〜「虹越え」のユーリ、育児と執務のストレスではっちゃける〜 「奥様は欲求不満」 「ふにゃあ〜……」 「お疲れ様、ユーリ」 疲れた。 確かに疲れた。 有利はくた〜んとソファに沈み込むと、暫く声も出なかった。魔王聖誕祭ということで誰もがユーリの誕生日を祝ってくれるのは良いのだが、祝われる当の本人がこんなにも疲れてしまうお祝いというのは如何なものか。 身内の祝いは嬉しいのだけど、眞魔国や各国の要人に会うのが一番の気苦労なのだ。 『あ〜…やべやべ。折角お祝いしてくれたってのに、こんな顔してたら悪いよな?』 顔を上げて左右に振ると、良いタイミングでコンラッドが蒸しタオルを持ってきてくれるから、《まふっ》と埋めて元気を取り戻そうとする。 リヒトが生まれて一ヶ月弱。何故か母親より母親の知識に満ちあふれたフォンヴォルテール卿グウェンダルが(動物のお母さん歴が長いからなのか)身体・精神状況に配慮してくれるから、書類関係の執務は随分と軽減して貰っている。 出産後一週間で男に身体に戻ったときには母乳を与えられないことでおろおろしてしまったが、今ではリヒトも乳母に懐いて沢山乳も飲んでくれている。夜は乳母を本来の子どもの元に帰して、ユーリとコンラッドが地球産の粉ミルクを溶かして飲ませているが、日中の執務中は完全に任せきりなのだから、世のお母さん達よりはずっと楽なのだろう。夜のミルクにしたって、気が付くとコンラッドが飲ませているのを横たわって眺めているなんて、母親失格な展開が多いし。 けれど、やはり魔王としての重責に耐えながらたくさんの公式行事に出て、家庭生活も送るのは結構な大変さなのである。 「うぅ〜…俺、やっぱ未熟者だ〜。こんなんでどうして凹んじゃうんだろ?」 声が情けなくふにゃふにゃしてしまうのを、コンラッドが蒸しタオルごと胸元に抱き寄せて優しく声を掛けてくれる。 「まだ身体が本調子じゃないんですよ。だってあなたは男の子の身体から強制的に女体になった上、妊娠・出産を乗り越えてまた男の子に戻ったんですからね。こうして命があるだけで、俺は素晴らしいことだと思います」 そう囁くコンラッドの声も少し涙を含んだものになる。リヒトの魂を受けて、有利の体細胞を受精卵のように分裂させて《寄生》しようとしたとき、有利が選択したのは異物として排斥することではなく、一か八か自分が女体化することで受胎してしまうことだった。あの時コンラッドが感じただろう恐怖を、有利は本当の意味で理解することは出来ないだろう。 追いつめられ、それでも《生んで下さい》と有利決断を認めてくれたコンラッドを観た時、自分がどれほど素晴らしい男と結ばれたのかを再認識した。 そして、きっとこの先も何度も苦しめてしまうのだと。 『俺ってば、自分で選んどいて文句とかねーだろ』 まだ少しふにゃんとした顔ながら、懸命に笑顔を浮かべてコンラッドを見上げる。 「元気元気。こんなの平気。だって、俺が生みたいって言って、生んだんだもんな?」 「ユーリ、無理に笑うのはなしです」 「…っ」 むにっと頬を摘まれて、《めっ!》と叱る口調は小さな子どものお父さんっぽい。この男は随分と良い父親になるに違いない。 「辛いときは辛いって言って良いんですよ?ね…今日はあなたのお誕生日なんです。一年の中で唯一日の、とても大切な日です。俺の宝物であるあなたが生まれた日…!どんな我が儘だって言って良いんです。…というわけで、リヒトも今宵は乳兄弟と一緒に、アリアに頼んでおきましたからね」 「え?でも、夜くらいはちゃんと面倒観て、親子っぽいことしないと…」 「一晩だけ、俺を独占してくれません?」 「い、良いのかな?」 「良いんですよ。ね、夜が明けるまで」 「良いんだ…」 リヒトのことは大好きなのに、一晩コンラッドと二人きりなのだと思った途端に、フッと肩から力が抜ける。申し訳ないけど、一晩だけ完全に自由になってただの男の子として恋人と過ごして良いだろうか?幼くてまだ良く分かっていないだろうとは思いつつも、何となく遠慮していたキスも、自分から腕を伸ばして熱烈にかわしてみた。 「んん…んっ…んっ…」 舌としたが絡み合って、継ぎ目からとろけてしまいそうなくらいのキスだった。元々とんでもなくキスが上手なコンラッドのこと、有利が吹っ切れたのを察知したのか、それはもう熱烈に迎えてくれた。気が付けば口角から含みきれない唾液が伝っていたけれど、それも気にならないくらい角度を変えては深く、より深くとキスをする。しまいには舌先が痺れてしまったくらいだ。 「はふ…コンラッドぉ…。無茶苦茶セックスしたいよ。ね…ちょっと荒っぽくても良いから、激しいの一発頂戴?」 「一発と言わず!抜かず三発は常設装備でイエスオッケーですよ、ユーリ」 《キラっ》と輝く歯が眩しい。こんなに爽やかにエロトークができるのも、うちの亭主くらいなもんだと有利は半ば感心しながら思う。 「では、失礼しますね」 「あ…っ!」 いつの間にベルトを外していたのだろうか?気が付くとつるんとズボンをずらされると、ぷりんと剥き出しになった尻を掴んで左右に開かれる。 「相変わらず可愛いお尻の孔だ。ピンクの可憐な色…なのに、はしたない一面もある。ひくひくしてるのは、俺に弄ってほしいってことですか?」 「飛ばすなァ…コンラッド」 感心するほど響きの良い声で、ガンガンエロネタを振ってくる。指摘をしてもどこ吹く風という風情だったが、多少は気にしているのか、そのまま尻肉と腿を広げられると、するりと差し込まれた指で鈴口を撫でられる。 「俺の可愛いユーリが、言葉責めが大好きな淫乱妻だからだよ?」 「ひぁ…っ!ゃん…そこ、くりくりされたら…っ…」 「じゃあ止める?」 パッと手を離すコンラッドは、今最高にエロい顔をしているに違いない。離されて平気でいられるわけがないではないか。 「やだ…やめちゃヤ…」 「だったら可愛くおねだりしないといけませんね?」 「う〜…」 ころんとソファの上で転がって、シャツの裾を捲りながらおねだりしてみる。時々コンラッドはこういう要求を出してくるのだが、こういうので満足する心理は未だにイマイチ分からないので、いつも半信半疑だ。 「俺のチンコに…たくさん悪戯して?」 「どんな風に弄ってほしいですか?」 「どんなって…」 優しく微笑みながら、超絶美形のお兄さんに美声で問われるというのはいつまで経っても馴れない。相変わらず頬を紅くしてしまう自分はカマトトぶってるように見えないかと心配だ。 「先っちょの割れ目を、くりくりって…」 「指と舌、どちらがお好きですか?」 「し、舌で…」 「その間、お尻の孔はどうしましょう?」 「そ、そっちは指で弄って?」 「玩具じゃ嫌?」 「コンラッドのが良い」 「ふふ。嬉しいですね」 《ちゅぶっ…ぢゅっ》と音を立てて花茎を吸われ、ゆっくりと蕾を弄られるのだけど、焦らしているのかなかなか中に入ってくれない。 「指…奥に入れてよ」 「ユーリのちっちゃな孔をほじって良いのか、いつも不安になるんですよね〜」 「どーせ後でぶっといチンコ入れるくせにっ!」 口にしてしまうと、今度はどうしてもその《ぶっといチンコ》が気になってしまう。ぬるりとオイルをまとった指で弄られながら、有利はおずおずと口を開いた。 「ね、コンラッド。チンコ、今どうなってる?」 「観たい?ユーリ」 「う…うん」 「えっち」 《くすっ》と囁く声と、眇めた眼差しの艶にゴクリと唾を飲み込む。無駄に色っぽいの男は、相変わらず有利を煽るのが上手い。 ソファに片脚を乗せ、フロントをゆっくりくつろげると、下着の中から凶悪サイズに膨大した雄蕊を取りだして有利の目前に差し出してくる。 「おっきい…」 「これがあなたのお尻に入るんですから、不思議ですよねェ…。あなたの身体ときたら、すっかり俺に馴れて自分から濡れたりしますし」 「女の子じゃないんだら、そこまではないだろ!?」 「おや、違うとおっしゃる?じゃあ鏡でよく見て確認して貰いましょうか?」 なんでそんな話の流れになるのか。だけど、耳元で《いやらしいお母さんだ…》なんて囁かれると、自分が物凄く背徳的なことをしている気がして、ツンと乳首がたってきてしまうし、確かに後宮の奥が疼いて、勝手に蕾部分が潤んできた気がする。 「はぁ〜い、御開帳。しっかり目を開いて見て下さいね?」 小さな子どもみたいに抱えられて大股を開かれ、壁に掛けた大鏡の前で蕾を広げられると、てらてらと光るサーモンピンクの肉壁が垣間見える。 「もう濡れ濡れだ」 「これはオイルのせいだもんっ!」 「そう?」 後ろから抱きかかえてキスを仕掛け、濃厚に舌を絡ませながらシャツ越しに胸の桜粒を弄られる。少し痛いくらいの摘み方と布が擦過する感触に、花茎の先からはとろとろと蜜が溢れてくる。 口角から唾液を垂らして舌を伸ばしていると、不意にコンラッドの身体が背中から抜け、露出させていた雄蕊を口元に突きつけられる。 「ユーリはエッチなお母さんだから、おちんちんをしゃぶるだけで濡れちゃうって知ってます?」 「そんなこと…」 「ない?じゃあ舐めてみて?」 独特の香りを放つ雄蕊を咥内に引き入れてムニムニと唇や舌で扱いていくと、《いいですよ…》《ああ…上手になりましたね》と褒められて背筋がゾクゾクと震える。有利の愛撫でコンラッドが興奮し、勃起の度合いが増していくのがえらく嬉しいのだ。 「あなたという人は、おちんちんが本当に大好きですね。シャツの裾がビショビショだ…ほら、お尻からも垂れてますよ?」 「…っ!」 《ぬるる…っ》と雄蕊を引き抜かれて視界が広がると、確かに大きく開いた脚の間で、蕾からとろんとした液が垂れてカーペットを濡らしていた。 「流石は魔王陛下。腸液からも良い香りがしますね。舐めてもよろしいですか?」 「ひゃあっ!」 仰向けに転がされてまんぐり返しの姿勢にされると、自分のいきりたったチンコが眼前に迫ってくるし、コンラッドが犬のように音を立てて蕾を舐めしゃぶっているのもよく見えてしまう。おまけに指で左右にヒダを開かれて、すうっと入ってきた空気のせいで瞬間的に尻穴を引き絞ったら、《ぷぴっ》と小さなおならみたいな音が鳴ってしまった。 「やっ!」 「可愛いおならだ」 「ば、ばかぁっ!ちがうって!」 「もっといっぱい鳴らしてあげる」 大きくヒダを開いて空気を入れてから雄蕊を《ぐぷん》と銜え込まされ、そのまま何度も突き込まれてその意味を知る。《ぷぶっ…ぷびっ》とコンラッドの雄蕊が動くのに合わせて、空気と腸液の混ざる音が響くのだ。 「ゃだ…やだぁ…っ!恥ずかしいよぉっ!」 「そうは仰りながら、おちんちんはいつもより大きくなってますよ?」 「ふくぅ〜っ!」 《ぐぷんっ!》《にゅぷんっ!》荒々しい水音を立てて律動を続けるコンラッドは、更に内部を抉って前立腺に集中打を浴びせてくる。堪らない感覚が電流のように背筋をはしるのを感じながら、有利は促されるまま乱れていく。 「ひぅっ!あ…きもちいい…っ」 「お尻を掘られて、とってもおちんちんが膨れていますよ?いやらしくて可愛い魔王陛下…ああ、あなたを御開帳させて俺の逸物を銜えさせている現場をバルコニーから見せてあげたいですね?」 「ぁ…っ…あ…っ!」 「あ、また締め付けてきた。んん…気持ちいいですよ、ユーリ。スケベな妄想で興奮した?」 コンラッドに限って絶対そんな無茶はしないと分かっているけれど、ちょっとだけ想像してみる。国中の民が集まって《魔王陛下バンザイ》と叫んでいる前で、思いっ切りいやらしい顔をしてお尻でコンラッドを貪り、真紅のマントを脱ぎ去って、コンラッドに後背位で駅弁されたらどんな具合だろうかと。 『みんな俺のチンコから、ザーメン射精するとこ観るんだよな?』 そしてお尻にコンラッドから種付けされて、大量のザーメンを何度も喰らった尻穴から射精しているみたいな白濁を放つのだ。 引き抜かれたその後だって、《ぶぴっ!ぶぶっ!》とはしたない音を立てて、尻穴から白濁を放つだろう。何度も何度もコンラッドが中だししたことを国中に知らせるのだ。 『バカか俺…へんたい〜っ!』 馬鹿馬鹿しいほど変態チックな妄想に脳が焼き切れそうになりながらも、変な笑いが込みあげてくる。 《世界を救った英雄》 《我が身を擲って、異世界の双黒を宿された奇跡の存在》 尊崇と敬意に満ちた眼差しが、時として自分には重いと感じることがある。 《そんなんじゃないんだ》 《俺だってまだまだ子どもで、ギブアップって言いたいことがあるんだ》 泣いて叫びたい瞬間がある。 だけど、全部自分で選んで決めたことだから、誰にも文句なんか言えない。 『コンラッドはそういうの全部分かった上で、俺自身も気付いてないようなストレスを発散させてくれるんだ』 ああ、好きだ。 この人が大好きだ。 綺麗事だけじゃなく、有利の中のどろどろした部分も認めた上で愛してくるこの人を、有利は心の底から愛してる。 「コンラッド…好き…大好き…っ!コンラッドのせいえきで…おれを、まっしろにしてぇ…っ!」 「愛してます、ユーリ…俺ので、ぐしゃぐしゃになって?」 《どくんっ!》と爆ぜる欲望が、夥しい量の精液となって有利の顔に降り注ぐ。自分自身の精液にまみれながら後宮を締め上げると、《くっ》と色っぽく息を呑むコンラッドが背を反らす。 『ふわぁ…っ!コンラッドのせいえき、いっぱい…っ!』 《びゅーっ!びゅっ…びぴっ!》 身体の奥に放たれる熱い衝撃に、愉悦を感じながら有利は嬌声をあげる。 「もっと…いっぱいしてぇ…っ!四つん這いにして、犬みたいに…豚みたいに、後ろから犯して…っ!」 「いいですよ。あなたのお望みのままに…っ!」 腰を高く上げて突き込まれれば、さっきよりもっと空気が入ったことで、《ぶぴっ!ぶぶっ!》と羞恥をもよおすようなはしたない音が響きまくる。 そのまま2、3度射精されると、臨み通りどろどろになった尻穴からとめどなく精液が溢れ出してくる。 鏡の前で自ら肉襞を開いて溢れ出す精液を眺めながら、有利は満足そうにコンラッドに笑いかけた。 「へへ…おれ、おまんこどろどろみたい…」 「俺がユーリを大好きで、ユーリが俺を大好きな証拠です」 「すてきだね」 「ふふ、本当に。もっと差し上げますね?」 ぐいっと片脚をあげておしっこをする犬みたいな体勢から突き込まれれば、有利は嬌声をあげて射精した。 「こういうの、トコロテンっていうんですよね?」 「む…らた、じょうほう…?」 「ええ。勉強になります」 とはいえ、ちょっぴりコンラッドの声が上擦るのは、有利にあまり無茶をさせると、あの恐ろしい大賢者様が黙っていないことをちらりと思いだしたのだろう。 「もっとしたい…腰が抜けちゃうくらい…っ!」 「仰せのままに」 後で絶対後悔すると分かっているけれど、今くらいははっちゃけたいという気持ちを汲んで、コンラッドは何度目になるか分からない射精を有利の体腔内で果たした。
* * *
「腰が抜けた…」 「お望み通りになって、幸いです」 《確かに言ったね。そうだね》とブツブツ言いながら、ユーリが布団に沈み込んでいる。興が乗ったせいかいつになくはっちゃけたユーリが望むままに抱いたのだが、体力的、肉体的にかなり限度を越えたらしい。 大量に注ぎすぎて、力が入ると尻から射精状態になっていた精液を風呂で洗う頃には、ぐったりと脱力したユーリは全く意識を取り戻さなかったほどだ。 「もうしたくない?」 「…………一年に一回くらいはいいよね?」 「ええ」 にっこり笑って頬にキスをしてやると、ユーリは恥ずかしそうに肩を竦めた。 ウェラー卿の奥様は、本当に素敵に可愛い淫乱妻である。
おしまい あとがき