも何でも出せるようになっています。 アニシナの道具とは思えないような実用性ですね。 それでは、次回は眞魔国に戻って百合エッチです。 わーい、どんな話になりますやら!
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