「筋トレ」




※15歳黒うさ話。
※微エロなんだか、お下ふぃんなんだか微妙。






 黒うさぎとの婚礼を目前にして、茶うさぎは色々と考えました。
 黒うさぎは茶うさぎとの結婚をとてもとても楽しみにしていますし、何とかして茶うさぎを喜ばせようと努力をしています。
 たとえ努力の方向が茶うさぎの斜め上や右側後下方をぐるっと廻って一回転するようなものであったとしても、努力してくれようというその心意気こそが美しいのです。

『俺も頑張らなくては!』

 茶うさぎは大兎らしく、正統派の努力をしようと決めました。

 茶うさぎはこれまで以上に一家の大黒柱として頑張らなくてはいけませんから、その為にはまず、なんと言っても基礎体力です!

 軍兎とはいえ、ここのところ眞魔国森も地球森もとっても平和でしたから少し訓練にも真剣味がなかったように思います。
 毎日の基礎訓練は欠かしておりませんでしたが、少し量や種類を増やしても良いかも知れません。



*  *  *




「ふ…は……っ」

 黒うさぎがお家に帰ってみると、いつも以上に張り切って茶うさぎが筋トレをしています。
 今日は特に暑かったせいか、上半身は薄いシャツ一枚になってスクワットする姿はとても格好良いです。

「わー、コンラッド。やっぱ腹筋とか凄いなあ…っ!俺も早くそんな風になりたいな!」
「ユーリもすぐですよ」

 そうは言いつつも、正直なところ…黒うさぎには常に《自分よりちょっと華奢でいて欲しいなあ…》と思っているのは内緒です。
 誰だって、お嫁さんにお姫様抱っこされる自分は想像したくないでしょう?

「それ、スクワット何回目?」
「383回です」
「ええっ!?いつもは300回って決めてなかったっけ?」
「ユーリにいつも格好良いと言って貰いたいですからね。ちょっと頑張ろうと思って…」
「お…俺の為に…?」

 黒うさぎはぽわんと頬を上気させて、潤んだ眼差しで茶うさぎを見詰めます。

「なにか協力できる事あるかな?」
「ああ、それでは重りになるものを持ってきてくれますか?400回までやったら、ラスト100回は重りを持ってやってみます」

 黒うさぎの熱い眼差しを受けたせいか、茶うさぎは少し調子に乗っていました。

「うん、じゃあ…」

 黒うさぎはちょっと悪戯めかした顔をすると、スクワットする茶うさぎの上体にしがみつくようにして寄っかかっていきました。

「俺が小さい頃は、こうしてしがみついたまんまでスクワットとか腹筋やってたよね?今も出来る?」
「ユーリが重りなら平気ですよ」

 思わぬ接触にドキンとしながらも、茶うさぎは大兎の微笑みを見せて黒うさぎを抱えると、そのままスクワットを続けます。

「凄い…コンラッド。全然早さかわんないっ!」
「こう見えても軍兎ですからね。鍛え方が違いますよ」

 黒うさぎが《凄い凄いっ!》と賞賛しながらますます《ぎゅう》っとしがみついてくるので、茶うさぎは満面に笑みを浮かべてもっとピッチを早くします。
 ですが…不意に、首筋の生肌に触れる黒うさぎの息使いだとか、ぴたりと合わさった胸筋の感触に、《あれ…この体勢?》と思いました。

『なにか…こう……《夜の行為にそのまま転用可》みたいな感じがするような…』

 ええ、黒うさぎの下肢はがっしりと茶うさぎの括れたウエストに絡められ、ぴたりと身体が合わさるくらいお互いを力強く抱きしめていますから…これはどう見ても、対面騎乗位からの突き上げ体勢ではないでしょうか?


 かぁああああ……

 
 急に顔が真っ赤になってしまいますが、有利はうっとりとしがみついていて気付かないようです。

「コンラッドって…やっぱ逞しいよね。俺…」

 《大好き》…恥ずかしそうに、でも、溢れ出すような愛情を込めて有利が囁きかけると、茶うさぎの股間は目標の500回を前にエラいことになってしまいます。
 
 ああ…黒うさぎをソファに押倒して、このままの体勢から夜の世界に導くことが出来ればどんなに嬉しいことでしょう!


『いや…でも、もーちょっとだからっ!!』


 茶うさぎは炎の自制心で堪えると、筋肉疲労と自律神経制御の両面から自分の限界に挑むのでした。 

 
 頑張れ茶うさぎ。
 ゴーゴー茶うさぎ!


 君の筋トレが望み通り活用される日はもうすぐだっ!!





* 茶うさぎ、がんばれ〜。 *