第1章 XーA







 眞魔国全土に広がる一揆の波は、ウェラー領についてだけは飛び火していない。 
 しかしこれはウェラー領のみが豊富な収穫高を誇るというよりも、領主を尊崇する民が我慢強いから…との要素が強い。

 長年ウェラー領の民を生き延びさせてきた大麦が、4011年の初夏…とうとう芽吹かなくなったのである。

 魔力を持たない混血の民にとって、これは《死ね》と言われているのと同意であった。

 3年前にコンラートが反逆の罪を負ってウェラー領に帰ってきたとき、彼らは何一つ彼を責め立てることなく、《きっと何か理由があるのだ》と信じて、眞魔国本土から切り離されてしまったことを嘆きつつも地産地消に徹して、かつて王都や他の地方からもたらされた事物を偲(しの)ばないように努めてきた。

 だが、このままウェラー大麦が実らなければ、倉に蓄えられた在庫の大麦で食いつなげるのはせいぜい半年…本土からの食糧輸入や、大地の要素に訴える魔力持ちを送り込んで貰えないこの土地は、冬には餓死者を続出させて死に至るだろう。

『俺達は…おしまいだ……』

 誰もがコンラートを責めることなく…けれど、絶望を抱えて芽吹かない畑の土を握り締めた…。



*  *  *





 ウェラー領主の館はこの領土の境にある防御壁と一体化して、殆ど要塞と呼ぶことが相応しいような形態をしている。
 ボルドレン河にかかる橋を落として以来、敵に攻められことはないのだが…それでも、新たな手段というものは常に開発されていくものなので、警戒怠りなくコンラートはこの防御壁警備を維持させている。

 その一室で、コンラートは目立たぬ保護色のフードを被って旅装を整えていた。
 同室しているのはヨザックと、5人の旅団長だ。

「どうするつもりだ?」
「眞王陛下に、問いただしに行く。この国をどうにかする気があるのかどうか…」

 アリアズナの問いかけに、コンラートが端的に答えると…耐えきれなくなったケイル・ポーがコンラートのフードを掴んで懇願した。

「俺も連れて行って下さい!」
「駄目だ。お前はアリアズナ達と一緒にウェラー領の防衛に努めるんだ。うちの大麦が飢饉に強いことは眞魔国中に知られている。今年芽吹かなかったのだと伝えても信じはすまい…。おそらく、略奪の手が伸びてくるだろう」

 どこから…とは敢えて言わない。
 他国ではなく、眞魔国に襲撃を受ける可能性は、分かっていても口にはしたくないものだ。

 そう、コンラートは…あれほど自分を踏みつけた眞魔国に対して未だに何かを期待していることに、誰よりも忸怩たる思いを抱えている。
 
 ヨザックや、他の諜報員からの情報ではコンラートの疑いが市井に於いては晴れているようだし、眞魔国軍が防衛戦を展開している際に、敵に対して効果的な一撃を与え続けているルッテンベルク軍は、兵から信仰に近い思いを寄せられている。

 だが、それでもなお眞魔国中枢はコンラートに対する扱いを変えないのだ。

 そこに持ってきて、農民一揆が頻発するほど深刻になった飢饉のことがある。
 コンラートに対する掣肘という名目で、食糧狙いの十貴族が本腰を入れてボルドレン河を渡河しようとすれば、もう防ぎきることは出来ないかもしれない。

 今年の春、実らなかったのは大麦だけではない。
 馬たちの腹を膨らませる、飼い葉もまばらにしか生えなかったのだ。

「ですが…それならば、俺が眞王廟に行きます!なにも閣下が直接行かれることはないではありませんか…!眞王廟にはシュトッフェル配下の中でも高い魔力を持った者が配備されていると聞きます。捕まればどんな目に遭わされるか…」
「おいおい…捕まることを前提にして話していないか?」
「う…ぅう〜……ですが……」

 普段はコンラートの言うことに反論など考えられないケイル・ポーも、今日は引いてはならじと詰め寄った。
 いつものコンラートであれば、周到に調査を進めてから行動する。だが…今回に限っては諜報員を幾ら派遣しても眞王廟の見取り図すら手に入らず、どこから侵入すればいいかも当然分からないままなのだ。
 一か八か…危険きわまりない潜入に、反対しないわけにはいかない。

「だ…駄目なものは駄目です!」
「子どもみたいなことを言うなよ。お前に、俺が期待しているのは知っているだろう?」
「狡いです、閣下…そんな風に言って俺を置いていくのは…」

 ケイル・ポーにも分かっている。
 突撃していく際の戦闘術はともかくとして、陣地を敷いて防御戦を行う上ではケイル・ポーの様な堅実な指揮官が必要なのだ。残念ながら、他の旅団長にはその才が十分にあるとは言えなかった。

 それでも…縁起の悪い言い方にはなるが、ここで置いて行かれることが今生の別れのように感じて、ケイル・ポーは何としてもへばりついて行こうと粘った。

「ケイル・ポー、命令だ」

 不安に思うケイル・ポーの気持ちは分かる。だが、おそらく眞王廟に潜入出来たとしても、コンラート以外の者であれば眞王から意味のある言葉を貰えるとは思えない。あるいは使命を果たさなかった事への恨み辛みをぶつけられることもあるかも知れないが、それでも…多くを知るであろう眞王から、情報だけは回収しておきたい。

 本当にもう…この世界が終わりになってしまうのか、手立てが残されているのかだけでも知っておきたい。
 だから、コンラートは危険だろうが何だろうが行くしかないのだ。

「う……」

 涙目になりながらも、ケイル・ポーはのろのろと了解の意を敬礼の形で伝える。
 こうなったら、普段は無茶ばかり言っている男にでも頼るほかないとアリアズナに視線を送るが、こんな時に限って物わかりのいい男は綺麗に無視をすると、コンラートに歩み寄ってトン…っと拳で胸板を叩く。

「帰ってこい。眞王廟で何があっても、絶対に帰ってこい」

 アリアズナにも分かっているのだろう。眞王廟に無事入り込むことが出来たとしても、そこで耳に快い情報が入る可能性は低いのだと。
 それならばせめて、死ぬときは共に死にたいと…誰よりも強くこの男は感じている。
 だが…今それを口にすることは出来なかった。

 コンラートが、前に進むことを望んでいるからだ。
 
 絶望を知らないこの男が、一片の希望を掴もうと足掻いている限り、アリアズナは耽美な破滅を愉しむことはできない。

「ああ…分かっている。俺が帰ってくるべき場所は、ここしかない」
「あんたが帰る場所は死守する。ヨザック…頼むぞ?こいつをきっちり護ってやってくれ」
「分かってるさ」

 古傷が疼くのか…ヨザックはアイパッチを弄っていた手を握ると、拳を右こめかみに当てる。

 《この命に替えても》とは言わない。
 そんなことはとっくに分かっているからだ。

 アルノルドの戦友でもあるという意味ではアリアズナもヨザックと同格なのだが、それ以上に友人として阿吽の呼吸を持つ二人には、最期まで背中を任せて闘えるだけの信頼感がある。

 それが少し寂しいとケイル・ポー同様アリアズナも思うのだが、フォンヴォルテール卿の部下である立場から、いわば客員将官としてルッテンベルクに所属しているヨザックが、コンラートが居ない間にウェラー領防衛で指揮をするにはやや難しさもあるだろう。
 そう言った意味でも、やはりアリアズナの方がここに残るべきなのだ。

『あんたが帰ってくるまではなんとしても護る…だが……』

 帰ってこないとき、どこまで防衛を続けることが出来るか…。

『結局、俺達はあんたっていう星がいなくちゃ気が萎えちまうのさ…』

 ヨザックと共に部屋を出て行くコンラートの背中を見詰めながら、身を伏して縋り付きたいという欲求に苛まされていることを、微塵も態度に見せないこの男は、ささやかな矜持を護って凍れる彫像のように佇み続けた…。  



*  *  *





「聞きしにまさる警備だな…」
「ああ…こりゃあ、凄まじいもんだ」

 なんとか王都には侵入出来たものの…コンラートとヨザックの前には噂以上の防衛線が敷かれていた。
 捕まって、眞王の前にでも引き出されれば逆に好都合というものだが、グウェンダルやギュンターと同様の結論を導き出しているコンラートは、捕まることはシュトッフェルの手に落ちることだと理解している。

 何としても警備の目をかいくぐって、突入せねばならない。

「さーて、効きますやら…」

 ヨザックが腰に繋いだ袋から取りだしたのは、大小様々な宝石で、この緊迫した場にはそぐわない煌めきを放っている。

 いや…これは宝石ではなく、法石だ。
 
 魔力持ちの純血魔族であれば動けなくなるほどの強さを持った法石は、混血のヨザックやコンラートだからこそ手に取れる代物である。
 探索魔力の強い兵を攪乱するために、希少な法石を点々と眞王廟周囲に置き、粉末状のものをおまじないのように自分たちへと振りかけると、二人は兼ねてから調べていた水路を通って眞王廟内部に向かう。

 しかし…程なく、警笛が鳴らされて姿を察知されたことが分かった。
 
「くそ…突破するか」
「ああ…」

 同国人を斬ることにまだ戸惑いはあるものの、手練れの兵を殺さずに突破出来ると楽観することは出来なかった。

 苦い想いを抱えたまま…二人は剣を鞘走らせた。



*  *  *





 ぽと…
 と………っ

 何十人の兵を斬っただろうか?
 流石に傷を負った二人が血を滴らせながら建物の隙間を歩けば、噎せ返るような血臭が胸をむかつかせる。自分たちが流している血以上に、受けた返り血が呪わしく軍靴を汚していた。

 何とか眞王の棟まで近づくことは出来たものの…右脇腹に氷の魔力を受けたヨザックは痛みが次第に強くなっていることを感じていた。臓器から出血しているのかも知れない。
 炎の魔力で背中の右半分を灼かれたコンラートもまた、火傷痕から大量の体液が滲出させて激しい目眩に襲われていた。このまま手当が出来なければ、循環血液量が減少してショック状態に陥る危険性が高い。

 今までアルノルドを除いては、コンラートがこれほどの負傷を強いられたことはない。
 それが味方であるはずの眞魔国人から与えられるとは…皮肉なものである。 

「全く…こんな所にえらい精鋭を置いてるもんだぜ…国の浮沈よりも、我が身の保身が大事…ってか」
「権力者とはそういうものさ…」
「やーだねぇ…」

 まだ軽口を交わす元気は残っているらしいと、互いに確認し合って苦笑する。
 あと数刻も彷徨えば、もうそんな元気もなくなっていることだろうが…絶望してしゃがみ込んでしまうまでにはまだ時間はあるはずだ。
 可能性があるのなら、少しでも前に進みたい。

 案の定、思いがけない場所から突破口は開けた。

「ここ…通れるんじゃねぇの?」
「行くだけ行ってみよう」

 半ば朦朧としているコンラートは、ヨザックの気づきに従って足下の柵を外すと、幅口ぎりぎりの通風口のような場所に身体をねじ込んでいった。擦り抜ける際に火傷痕が擦過されて悲鳴が上がり掛けたが、唇を噛みしめて何とか持ちこたえた。 

 ふらふらとした足取りで何処をどう歩いたのかさえ定かではなかったが、少なくとも二人の運命は途中で途絶する方向には定まっていなかったらしい。

「ここ…は……」

 冷たくどんよりと淀んだ空気が漂うこの通路には覚えがある。
 ここは…眞王の間に通じる通路だ。流石にここまでは警備兵を置いていないのだろうか?周囲の喧噪が嘘のように、ここは静寂に満たされていた。

 静かだ。

 だが…何故だろう?
 全く心が安まらないのは…。

 この沈黙には、不穏な秘密が隠されているように感じられてならない。

 
『一体…何が…?』

 追われる身であるコンラートとヨザックは、敵に警戒するあまり注意が行き届かなかったのだが…もしも彼らが招かれた身であれば、眞王廟の奇怪な現状に気付いたことだろう。

 ここまで来るまでの道程の中で、彼らが見た植物は枯れているか…怪しく爛れたように奇形を示すものばかりだったのである。
 眞魔国全土がその様な様子であるために、逆に違和感を感じなかったのだが…これは、全ての要素を統べる眞王おわすこの廟の中にあっては極めて異常な状況なのである。

 眞王廟に、もはや要素の祝福はもたらされていない…。


 その現実を眼前に突きつけられたのは、覚えのある扉を開いた後であった…。


「こ…れは……」
「う……っ」


 高い天井まで続く巨大な扉を開いて眞王の間に入り込んだ二人は、そこで吐き気を催すほどに不気味な光景を目の当たりにすることになった。

 どろ…ろ…
 ぐじゅ……どりゅ……

 何かが、扉を開けるなりどろりと溢れ出てきて、剛胆な筈の二人をさえ嫌悪と恐怖に仰け反らせた。

 ぬめぬめと忌まわしい深緑…汚れた赤紫が混ざり合い、時折ぼぅ…っと鬼火のような薄青い光が明滅する。膝丈ほどの深さまであるゲル状の液体が部屋一杯に広がって、その中に幾つもの顔が浮かび上がっているのである。

「なんて…ことだ……」

 コンラートは呆然として、どろりとしたゲル状の液体を見た。
 表情のない幾つもの顔…おそらくはこの廟で仕えていた巫女達のそれに混じって、幼い少女のようなウルリーケの顔、そして…

 …一際巨大で、そして…無表情な巫女達の中で唯一感情らしきものを湛えた、眞王の顔があった。

 憎悪…憤怒…嘲笑…ありとあらゆる忌まわしい感情が坩堝のように掻き混ぜられ…かっと見開かれて中空を睨んでいた眼差しが、ぎょろりとコンラートに向けられた。

『キたか…ウェ…ラーきょうコ、ンラート……』

 言葉の所々が奇妙な具合に高くなったり、急に爆発するように大きくなったりする。
 一人で喋っているのではなく、調子はずれな楽器の音を寄せ集めたかのように感じられた。

「眞王陛下…これは、一体どうされたというのですか?」

 キカカカカ………っ!

 眞王の美麗な顔の中で、下顎だけがバネ玩具のように機械的な動きで動く。どうやら、嗤っているらしい。
 
『どうサレた…あぁ〜アアあはははははハは……っ!どうサレたどうサレたどうサレたっ!お前がイうかーっっ!』

 キカカカカカカカカ………っ!

「眞王陛下…」
「こりゃあ…イカれちまってるみたいだな…」

 もしや力を失っているか…最悪消滅しているのではと疑念を抱いていた二人にとっても、これは衝撃的な情景であった。

 肖像画のみで知る眞王陛下は威風堂々とした美丈夫であったのだが…それが若々しく美麗な顔貌を悪意ある狂人のように歪ませて、奇怪な嗤い声をあげているのだ…。
 眞魔国に住まう者として、これほど慄然とする光景もないのではないか。

 かつて眞王の意向に背いたコンラートにとってすら、その存在は大きく…結局は行き詰まった状況をどうにかしてくれるのは彼しか居ないと頼りにしていたのだ。だからこそ、危険を覚悟でここまで来たのである。

 それが大きな甘えであったことを、コンラートはまざまざと見せつけられた。

『おマエ…も、ドーにかしてやろうか?』

 ぐにゃり…と右回転に眞王の顔が捻れると、その形状に恐怖を感じてコンラートが身じろぐが、精神的な衝撃が大きすぎて彼がしようとしていることに気付くことはなかった。

「危ない…っ!」

 コンラートの前にヨザックが立ちはだかり、その身体に無数の刃が刺さるその時まで…。

「ヨ…」

 がくりと膝を突いたヨザックの口から、がふ…っと大量の血が噴き上げる。
 どろどろとしていたゲル状の液体が結晶化し、剣のようにヨザックの肉体を貫いたのだ。

 それでも、ヨザックは藻掻くように立ち上がると、新たに襲いかかってくる刃からコンラートを庇おうとするように腕を振るう。盛り上がった上腕…逞しい胸板を精一杯拡げて、その身体の影に大切な友を覆い隠そうとしているのだ。
 だが、その腕にも力が入らず…次第に上げることさえ出来なくなっていく。
 右だけ残された瞳も、茫洋として焦点が合わなくなってきた…。

「ヨザ…ヨザ…っ!」
「逃…げろ……置いてけ……」

 そんな頼みを聞けるはずがないではないか。
 しかし、コンラートが抱え上げようとして火傷痕を擦過すると、びくりと震えた身体を突き放し…ヨザックは最期の力を振るうように剣を抜いた。

「置いてけるように…してやるよ」

 不思議なほど綺麗に、ヨザックが笑う。
 無邪気な子どものように汚れのない笑顔を浮かべて…ヨザックは、自分の頚に剣を当てた。

「止めろ…っ!」
「あばよ…」

 しかし、その剣はしゅるりと絡みついた触手によって奪い取られてしまう。
 
『アアいやダ、いやダぁああ…ウツクしい…さいごナド、むかエさせるとおもウカ…?』

 腹立たしげな声が響くと、ヨザックに太い触手が何重にも絡みついてずるずると荷袋のように引きずっていく。最初の内は何とか逃れようと藻掻いていたヨザックだったが、すぐに抵抗を示さなくなった。
 床面に残された夥しい血痕が、彼の生命の灯火が尽きかけていることを教えるように続いていく。

「何をする…っ!」
 
 触手ごとヨザックに取り縋るが、その身体は圧倒的な力に引きずられていって…引き留めることは叶わない。
 血でズルズルと滑ることもあり、握力の失われたコンラートの手では触手の一本を斬ることもままならない有様であった。

『ジゴく…ヲ…みせテ、やろう……』

 くっくっ…っと含み笑いのような声音を零しながら、眞王の伸ばした触手がコンラートにも絡みつき、抗しきれない力で引きずっていく。

 みれば、そこにはかつてコンラートを異世界に運ぶはずであった水盆があり、あの時のような澄んだ水ではなく…どろどろとした厭わしい粘液が泡立っていた。

 触手は…そこに二人を引き込もうとしているのだ。

「ヨザ…ヨザ……っ!」

 呼びかけても、もうヨザックは返事をしない。
 夥しい血を流すその身体は最早ぴくりとも動かず、唯の肉塊に変じてしまったかのように無機質で…その肌は死人のように青ざめている。

「ヨ…っ!」

 狂おしい呼び声を、最期まであげることは出来なかった。

 二人の身体はずるりと水盆に引きずり込まれると…どぅ…っと押し寄せる水流のような力に引っ張られ、押し流されていったのだった。





第1章 おわり





あとがき


 にょにょー…やっと第1章が終わりました!
 
 「虹を越えていこうよ」では地球が舞台、「迦陵頻伽の檻」では妖怪世界が舞台…ときて、やっと今回の「螺旋円舞曲」で眞魔国が舞台です!ドンドンドンぱふぱふ!
 このサイトのメインなのに、やっとですかっ!…って感じですね。

 実は、「有利が生まれなかった世界のコンラートVS有利のトコのコンラート」という図式自体は前々からやりたかったんですー。若獅子ではなく、ちょっと年いったコンラートにしたのは、狸山が若手よりもちょっと年いった人の方が好きだからです。

 《男の魅力は30才から派》なので、第1章のコンラートももーちょっと年いかせたくて4032年くらいに飛ばされる設定にしようと思っていたのですが…そんなに禁忌の箱開放から経過してたら、いい加減人間世界崩壊してるよね…ということで、4011年にしてみました。
 そんなわけで、第1章のコンラートは結果的に、「虹越え」のコンラートとそんなに変わらない年になってしまいましたね…。《渋獅子》と銘打った割に……(←生活苦でちょっと老けてるかも…)。

 箱の開放も、間違った鍵で一個開いてあんなに誘発されるのかどうかよく分からないのですが、まあ…開いちゃったんですね。ええ、開いちゃったんでしようがないんです。

 年号…確か、原作には出てなかったと思ったので適当に作ってみたのですが…(《標準歴》とか《シマロン歴》っていうのがあるらしいとはどこかに書いてあったと思うんですが…)もし出てたらご免なさい。「この話ではそうなってるのねー」くらいで広い気持ちで見て下さい。

 大戦が始まった経過も、原作では眞魔国近隣の小島をシマロンが征服し始めて、わりと積極的にシュトッフェルが参戦していった…みたいな経過だった筈なんですが、実はWを書いている途中までその記述に気づかなかったんですよ…。ジュリアの弟のことを調べようと思って外伝を読み返したら書いてあったのですが、「もういいやー」と、そのままにしてしまいました。ここも広い気持ちで見て下さい。

 第二章ではいよいよ、舞台が「有利の居る眞魔国」です。
 さてさてどういう展開になるのか…一応あらすじは作ってあるのですが、細かいところは書いていくに従って良く変わるので(第一章も鍵になる部分以外は、当初の予定からかなり変わってます)、皆様同様、書き手の私も楽しみなような不安なような気持ちで一杯です。

 共にエピローグを刻むその日まで、このお話を楽しんで頂ければと思います。

 頑張るぞ!ゴーゴー!!






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