2011年バレンタインリレー企画
〜お見合いクラッシャー〜
「爆裂バレンタイン」









 《セント・バレンタインデー》
 《それは世の乙女達が胸をときめかせて待ち受ける日》
 《普段は奥ゆかしくて、自ら思いを告げることなど出来ない淑女が、精一杯の想いを伝えることの出来る、一年にたった一日だけ設けられた奇跡の日》

 …といった内容の記事が、シンニチに掲載されたのは今を遡ること一月ほど前のことである。勿論、出所は定期的にインタビューを受けている魔王渋谷有利の、何気ないトークが発端である。

 日本でも商魂逞しい製菓会社によって《これでもか!》というほど強化されたこのイベントが、お祭り騒ぎの大好きな眞魔国の民に受け入れられないはずがない。民も製菓屋も挙ってこのイベントに興味を示した。街は微妙にはき違えた装飾に彩られ、若い娘達は顔を合わせればその話ばかりしている。興味なさそうにしている若者達も、実は耳を峙てている楊子が伺えた。

 カカオ豆とよく似た性質のオカカ豆なるものが、昨年眞魔国派同盟に加わった南方の島国から豊富にもたらされたことで、チョコレート菓子の技術向上が目覚ましかったことや、国内の砂糖産業が成長したことによって、民が安価で上質な砂糖を入手出来るようになったことも、御菓子作りの活性化に寄与していた。

 こうなると、他国から訪れた商人や政治家などもいたく興味を示すこととなり、バレンタインの習慣は一挙に世界規模のイベントへと発展していった。



*  *  * 




「ぐふふふふふふ……」

 豪奢な邸宅の中に響き渡るのは、くぐもった含み笑いだ。普通、そういう声音が出てしまう人物と言えば、脂肪による気道閉塞が著しい肥満体であろうが、彼女はそうではなかった。ポルトケ国の誇る大貴族の息女、カロリーヌ・ディノ・エレッサール嬢は極めて逞しい(豊満とはちょっと…かなり、違う)肉体の持ち主であり、焼いた子豚くらいなら丸飲みできるくらい発達した食道の横紋筋が、後方から気管膜性部を圧迫しているだけである。

 ゆさゆさと上質なシルクのドレスに包まれた肩が揺れているのも、興奮に従ってぴくぴくと僧帽筋が収縮しているからだ。ちなみに、僧帽筋上部線維も極めて発達しているカロリーヌは、顔の幅よりも首の方が太いという、所謂《猪首》の持ち主である。

 眼輪筋が発達しすぎて眉毛が埋まってしまったり、笑うと釣り上がった頬筋によって深々と頬にえくぼ(?)が刻まれる様もラ○ウ様に激似である。

「ぐふぅ!好機到来っ!!」

 ドゴォン!

 力強く一歩踏み出し、両腕を天に向かって突き上げて叫ぶと、猛獣の咆吼じみた叫びがびりびりと室内装飾を揺るがせる。尋常でないほど発達した横隔膜を駆使して腹式呼吸を行えば、その声は山二つは楽々越えていくという。彼女がベルカント唱法で謳うと屋敷中の硝子が割れると専らの評判である。また、踏み出した足が力強すぎて、厚手の絨毯の下で《ビシっ!》という不吉な音が聞こえる。おそらく、床材に罅が入ったのだろう。

「ぐふふふふ…!ウェラー卿コンラート様に愛を告げる絶交の好機ですわっ!!奥ゆかしいこの私には、この日に全てを賭けるほかありませんものっ!!」

 思い返せば、お見合いの席では思いがけない邪魔が入ってしまった。あのような事さえなければ、そのままコンラートを寝室に拉致監禁…いや、連れ込むことに成功して、既成事実を作ることが出来たのに!(←犯罪)

「ふっほほ…。待っていてくださいまし、コンラート様!このカロリーヌ・ディノ・エレッサール、我が誇りに掛けて今度こそあなたを我が腕(かいな)に納めて見せましょう!」

 がしーんっ!
 がしーんっ!!


 交差しながら力強く胸に叩きつけられる豪腕をコンラートが目にしていたら、全身の血の気を引かせて慄然としただろう。うっかり間に入り込んでしまった哀れな羽虫が、ぺろりと紙のようになって床へと落ちていった。

「コンラート様のハートを、チョコレートで釘付けにしてやるぁあああ……っ!!」 

 カロリーヌの腕に捕らえられたが最後、色々と失うものが多そうだ。ハート以前に、命がまず危うい。

「ふははははははは〜〜っ!!」

 呵々と哄笑するその波動が、パリーン!パリーンっ!!と次々に窓硝子を大破させていった。



*  *  * 




「うっ!」
「どうしたの?風邪引いたのかな?」

 ぶるるる…っ!とコンラートの背筋が震えて、顔色が急に青ざめてくると、同衾していたユーリは不安そうに眉根を寄せた。婚約者となった二人は、今では公然と魔王居室で情を交わす身となっており、結婚に向けた準備も着々と進めている。幸せすぎて信じられないからこそ、相手の体調不良が心配でもあった。

「いえ、熱は無いようです。なんというか…一瞬、悪寒が走りまして」
「冷えちゃったのかな?」

 言った端から、《それは無いか》と呟いて、きゅうっとコンラートの背中を抱き寄せる。丁度良い温度の人肌は、疵以外の部分は実に滑らかで心地よい。
 二人は全裸ではあるが、室内はしっかり暖炉で暖められているし、体力の限りを使ってカジーンガシーンと恋人同士の接合を果たしていたので、寒さを感じるはずはなかった。

「あー…もしかして、明日が心配なのかな?」
「う…」

 案の定、コンラートの眉根が寄せられた。

 ユーリがうっかりバレンタインの情報など流してしまったせいで、眞魔国はおろか、他国にまで《女性から男性に告白できる日》という習慣が広まってしまったのである。正直、毒女の影響なのかどうなのか、それでなくとも女性の立場が強い眞魔国でこれ以上女性優位にしてどうするつもりなのかと、グウェンダルには零されてしまった。
 ただ、命題が女から男への告白とあって、アニシナがそれほど張り切っていないのが、グウェンダルにとってはせめてもの救いであろう。

 一方、現在のコンラートにとっては色々と不安なことがある。なんと言ってもその筆頭はやはり…。

「カロリーヌさん、また…来ちゃうと思う?」
「その可能性はありますね」
「国に帰る時にも予告してたもんなぁ〜」

 そう、彼らの不安の種と言えばやはり、屈強すぎる求婚者カロリーヌ嬢である。あれが悪意を持った敵であればコンラートだって剣技を駆使して倒せるが、本人にはまるっきり悪意など無いから困ってしまう。

「ユーリ、悪い子だね。あんな恐怖を思い出させて、俺を萎縮させようとしたの?」
「あんたがあんまり激しいから…なーんてね」

 鼻面を甘噛みされると、くすくすと笑いながら愛撫を受け入れていく。ちょっと体力的にはしんどい時もあるが、やっぱりコンラートと濃密な夜を過ごすのは楽しくてしょうがなかった。明日のバレンタインも、チョコレートを活用したラブラブプレイをしたいものである。

 無事に一日が終われば…で、あるが。



*  *  * 


 

「我、眞魔国の大地立てりぃ〜っ!」


 ふははははは…っ!



 国際港で力強く吠えているのは、ずらりと供を引き連れたカロリーヌである。供の役割は息女の護衛である筈だが、これだけの人数が揃っているのは父君の配慮で、カロリーヌが破損させた物品の補償や応急修繕にあてるためである。  

「さ、参りましょう?馬車の用意は出来ていて?」
「無論です、お嬢様」

 なまなかな馬ではカロリーヌの巨体を曳けない為、絶対に一頭立ての馬車など使えない。 必ず四頭だての馬車を予約しておく必要があるのである。
 ところが、準備万端の馬車に乗り込もうとした際、カロリーヌは運命的な出会いを果たすことになる。

 

*  *  * 




「コンラート様、どうかこれを受け取って下さいましっ!」
「ゴメンね、裏切れない人がいるから受け取れないよ」
「あぁん〜」

 コンラートは申し訳なさそうな表情はとりつつも、爽やかな語調で断りの文句を口にする。元々、ユーリと婚約したことでバレンタインのチョコの受け取り拒否表明はしていたものの、せめて想いだけでも伝えたいという女性達が、朝から引きも切らずコンラートを訪ねていた。

 しかしコンラートは毅然として、全てのチョコレートを拒否している。
 有力貴族の息女もその例外ではなく、コンラートの後ろ姿を見守りながら悔しそうにハンカチを噛みしめていた。

「ああ、なんて凛々しいのかしらコンラート様!魔王陛下の恋人になられたとはいえ、この想いを断ち切るなんて出来ないわ…」
「メーレル様、私も同じ気持ちですわ!」
「ええ、私も!」

 女性達は手に手を取って、哀しげな声をあげている。憧れの君と結ばれる可能性がないのだとしても、せめて贈り物くらいは受け取って欲しい…それは、乙女の切なる願いであった。

『ゴメンね?』

 食べないにしても、貰うくらいは貰っておいて、孤児院か何かに寄付するという手もあるのだが、ユーリという結婚を約束した相手がいる身の上で、あまり思わせぶりなことはしたくないのだ。

 ドッドドドッドドドッドド…

 そこに何やらけたたましい嘶きと、蹄の音がどんどん近づいてくる。衛兵達が険しい声を上げて追いすがろうとするが、なかなか捕捉できない相手が侵入しているらしい。
《無駄無駄無駄ぁああ〜っ!!》との野太い叫びと共に、悲鳴に似た衛兵達の絶叫が聞こえてくる。

「侵入者か!?」
「いえ…あの、きちんと入城の手続きは取っておられるのですが!あまりの勢いに留め立てしましたところ、お気を害されたようです」
「…なに!?」

 心なしかコンラートは血の気が引くのを感じた。騒音のする方に視線を向けるのも止めて、逃走したいような気さえする。だが、護衛隊長としての自分と、《杞憂だったらいいな》という微かな希望に縋って、ギギギ…っと関節が軋むのを感じながらそちらを向く。

「…っ!」


「見つけましたわ、コンラート様ぁああ…っ!」



 来た。
 恐れていた人が来てしまった!

 見まごう事なき強靱な巨体を揺るがせながら、何故かカロリーヌは化け物じみた大きさの馬に跨っている。黒に近い毛並みはぎらぎらと輝き、カロリーヌと合わせてみると、《覇王》の佇まいさえ感じられる。

 ユーリとこの女性を並べて置いたら、何も知らない人間は百人中百人がこちらを魔王と認定するだろう。グルグルと巻いたツインテールの金髪もまた、黄金の兜(巨大な角付き)にも見える。

 《ひっ!》と我ながら情けない悲鳴を上げ掛けたコンラートだったが、どうにか心を奮い立たせて詰問した。

「カロリーヌ殿、今日は一体どうなされたのですか?」
「恋する乙女に、その質問は無粋というものですわ!」

 ぐはっぐはっぐはっ!と笑う姿は、まるで正義の味方に《何故こんな事を!?》と聞かれた魔王が、《愚問だな!》と哄笑しているかのようだ。取りあえず、乙女の恥じらいは欠片も感じられない。

「私、コンラート様に愛の丈を伝えるべく海を渡ってきたのですわ。この愛…何としても受け取って頂きましてよ?」

 にやぁああ…とつり上がる口元や目尻に、コンラートは抜刀したくてしょうがなかった。

『何でこの人、女性なんだよぉお!』

 せめて男なら、少々荒っぽい手を使って意識を奪うのだが、女性で、しかも他国の貴族と来てはなかなか物理的な手出しが出来ない。

「うらぁああ〜っ!!」

 ぶぅうんっ!と空気を切る音と共に、凄まじい勢いでカロリーヌの腕が振り抜かれると、光速の勢いで何か茶色い塊が飛来してくる。

 ドゴォン…っ!

 咄嗟に避けるのが精一杯だった。コンラートの脇を掠めていったのはどうやらハート形のチョコレートだったらしいが(どういう材質なんだ!噛んだら歯茎から血が出る以前に歯が砕けるではないかっ!!)、えらく頑丈な物体は庭木の幹を深々と抉っている。あんなものが直撃したら、コンラートとはいえども無事では済むまい。


「ちっ!」



「し、舌打ちしましたか、今っ!?」

 気絶させる気満々なのか。気絶させて一体何をしようと言うのか!慄然としたコンラートは、ひとまず遮蔽物を探すべく庭木の門柱の背後に回るが、小脇から次々にチョコレートを取りだしたカロリーヌはダダダ…っ!と弾丸のような音を立てて続けざまにチョコレートを撃ち込んでくる。しかも、ヒヒンと嘶きながら疾駆する馬は意外なほど小回りが利くようで、必死に逃げるコンラートに悠々追いついてしまう。

「くははは…もう逃げ場はありませんことよ、コンラート様っ!我が腕(かいな)に抱かれたまえっ!」
「い、嫌だぁあああ……っ!」

 ドゴォン…っ!


 一際大きなチョコレート弾が血盟城の壁を破砕すると、《ここまできたら実力行使しか…》と覚悟を決めたコンラートの前で、カロリーヌは引きつけでも起こしたかのようにびくびくと白目を剥き、への字に枉げた唇をひくつかせている。

「ぐ…ぐ…」
「か、カロリーヌ殿」


「ぐぉおおお〜っ!!」



 
パパパパパンパンパンパン……っ!!

 血盟城の窓が次々に割れて、各所から悲鳴が上がる。突然始まったカロリーヌの号泣によって共鳴を起こした硝子が割れているのだ。

「ななな、何々!?」
「来ちゃ駄目だ、ユーリっ!」

 騒ぎを聞きつけて飛び出してきたユーリを庇うようにして抱きしめると、余計にカロリーヌを刺激してしまう。

「うぉおおお…っ!お恨み申します、コンラート様!我がチョコレートに対して、《嫌》と仰せか!」

 視線で人が殺せるものならば、ギヌロと見開かれた白目気味の眼(まなこ)によって、コンラートは5、6回は死んでいることだろう。

「も…申し訳ないんだが、俺はユーリだけを愛しているんだ!そのチョコレートは頂けないっ!」

 ダイレクトに受け取ったら死にそうな気もするし。


「ぐぬぁあああああ……っっ!!」



 ズゥン…ドォオオン…っ!!とうとう馬の背から滑り落ちたカロリーヌは、巨大な拳で大地を叩きのめしながら号泣を続ける。(漢泣き)

「一体どうしたというのです?」

 白い長衣を靡かせながら現れたのは、フォンクライスト卿ギュンターだ。ギュンターはカロリーヌの存在に気付くと流石にぎょっとしたようだったが、それでもフェミニストである彼は泣き伏している女性をそのままには出来なかったようだ。

「ご婦人、どうか顔をお上げ下さい」
「人様に見せられる顔ではございませぬ!後生ですから、このまま、この場で石像と化すまで永遠に泣かせてくださいましっ!」

 《それは勘弁してくれ》と、コンラートのみならずギュンターも同じ感想は抱いたが、何とか喉の半分辺りで飲み込むと、口角を歪ませながら窘める。

「ご婦人の涙を見過ごせる騎士がございましょうか?どうぞお顔を上げて下さい。そして、晴れ渡る空の美しさで気分を変えて下さいませ」
「ぐ…ぬ……」

 ギュンターが努めて優しい声で囁きかけると、カロリーヌは泥と涙と血(大地に額を叩きつけていたのである)にまみれた顔を上げ、そして…ギュンターに向けた眼差しが、一瞬にしてハート形をかたづくった。


「…ふんぬっ!」



「え?」

 ぶわっと片腕で荷袋のように抱え上げられたギュンターは、恐怖に顔を引きつらせて絶叫した。

「ななな…なにを為さいますかーっ!?」
「ぐふふ…素敵なお方。涙を拭って下さったお礼をしなくてはなりませぬ」

 とうっ!と、大人一人を抱えているとは思えないような身軽さで立ち上がると、流石に苦鳴を上げる騎馬の上でカロリーヌは高々と宣言した。

「コンラート様、私カロリーヌ・ディノ・エレッサールは潔くコンラート様への思いを断ち切り、新しい恋に生きますわっ!」
「え…」

 なんて思い切りが良いのだろう。ほっと安堵する反面、ギュンターの身が心配でもある。

「ギュンター!大丈夫か!?」

 返事がない。ただの屍…ではなく、意識を失っているのだろう。

「うはははははははは!!」
「うわーっ!ギュンターっ!!」

 ギュンターを連れ去るカロリーヌの哄笑は、ドップラー現象を起こしながら遠ざかっていった。



*  *  * 




「いやぁ…大変だったねえ」
「大変なんてもんじゃありませんよっ!!」

 ハンカチで顔を覆って号泣しているギュンターの背をユーリが撫でつけるが、さしも嫉妬心の強いコンラートも流石に止めたりはしなかった。とばっちりを思いっ切り喰った形のギュンターは、確かに酷い目に遭ったのだ。

 まだしも、カロリーヌが
《獲物は巣穴に引き込んでから喰らう主義♪》だったのが幸いだったろう。彼女が更にアグレッシブな気質で、青カンも平気な性質であったらギュンターは操を散らされていたに違いない。

「大体コンラート!助けてくれたのは良いですが、なんですか、あの《ギュンターの持病が悪化するから、体調保全のために身柄を預かる》というのは!私のことをお爺ちゃん扱いして!」
「助けただけ有り難いと思って下さいよ…」

 ぐったりしているコンラートにも言い分はある。彼が身体を張って止めたからこそギュンターは救われたのだ。

「また泣かれちゃったね。気の毒だけど…でも、コンラッドやギュンターを渡すわけにもいかないしなぁ〜」
「ユーリ…」
「コンラート」

 見つめ合い手と手を取り合う二人に、ギュンターはまたも悔しそうにハンカチを噛みしめた。



*  *  * 




「ぐぬぬ…乙女が純情な初恋を諦めて、新しい恋に生きようというのに、何故止めたのですかコンラート様ぁああ〜っ!」

 強制送還される船の上で、カロリーヌは荒綱製のフリルがついた拘束着を着こまされてびちびちと跳ねている。怒りのあまり船の底板を割りかねない彼女の為に、父が作った特殊な拘束着はがっちりと食い込んで動きを制限させる。そのせいで周囲のものに八つ当たりできないカロリーヌは悶々として考えていた。
 
 そして

 ピキョーンっ!

 と雷鳴のように脳裏へと浮かんだ結論は…コンラートにとっては最悪のものであった。

「そう…そうなのですわね、コンラート様っ!魔王陛下の権力に逆らえずに、夜まい玉の肌を暴かれておられる我が身を恥じておられたのですわね!?心を鬼にして私を拒絶されたものの、他の男に心惹かれ掛けた私を放ってはおけなくて、追ってこられたのですわね!?」

 
 ぐははっ!
 ぐはははははっ!!

 拘束着を引きちぎらんばかりにして哄笑するカロリーヌが、再び眞魔国を急襲する日はいつなのか!?
 
 頑張れコンラート!
 負けるなコンラートっ!!
 
 このままでは結婚しても、魔王の権力に抗しきれなかっただけだと思って、諦めて貰えないぞ!?

 

おしまい




あとがき


 愛しのコンラート様シリーズやら、このシリーズやら、コンユが前提ではあるのですがコンユが激しく目立たないです(汗)しかも、何か隙あらば続くっぽいし。

 マリアナ嬢に比べると支持率が低いカロリーヌ嬢ですが、後者を愉しめるかどうかは、ラオ○の顔にツインテールとドレスを当てはめられる妄想力の持ち主であるかどうかが鍵かと思われます。

 受難のコンラートシリーズ、また思いだした頃にお目見えします。