「教えて★グリ江ちゃん」
※15歳黒うさ話です。
※ちょっと話が下品です。





「…というわけでね、ウェラー卿の指導を頼むよ」

 《頼む》と村田うさぎは言いました。
 ですが、橙うさぎには《命令》に聞こえました。

 実際、《嫌です》と言っても拒否権の発動は不可能かと思われます。
 だって、《じゃあ僕たちの仲はこれで終わりだね》と言い出すことが明確だったからです。

 実は橙うさぎは村田のうさぎの性格を見抜いていて、今では彼にとって自分が掛け替えのないうさぎになっていることを知っています。
 ですが、《終わり》と自分から言い出した村田は決してその言を違えることはないでしょう。

 村田自身がどんなに苦しかったり寂しかったりしても、自分が言い出したことを護る為に、彼は橙うさぎから《ごめんなさい》と言わない限り、橙うさぎも自分も赦しはしないのです。


『しょうがねぇなぁ…』

 難しい性格だとは思いますが、そんなこともまるっとお口に入れてぺろぺろ舐めてしまいたいくらい、橙うさぎはこの少年うさぎが大好きなのです。

 だから橙うさぎは頷きました。


 《ルッテンベルクの獅子》を指導するという約束を取り交わしたのです。



*  *  *




 橙うさぎは休日に茶うさぎの家を訪ねると、早速切り出してみました。

 ですが…

「ヨザ…何故俺が、お前の教えを請わねばならない?」
「………」

 茶うさぎは笑顔です。
 でも、何だかとても背後にドヨヨンとしたものを背負った笑みです。

 実のところ…茶うさぎは友うさぎに先を越されたことに穏やかではいられないようでした。

 単純に羨ましい…というのもありましたし、客観的な目で二羽を見るとどうしても《変態》とか《犯罪》という言葉が脳裏を掠めたからでしょう。

 だって…村田や黒うさぎは大きくなりましたが、同時に橙うさぎや茶うさぎだって年を取っているのです。
 十分に若々しく凛々しいと周りは言ってくれますが、それで実年齢の差が埋まるわけではないのです。

「や…まあ、あんたも昔は色街で名を馳せた男だし?基本は出来てるって知ってますよ?ただねぇ…相手は華奢な坊やでしょう?」
「お前…自分のメガトン砲を運動嫌いの室内うさぎである猊下に突っ込んでおいてそれを言うか…」
「あんただってギャラクティカマグナムな逸物持ってるでしょーが!それともなんですか?ユーリのケツの孔はあんたのが楽々入るくらい、オバハンのパンツの紐みてーに伸びるって言いたいんですか!?」
「貴様…その無駄に長い耳を叩き斬られたいらしいな…」
「いやいや…あんたも同じようなモンがついてるでしょーが!」

 喧々囂々と言い合いをしていたら、黒うさぎは血相をかえて飛び込んできました。

「どどど…どうしたの!?なんで喧嘩してんだよ!」
「いや…これはですね……」
「俺のケツの孔って、伸びないとマズイの?」

 余程大きな声で怒鳴り合っていたのでしょう…台所でお茶を煎れていた黒うさぎの耳に、話の内容はまるまんま伝わっていたようです。

「えーと…そのぅ…まあ、初めてだと女の子でも切れちゃうますから、男の場合は特によく濡らさないと…」
「水に浸けこんどいたら良い?」
「………」

 乾物ではないのです。
 急いで戻すときには温水に浸けて砂糖水を入れると良いとか、そういう話ではないのです。

「じゃあ、俺…結婚式が終わったら夜までの間、お風呂にケツをしっかり突っ込んどくよっ!」

 黒うさぎは真剣な顔です。
 放っておくと、本当にやりかねません。

「ユーリ…あの…有利のお尻の孔は水に漬けたからといって伸びません。長湯をしても変わらないでしょう?」
「そっかー…じゃあ、どうやるの?」


「…………」

 
 橙うさぎも茶うさぎも顔を見合わせてしまいました。
 詳細に説明するには、黒うさぎの瞳が純粋すぎたのです。

 あの村田が、《何せ、箱入りで育てられてるから下地がないんだよねぇ…。罪悪感が募って、とても説明できないよ》と言っていた意味が、橙うさぎにもよーく分かりました。

『隊長…後で、メモをお渡ししますから、活用して下さい』
『………………分かった……すまん……』

 さすがの茶うさぎも、橙うさぎの好意を受け入れないわけにはいかないという気持ちになったようです。

 茶うさぎが何もかも分かった上で誘導しなければ、黒うさぎは大変なことになるでしょう。

『いつまでもこのままでいて欲しいって気はしますけどねぇ…』


 黒うさぎはきょとんとしたまま、心配そうな眼差しを送る二羽を眺めておりましたとさ。





* 黒うさ…一線越えたら色々濃厚な何かも出来そうなのですが、直前まではこんな感じでいて欲しいです。 *