〜ずっと中にいてもらう話〜 「入ってます」 ※有利放尿注意 ウェラー卿コンラートという男は、滅多に自分のしたいことを主張しない。 特に有利に対しては、《全てあなたの良いように》というスタンスで生きているので、有利が幸せだと幸せそうな顔をしているし、辛い目に遭ったりすると本人より死にそうな顔をする。それは恋人と呼ばれる関係になっても相変わらずだった。 一度袂を分かってシマロンで過ごした後は、贖罪の気持ちも手伝ってか、輪を掛けて丁重に扱われている。 そんなわけで、大事な大事な有利の誕生日ともなればなお一層大切にして、何もかも手放しに尊重してくれるものだから、公式行事の魔王聖誕祭を終えて魔王居室に戻ってくると、有利は思い切ってこんなおねだりをしてみた。 「ね、コンラッド。明日の夜まで俺自由時間貰ったからさ、殆どが誕生日の翌日にはなっちゃうけど…なるべく俺の中で過ごしてくれる?」 「…はい?」 基本、何でも《はい》で肯定的に受け止めてくれるコンラッドなのだが、この時の《はい》だけは流石に疑問系だった。 「ええと…中というのは一体…?」 「あの…その……お、俺の中に突っ込んだまま、過ごして欲しいってこと。……だめ?」 「いえ、ダメではないです。全然大丈夫ですよ」 頬を淡く上気させながらも、ふるふると首を振って受け止めてくれるコンラッドは本当に優しい。 優しすぎるほどに。 『ぶっちゃけ、コンラッドにとことん満足いくまで俺とセックスして欲しいんだよね』 別に有利自身が不満足だなんてことではない。寧ろ、有利にばかり気を使ってセックスしているのが見え見えだからだ。 『だってコンラッド、俺知ってるんだぜ?俺が寝た後で延々抜いてるの』 すぅすぅと寝息を立てる有利の寝顔を見守りながら、股間をタオルで覆ったコンラッドは延々自慰を続けている。《う》射精が一回《あ》射精が二回…押し殺しながら息を詰める声を数えている間に、有利は本当に寝入ってしまうのだった。 普段は翌日の執務があるから、健康優良児である有利は睡魔に負けてしまって《もっと抱いて》とおねだりすることは出来ないのだが、一年に一回くらいははっちゃけて、《恋人を甘えさせる》というプレゼントを貰いたい。 既に厨房や侍女達にはお願いしているから、食事はそっと扉の前にワゴンで置いて、鈴を鳴らしてから退散してくれる。駅弁状態で繋がったまま、外に誰もいないと分かっていても扉を開けるときにはドキドキするだろう。 『ぅあ〜…考えただけで奥がズクズクする』 《若いな俺》と自嘲してしまう。 コンラッドに抱かれることを知った身体は、何もかも初々しかった半年前と比するべくもなく、我ながらかなり淫乱になってしまった。《コンラッドの為》と言いつつも、かなりの割合で自分も楽しみたいというのがぶっちゃけた本音だ。
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『欲求不満にさせていたのかな?』 何しろ今まで《一番欲しいものは絶対手に入らない》というジンクスを持って100年も生きていたものだから、コンラートは幸せになることに対して若干恐怖感に似たものを持っている。あんまり幸せになると、奪われたときどうなってしまうのか恐ろしいのだ。 だからユーリから請われて恋人同士になれたときには、喜びと恐怖の量も互いに半端無い大きさだった。特に恐怖はあまりにも大きかったから、思わずもう一度出奔しようした。 告白されたのはシマロン王ベラールからユーリの処刑命令を出されたものの、降り注ぐ矢を自らの身を盾にして受けながら庇った後、朦朧とする意識の中でユーリの呼びかけを聞いたときだった。 《コンラッド…愛してる》 《あんただけを、世界中の誰より愛してる》 真っ直ぐで大きな愛を正面から受け止めきれず逃げ出そうとしたコンラートだったが、ユーリは赦さず追いかけてきた。拒絶されることを恐れない、若者特有の直向きさが眩しかった。愛おしかった。 そして己の怯懦を叱咤しながら、コンラートはユーリを受け止めたのである。 とはいえ、そうそう簡単に人間も魔族も性根が変わるものではない。 求めすぎて《辛い》と言われるのが怖くて、ユーリを抱くときには常にセーブしていた。とにかくユーリを気持ちよくさせることに全身全霊を傾け、自分の快楽など後回しだから、当然下痢の恐れがある中だしなどしたことないし、ユーリを窒息させる恐れのあるイラマチオはおろか、フェラチオだってさせたことはない。 ばばちぃコンラートのチンコで、ユーリがお腹を壊したら大変だからだ。 なのに…超絶積極的な本日のユーリは、先ほどからコンラートの股ぐらに陣取って《ちゅぱ…じゅぶ…っ》と拙いながらも懸命にフェラチオを施し、時折喉奥まで迎えて苦しげに喉を収斂させている。コンラートは必死で《お腹壊しますよ!》と止めたのだが、ちゃっかり粘膜に染みない消毒液とやらを入手していて、丁寧に清拭されてしまうと抵抗はできなかった。 「んぐ…んぷっ」 愛らしいユーリの顔がその度にコンラートの性器で歪み、唾液が口角から溢れる様子にゴクリと唾を飲んでしまう。 正直、この映像だけで10年くらい自慰できる自信があった。(←素晴らしい自家発電率) 「んふ…コンラッド。きもひいぃ?」 「はい、大変に…っ…というか、一体どこでこういうの覚えてこられるのですか?」 「地球でこっそりネット開いてさ、アダルトサイト観ちゃった」 顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうに男性器をしゃぶるユーリは、あどけなさといやらしさが上手いぐらいに同居していて、《エロの玉手箱や〜》といった感想が浮かぶ。 「も…硬いね。俺の中、入って貰って良い?」 「お邪魔しま〜す」 「はい。いらっしゃい、ま…せ〜…んんっっ」 仰臥位になったコンラートの雄蕊を掴み、69の体位でとろとろに解しておいた蕾へと誘導されると、継ぎ目から《にゅぷぷ…っ》とオイルを滴らせながら雄蕊が狭い肉腔の中へ入り込んでいく。 「ふ…ぁ…おっきぃ……っ…」 「苦しい?ユーリ。無理しなくて良いからね?」 「んーん!今日は…こ、こっから出させないんだから…っ!」 「本当に大丈夫?」 「ぅん」 こくんと頷いたユーリは太いカリの部分を越えると、確かに楽になったのか、後は自重で奥まで銜え込んでいく。途中で前立腺にも軽く引っかかったのか、《ぴゅぐっ》と先走りが散った。先走りの多いユーリは、お漏らししたみたいにだらだらと蜜を垂らしてしまい、射精ではなくともそれに近いような量を放つから、大変つゆだくでエロティックに見える。 「入った…全部……」 「凄いね。いつ見ても不思議だ。ユーリのこんなちっちゃなお尻に、俺のが全部入っちゃうなんて」 「生命の…神秘だね!」 ニカッと笑う無邪気な顔は相変わらず汚れを知らぬようで、快楽を貪りながらも彼の品性を卑しくさせることはない。純粋に愛した人とセックスを楽しみたいという気持ちがあるからだろうか。 「腰を掴んで突き上げてもよろしいですか?」 「ん。いっぱいして?」 小首をコテンと横に倒して微笑む貌は流石に欲望を孕み、紅く色づいた目元が嬉しそうに綻ぶ。速度を次第に上げて突き上げていくと、《ぬじゅん!ぐぷんっ!》と濡れた音を立てて接合部から雫が散る。反らした胸でぷっくりと膨らむ桜粒を囓ってやれば、甘い声を上げてユーリは身を捩らせた。 「ぁん…っ…乳首、気持ちいぃ〜っ」 「ユーリはここ、好きだよね?」 「ぅん、すき。大好き…っ…もっと強く囓っても良いよ?」 「痛いのが好きなの?」 「そうかも…変態っぽいかな?」 「いいえ、とても素敵です」 《カリっ》と強めに噛んでやると、《あーっ!》と嬌声を上げて後宮を締め付ける。これは堪らない収斂ぶりだ。危うくイきそうになったではないか。 「すご…ユーリの中、ぬるぬるしてるのに折れちゃいそうなくらい締め上げてきて、気持ち良い…っ!」 「コンラッドのおちんちん…気持ちいいよぉ〜…」 「光栄です」 にこにこしながら突き上げていき、ユーリを何度かイかせた後で抜こうとすると、また《きゅっ!》と締め上げてきた。 「だめっ!ずっと中にいるのっ!」 「いや、でも…すみません、俺もちょっと限界…」 「だから、良いから…中で出して?」 「お腹壊しますよ!?」 「大丈夫。アニシナさんに薬貰ったんだ」 「そんな怪しいもの口に入れたらメッですよっ!!」 《ひィっ!》と叫びそうになるが、既に時既に遅しである。 「もう飲んじゃったもーん。腸洗浄だってしてるから、俺の中も綺麗なんだぜ?代わりに免疫力の強い腸液がいっぱい出ちゃうから…女の子みたいに濡れちゃうけどな」 恥ずかしそうにユーリが言うとおり、感じるに連れて次第に潤滑液が量を増してきたと思ったら、どうやら腸壁から分泌されているものらしい。普通の腸液とは違って仄かに花の蜜の匂いがする。 「ね、出して…俺の中、いっぱいにして?女の子だったら妊娠しちゃうくらい」 「ユーリ…」 「欲しいよ、コンラッドの赤ちゃんのもと…」 ここまで言われて射精しない男のチンコなど、刀の錆にする価値もない。付け根から引きちぎった方が良いだろう。 「ユーリ……っ!」 片脚を肩に乗せて激しく律動を加えていくと、喜悦に顔を歪ませている様子も、白濁を散らしてユーリがイきかけているのもよく見える。感じやすい部分をゴリゴリと抉りながらコンラートが達すると、独立した生き物のように蠢く腸壁に煽られて、初めてユーリの中で射精した。 《ぶぁっ!》と、一瞬腸壁が膨らんだのが分かる。我ながら大量の精液を放ったことで、逃げ場のない腸管が強制的に拡張させられたのだろう。
「あーーーっっっ!!」 《やった》 《コンラッドのせいえき》 《おれ、はじめてちゃんとせっくすした》 脳内まで白濁に染め上げられたように、視界が白っぽく霞むほどの快楽を感じる。精神的な興奮も手伝っているのだろう。 有利が辛いはずと決めつけて、何度頼んでも中出ししてくれなかったコンラッドが、初めて射精してくれた。 それがなにが生まれるわけではないのだとしても、有利にとっては堪らなく嬉しい。 「すご…熱い…。お腹いっぱいに、コンラッドのが…うれし…うれしいよぉ…」 「ユーリ…俺も…嬉しいです。あなたを抱いてるんですね、俺」 「へへ…今更だけどねェ。こんなのが…マジで嬉しいもんだよね」 抱きついてぎゅうっと腕を回すと、コンラッドも何かを感じたようにうっすらと目元を濡らして有利を抱きしめてくれた。意外と長い睫毛に透明な雫がかかる様子が、とても綺麗だ。 『綺麗…コンラッド、あんたはホントに綺麗なんだよ?』 純血貴族に比べたら地味だなんて言うけれど、この人の美しさは知れば知るほど深く感じる。有利はいつもそう思うのだ。 「あ…抜いちゃだめ」 「でも、苦しくない?」 「だってコンラッド、まだおっきいよ?ね…このまま突いて?」 「声が掠れてるよ、ユーリ。せめてお水を飲んでからもう一度しよう?」 「ん〜…」 腰を掴んで抜かれそうになるのを、駄々っ子のように(ようにというか、まあ正しく駄々っ子か)脚を絡めて抵抗すると、有利は自ら体勢を変えて後背位で抱っこされる形になる。 「よし、これで水飲もう。はい、どうぞ〜」 「…はい」 心配そうなコンラッドを尻目に、有利は水差しからカップに冷水を注ぐと、コンラッドの口元に押しつけて飲ませ、もう一口含ませたところで自分の口をコンラッドに押しつける。そしてコンラッドの咥内で少し暖まった水をコクンと喉を鳴らして飲むのだった。 「へへ。ばかっぷるっぽいや」 「そうですね。何だか照れちゃいます」 「いや?」 「いいえ、幸せです」 流石に呆れているかなと心配になったけれど、目を細めてコンラッドが笑ってくれたから嬉しくて、ニパっと有利も笑う。 喉を鳴らして水差しいっぱいの水を飲み、暫く緩やかなセックスを楽しんだ有利だったが、暫くすると調子に乗って水を飲みすぎたことを後悔することになる。 ぶっちゃけ、尿意を催し始めたのである。 「コンラッド…。あの、そろそろ抜こうか?」 「ええ、良いですよ」 そう言って微笑むコンラッドは、ちょっぴり寂しそうだ。《これで終わりかな?》と思ったらしい。 「…やっぱ、我が儘言って良い?」 「え?」 「俺のこと、後ろから抱っこしながらおしっこださせるのとかって…流石に引く?」 引いているようならもういい加減止めておこうかと思ったのだけど、明らかにコンラッドが興奮の色を見せたのでそのまま押してしまった。
「あ…んんっ…」 《じゅろろろっ》と放物線を描いて、ユーリ花茎尖端から黄色い液が放たれる。 小さな子どもにおしっこさせるときの体位だが、違うのは後宮の中にぐっぷりと肉棒を受け止めていることだ。 『凄…っ』 言いしれない高揚感に、少々危険を感じてしまう。 こういうプレイに填ってしまいそうだ。 白くしなやかな脚を大きく開いて放尿させる様子に、気が付けばコンラッドの雄蕊は激しく質量を増やしていた。きっと銜え込んでいるユーリはもっとリアルに感じているだろう。 「ん…スッキリした」 腰を揺らしてぷるんぷるんと揺らしてやると、可愛い花茎が濡れて黄色い水滴が散る。粘膜に染みない消毒液を染みこませた綿花で丁寧に拭いてやると、後は布団の中に入っていちゃいちゃと身体中を弄りながら軽いキスを交わす。 時折盛り上がって激しい律動になることもあったけれど、こうして穏やかな触れ合いを続けているだけでも十分幸せだ。 「コンラッド。えへへ…凄い嬉しい誕生日プレゼントだ」 「それは良かった」 コンラートの方こそ、こんなに幸せにして貰って良いのだろうか? 全てを赦され、受け止められる幸せに、コンラートは泣きたいくらいの喜びを感じて、もう一度深いキスをしかけていった。
おしまい あとがき